新しいフレームの意義
二十プラチナ分のミスリル。四十キロあるんだけど、レアメタル化すると二十五キロほどになる。約半分だ。一度コツを掴めばレアメタル化は失敗しなくて済むんだけど、その過程で僕の能力が一つ分かった。
それは魔力の回復速度が尋常じゃないって事だ。僕の魔力の総量はかろうじてB判定になるかならないかなんだけど、魔力をすっからかんになるまで使ってもすぐに全快してしまう。まぁ魔法を使うとそれなりに疲れるので、二十四時間使いっぱなしとかは普通は無理だろうけど根性を出せばやれない事はないという状態なのだ。
僕が使う魔法は、どれもが魔力をすっからかんになるまで消費するものではないので、何時間でも連射が可能という事になる。なのでアクセルとオーディスをずっと掛けっぱなしでも倒れる事なく使い続けられる。とはいえ、脳みそと身体にかなりの負担がかかるので結局は使いどころを見極めて使うのが一番良いんだけどね。
さてさて、そしてこの出来上がったレアメタル。僕の魔力で造ったせいなのか、僕の意思を反映して形を変えてくれる優れもの。でもやっぱりかさばるんだよね。だから置き場所にちょっと困る。なので、今考えているフレームのデザインのミニチュアとして加工し部屋に飾る事にした。うん、超合金で遊んでる気分だね、二メートル近いからかなりでかい超合金だけど。・・・うーん、やっぱりもう少し小さくしよう、せめて六十センチぐらいに。そして変形前と変形後と変形可能モデルに分けて作る事にした。あと、白夜のミニチュアも作る。色は違うんだけどね。
なんて考えてると、くるくると目まぐるしく白夜のレアメタルの色が変わり、塗装済み完成品モデルみたいに綺麗に彩色されてしまった。なんでもありか、これは!
「あら? これはフレームのミニチュアですか?」
セリナが僕の部屋に入ってくるなり、そう尋ねてきた。ちなみにノックはしていたけど、返事する前に入って来ました。ミミもヒロコも白夜もいる。ヒロコは少し元気がなさそうだけど、大丈夫なのだろうか?
「うん、今考えてるフレームのミニチュアなんだ」
「主よ! 我というものが有りながらフレームを新しく作ると言うのか?!」
「白夜はほら、攻撃力が凄すぎるから切り札として考えてるんだ。で今、考えてるのは高速機動型で基本的に一対一の為のフレームなんだ」
白夜が本気を出せば基本的にオーバーキルになっちゃう。一対一でも確かに強いんだろうけど、スペックが圧倒的過ぎるんだよね。
「確かに多数に囲まれた時にこそ、わしの真価は発揮されるのじゃが一対一でもそうそう引けをとるもんではないぞ。現にあの三桁を止めたではないか」
「だからこそだよ、白夜。僕の技量で「777」を止められた訳じゃないんだよ。白夜が止めてくれた。それはやっぱり、僕の技量では白夜に乗る資格が無いって事じゃないかな? だから僕はフレームの操縦技術を磨いて、白夜に相応しい乗り手になろうと思うんだ」
白夜以外のフレームに乗るというのはやっぱり不満なのか、ほっぺをぱんぱんに膨らませて抗議してくる白夜。だけど今の僕では、せっかくの白夜の性能を生かしきれてない。それは凄く勿体無い事だと思うし、強敵が出てきた時に僕の腕が未熟なせいで撃破されたなんて事になったら泣ける。機体性能におんぶに抱っこではいかんのですよ。
「むぅ・・・わしに乗ったからと言って減るもんでなし・・・じゃが、その意気込みやよしじゃ。頑張って腕を磨くと良いぞ」
でも、たまにはワシにも乗るんじゃぞ! と念を押されたけど白夜も賛成してくれるようだ。パイロットの技量で格上の機体に勝つというのは、漢のロマンだよね。
「でもコージは頑張りすぎじゃないかなぁ? もう少しミミと遊んでくれても良いと思うんだけどなぁ?」
「う・・・」
なんというか、薄着でむにゅっと僕の腕を抱え込むミミにはちょっと困る。少し前までは妹的な風貌と体つきをしていたので、微笑ましい気分になれたんだけど今じゃすっかりお姉さんっぽくなってきて、セリナに負けてないぐらいだ。なにがとは聞かないで・・・
「そうですね、コージはたまには私と遊んでくれた方が良いです。ミミとはこの間一緒に楽しみましたもんね?」
「いや、楽しみましたっていうか不可抗力って事で話はついてなかったっけ・・・?」
ミミとは反対側からセリナがくっついてくる。若干黒い気がするので、腰がひける。
「そうだよぉ。不可抗力だからノーカンだよ、ノーカン。だからミミと遊んでいいんだよぉ~」
「いえいえ、順番でいうとやはりここは私が先では無いでしょうか? コージとの付き合いもミミよりも長いですし。なんと言いますか、コージの好みも知ってますから私はお買い得ですよ、はい」
確かにセリナは最近料理の腕が上がってきてるし、僕の知らない料理を作ってきたりする。だけどそれが僕好みの味で、いつもびっくりしているのだ。ふと見れば白夜が僕の背後からしがみついている。ヒロコはと言うと、なんだか頭をゆーらゆらと動かしてリズムをとっている。不思議な踊りを踊ってる・・・さっきは元気が無さそうに見えたんだけど、相変わらず変で良かった。
「わしが言うのもなんじゃが、最近は朝から晩まで主は戦いすぎじゃと思うんじゃ」
「そうですそうです。たまには、遊んでくれても罰は当たらないと思います!」
「うん、ミミと遊ぼうよぉ?」
でも、僕には一万プラチナを稼ぐ目標ができたんだ。遊んでる暇は・・・無いとか言ったら僕の命が危ないな、うん。
「遊ぶって言っても、何をすればいいのやら・・・」
女の子がしたい事とかさっぱり分からない。遊園地ってこっちの世界にもあるんだろうか? カラオケにしろ、ボーリングにしろこっちには無さそうだし。ゲーセンなんて論外だろうしなぁ・・・
「とりあえず、二人きりになれれば何でも良いのです!」
「「です!」」
そういう物なの・・・? でも、二人きりになるのって無理じゃないかなぁ? 残った子が尾行してきそうだし。ミミとヒロコは前科があるしね。あ、目を逸らされた。
「でも、そろそろフレーム禁断症状が出てきそうなんだ。白夜に乗ってちょっと落ち着きたい」
フィギュアを触ってると少しはマシなんだけどね。
「なんなら、このまま乗って貰っても構わんぞ、主よ!」
「いや、乗れないから」
嬉々とした表情であほうな事を叫ぶ白夜。白夜用の飛行ユニットも完成しているので何時でも空へ舞い上がる事ができる。あ、そうそう飛行ユニットといえばハーベイさんも少しずつ作成しているそうだ。さすがに僕みたいに簡単に量産できないので、受注生産という形になるんだけどそれでも注文が殺到したようで、奥さんに喜ばれているそうだ。なので僕は飛行ユニットを造って儲けないと決めた。だって、僕が造ると一気に大量生産できちゃうので、価格がどーんと下がってしまってハーベイさんが困るかもしれないし。そもそもあの改良した飛行ユニットはハーベイさんの設計だからね。僕が勝手に売る訳にはいかないのだ。
だから僕はほかに金策を探さないといけない。キラーマシンだけだと時間が掛かりすぎるからね。待ってろよ、僕のフレーム! すぐ形にしてやるからな!
そして、ぐふふといつもの気持ち悪い僕を見られてため息をつかれるのであった。
すいません、少し脳みそオーバーヒートしております。二話更新はいましばらくお待ちくださいませ。