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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ステップ!
134/293

きっかけ

「そろそろ俺達だけで遺跡にチャレンジしてもええんちゃうか?」


きっかけは、ヴァイス師匠が班の人と一緒に遺跡に潜りレッサーイビルを撃破して、さらにはレアアイテムのイビルの羽根を二枚もゲットした事に始まる。レッサーイビルを狩れるという事は、十五階層よりさらに下を制覇しているという事だからだ。僕たちは遺跡実習では確かに一番ではあるが、それも表面上だけで水面下では他の班も頑張っているようで、ちらほらと遺跡で儲けたという話が聞こえるようになってきたのである。


「今やったらベルスイートの活動もそないに力入れんでええ具合になっとるし、少しぐらいワシたちも金儲けしてもええと思うんや」

「確かに、今は上までキラーマシンやオーガが上がって来る事は少なくなってきてるからな。しかし、ハルトが金儲けとか言うのは珍しいな」


確かに今まで強くなりたいという話は聞いていたけど、何かが欲しいとかそういった類の話は聞かなかった。武器にしても、常に手入れが行き届いているようで使い込んではいても古くなったという具合ではない。防具も常に軽装で胸当てと肩当てをつけるぐらいだし、特にお金がいるような事は無いようにも見えるんだけど・・・


「まぁまぁ、わしかて欲しいもんがあるっちゅーこっちゃ。エリーかてイビルの羽根っちゅーか、杖が欲しいやろ? わしもそんな感じなんや」

「ふぅ~ん・・・」


その言葉に何か顔を赤らめているセシリア。セシリアも何か欲しいものがあるのかな?


「僕は賛成だよ。フレームを作るのにお金はいくらあっても足りないからね。正直、一人ででもキラーマシンを狩り尽くそうとか思ってたぐらいだし」

「コージ、ガイアフレームを作るとか正気・・・? ガイアフレームが好きっていうのは知ってたけど、そこまでいくともう病気だよ」


レイが僕の言葉にあきれた顔をして、突っ込んでくる。いやいや。フレームをできれば自分好みに作りたいって思うのは男の子として当然の気持ちじゃない?


「いや、ガイアフレームは確かに欲しいとは思うが作りたいとまでは流石になぁ・・・ そもそも、どうやって作るのかすら見当もつかん」

「それは、一機ばらしてみればなんとなく分かるもんだって。部品を組み合わせて行くだけでできるんだから、プラモデルとかとそんなに変わらないよ?」

「・・・プラモデルが何かは知らんが、そもそも一機ばらすとか簡単に言うな。普通は無理だ」

「そうそう。ガイアフレーム馬鹿にしかそんな事はできないわよ。コージって別にフレームについて誰かに教わったりしたって訳じゃないんでしょ?」

「うん。あ、でも新しい装備を職人さんと一緒に考えたりはした事はあるよ?」


ハーベイさんやリックさんとかに、いざってなれば教えて貰えそうではあるけども。


「とにかくや、コージは狩りに行くのは賛成なんやな。誰か反対の奴はおる?」


そういって皆を見渡すハルト。そうっと下手に伺う様子で見回すのは反対されるって思っているのかな? ある程度魔物を狩れるようになってきたから、僕達もそれなりに自信がついてるから自分の力でお金が稼げるってなると、賛成こそすれ反対する人は居ないと思うんだけどなぁ。


「だが、遺跡に潜るにあたって誰かギルドランクBの奴はいるのか?」


あぁ・・・忘れてた。そういえば遺跡に潜るには学生証もしくはギルドランクがB以上のもの後はベルスイートの腕章だっけ。しかも、狩った獲物を自分の物にしようとするならギルドランクがB以上なければ無理だし。僕にはセリナが居るから気にした事が無かったんだけども、誰か持ってるのかなぁ?


「それなら、わしが取ってきた。ほれ、これがギルド証や」

「おお!」


取ろう取ろうと考えて、結局徒労に終わって取れなかったギルド証。ハルト何時の間にこんなの取ったんだろう? やっぱり、学園が終わってから一人で頑張ってギルドの依頼をこなしていたんだろうか?


「ついでに私も持ってるわよ。ロバスを出入りするのにこれって便利なのよ」


出入りするのにギルド証が便利なのは分かるんだけど、別に言わなくても良いんじゃない? いつもなら堂々としているセシリアなのに、少し大人しい感じなのも不思議だ。


「ほぉ、セシリアもね。ハルトとセシリアだけが持ってるんだな」

「たっ、たまたまよ! たまたま便利だから持ってるだけですわ! ハルトと二人だけしか持ってないのは偶然なだけなんだから」

「落ち着いてセシリア。誰も何も言ってない」

「・・・・~っ」


エリーに宥められるセシリア。別に持ってるのは良い事だよね? んん?


「・・・という訳で、遺跡に潜るのは大丈夫ってわけや。他に何か問題あるか?」

「お金の分配はどうするの?」

「まぁ、それは最初に決めておかんとな。エリーはイビルの羽根が欲しいやろうし、他の皆も何か欲しいものがある筈や。だから、まず欲しいアイテムを申告して貰おうと思う」


うんうん。欲しいアイテムがあるからこそ遺跡に潜るわけだしね。僕の場合はお金になるのなら何でも良いんだけども。


「で、遺跡に潜って得たアイテムは全て換金する。申告したアイテム以外は全部や。基本は全部山分けや。そいでもって、欲しいアイテムが出たときはそれを買い取って貰う形にしたい。そやけど、最初の内は現金はそないに持ってないやろから、先に欲しいアイテムを渡しておく。で、アイテムの買い上げ価格を調べておいて、どれだけの儲けかはっきりさせておいてメンバーへの支払いを待って貰う。まぁ支払いができるようになったら払って貰うんやけど、利息をどうするかが問題やなぁ」


なんか、意外と言ったら失礼かもしれないけどハルトがしっかりと考えているのが驚きだ。うん、僕だけじゃなかった。他の皆も唖然として見ている。いや違うセシリアだけがうっとりとした顔で見ている。


「あー・・・どうした? こんなんじゃあかんか?」

「ううん、ハルトがそこまで細かく考えてるのに驚いただけだよ!」

「レイ、素直に失礼な事言うな!」


ハルトに捕まって頭をぐりぐりされているレイ。レイって意外といらん事いいだよね。


「利息って言っても、結局皆欲しいアイテムを協力して取るんでしょ? 別に無くてもいいんじゃないの?」

「いや、欲しいアイテムが高額すぎると利息も馬鹿にならんかなと思ってな。損とか得で考えすぎるのはあかんかのぉ・・・」

「まぁ、お互い欲しいものを手に入れられるかはわからんから、その心配もわからんでもない。だが、結局はお互いの信頼がものを言うんじゃないのか?」


まぁ、一人だけ欲しいものが出ないってなったら全力で頑張ると思う。戦果を上げればお金も付いて回るはずだもんね。


「じゃあ、利息とかは考えずに出るまで頑張るっちゅー事でええかいな?」

「そうね。それで良いんじゃないかしら」

「うむ。特に問題はないな」


僕とレイとエリーは頷くのみ。


「よし決まりや。じゃあ欲しい物を教えて貰おうかいな」

「ほいほい」


方針は決まった。後は皆で遺跡に潜ってしっかり稼ぐだけ。頑張ろうっと。

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