妄想のトランスフォームフレーム
僕が乗りたいフレーム。まずは変形すると嬉しいよね。軽量で高速で動いて装甲がとても薄い。近接戦闘が得意なんだけど、中遠距離でも中々強いビーム兵器を持っていて、油断してると痛い目にあう。そんな大まかなイメージがある。
白夜みたいな、重装甲重火器大量破壊兵器装備のような圧倒的な攻撃力でもって、相手を封殺するのも悪くはないけど、やっぱり動き回って華麗に回避しまくって、ばったばったやっつけるのが好きだ。あくまで理想だけども。
だって、それだけの高機動を実現してもパイロットが耐えれるか分からない。マッハの速度で急上昇急降下、急停止から急発進。そんな無茶な事をすれば確かに敵の攻撃を回避できるだろうけど、中の人はミンチになっていてもおかしくない。ゲームだったらそこらへんは考えずに、滅茶苦茶に動くんだけどもね。慣性制御っていうの? それを擬似的にしろ実現できる方法がないと、乗ったら最後そのまま棺おけになっちゃう機体ができあがる事になる。
うーん、重力を無効にする・・・重力、荷重・・・? 重さを無くすとどうなんだろう? 自分の体重を限りなくゼロに近づけたらそれだけ掛かる荷重が少なくならないかな? たしか、重たい物ほどそういう力が働くはずだよね。あとは機体の方にも、同じように処置をしておかないときっと急な制動をした途端にばっきりどこかが折れてしまいそうだ。闇の魔法で重さを軽減させよう。ただ、常に重さを無くすのは操縦者だけにして、機体に魔法を掛ける時はスイッチでオンオフできるようにしておこう。常時発動はまだ難しい。
次は変形をどうしようかな。飛行機型になってかなり高速で移動できるようにしておきたい。なんというかそっちの方がかっこ良いよね。デザインは飛行タイプを念頭に入れて考える。手の部分を変形時にスラスターにして、足部分は機首にする。イメージとしては幅の広い短剣みたいな感じかな。そして、戦闘区域では人型で行動し、戦域から戦域に移動する時は飛行タイプになって、敵の予想を覆す速度で移動する。転移魔法をすれば良いと思うかもしれないけど、フレーム毎転移するとなると、大規模な陣と魔力が必要なんだよね。陣はともかく魔力を集めるのが難しい。グレイトエースの近くに転移した時は、ロバスの魔法教会の人達の協力があったから実現できたんだけどね。まぁ、逆に言うと敵も転移魔法を使ってくる可能性も低くなるって事なんだけどね。
次に武器をどうしましょう。
あれこれ武器を選択して、相手に合わせて多様な武器を持つのも有りなんだけど、それはこの軽量機体のコンセプトには合わない。だけど、ある程度の多様性は持たせたいから射撃武器が良いよね。とはいえ、手に武器を持たせる事はしない。だって、めっちゃ強い武器を持ってて敵に取られて使われたらそれこそ目も当てられない。僕はどっちかというとロボットに手は無くても良い派なのだ。だから武器はすべて内蔵型にする。レーザーブレードと射撃装置さえあれば、実弾にしろ光弾にしろ魔法弾にしろ撃つ事ができるもんね。この点は魔法様さまだ。
うん、だいたいイメージできてきた。後はこれを製作する為の部品を集めるなり造るなりしていくとしよう。あ、そういえば複座型にして白夜を乗せるとかはどうだろう。彼女のサポート機能は非常に助かるし、小柄だから今僕が造れるAIの大きさより断然コンパクトなのだ。いざとなれば、彼女に乗り移って脱出という手もあるし。・・・やっぱ駄目だ、なんかそれは白夜を道具扱いしてる感じがするから、やめとこう。でも、複座型は考えておこう。
必要な部品として小型エンジンを三基乗せ、外部装甲にはミスリルを使いたい。あとはコックピット周りの操縦系統の統一規格部品を一揃えに魔動力を循環させる為のエティムズと呼ばれる鉱物。純度が高ければそれだけ、ロスなく魔動力を循環できるのでなるべく純度の高い物を買いたい。ミスリルも結構な値段するけどエティズムは純度が高くなればなるほど、値段が鬼のように高くなるもんなぁ。
えーっと、ちょっと待ってよ。確かフレームの素の重量って十トンぐらいって言ってたよね。装甲をミスリルにするとしたら、その半分が装甲になると考えても五トン。キロに直すと五千キログラム。ミスリルの単価はキロ五十ゴールド。しかも、今回は加工の手間を省くためにミスリルを謎のレアメタル化する予定なので、大体半分ぐらいになるから、ミスリルの値段がだいたいキロ百ゴールドと考えると・・・えーっと・・・五十万ゴールド? コクピット周りも良いのを選ぶとなると五千~一万ゴールドはいるし、他のパーツとエティズムも入れて、諸々で百万ゴールドぐらいは必要になる・・・かな。
うおー、半端ねぇえええええ!
これはちょっとキラーマシンをどんだけ狩れば良いのか見当もつかない。え、いやあれだ。弾丸発生装置が確か五十プラチナで買い取るってハーベイさんが言ってたから、それ狙いで行くと二百機キラーマシンを倒せば行ける! そうか、たったの二百機か! そう考えればなんとかなりそうな気持ちになってきた! 毎日十機狩れば二十日で目標達成だよね。ある程度資金が貯まれば、即ミスリルを購入してレアメタル化して加工しておけば出来上がるのも早い筈。とりあえず今手元に百プラチナあるから、それで買えるだけ買っておこう。
ぐふふふとか、にゅふふふふとか聞きようによっては気持ち悪い声がコージの部屋から聞こえてくる。あーでもないこーでもない、これでいけるか!? みたいな独り言をぶつぶつと大きな声で呟いている姿はちょっとかっこ悪く見えるってセリナは言うけど、ミミは気にならない。だって、あの変な顔になる時ってフレームの事を考えてるだけだもんね。男の子はロボットとか大好きだもんね。
あのフレームに対する熱心さをもうちょっとミミにも向けてくれたら良いのに。毎日、コージの前では薄着してるんだからチラチラと見るんじゃなく、しっかり見て貰いたいんだけどなぁ。それとも見てるのばれてないって思ってるのかな?
学園から帰ってきたら、すぐに上着を脱いでキャミソールでコージの傍をうろうろしてるのにちょっと離れた所からちらちらと見るんだよねぇ。ソファーに座ってたら、コージはテーブルの椅子に座るし、かといって同じテーブルにつくと、そっぽを向いちゃうんだよね。でも、ちゃんと話し相手になってくれるし、おいしいオヤツも食べさせてくれるし、学園で頑張ったら褒めてくれる。だけど、目のやり場に困るのか上着を着せようとしてくるんだよねぇ・・・そうか、目のやり場に困るんだ。うんうん、それは良い事だ。少しはミミの事を女の子として気にしてくれてる証拠だもんね。にひひ。
せっかくお母さんの言うとおり色々大きくなったんだから、前みたいにお風呂に入れてくれたりお膝に乗せてくれたり一緒に寝たり・・・はしてるね、うん。あれ? おかしいなぁ。コージがそろそろ襲ってきてくれても、良いはずだよね? アピールがまだまだ足りないって事なのかな? 難しいなぁ。でもお母さんの言うとおり、当たって砕けろというか当ててむにゅむにゅしていけば何時かはきっと野獣になるよね。ミミがんばる!