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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ステップ!
129/293

後のお楽しみ

「あー、すっとしたわぁ」


意外にも一番ストレスを溜めていたのはセシリアのようだった。すごい勢いで穴を開けていたからね。今は上気した顔もあいまって、花が咲き誇ってるような笑顔である。ほつれた髪がまた色っぽく見える。ただ、背後に破壊尽くした物が見えなければであるが。


「しかし、部屋が敵やったとはな。道理で攻撃がかすりもしよらん訳や」

「魔法を使わずこれだけの幻影を作り出す技術も恐ろしいが、それを見破るコージもとんでもないな」

「そう? バルトなら僕が居なくてもすぐに見破れたと思うよ?」


なんだかんだで一番冷静なのはバルトだし。レイは冷静なように見えて、結構勘に頼るというか、直感を大事にするというか。まぁそんな感じ。


「いやいや、すごいねぇ。道理でパペットを倒そうと躍起になっていた俺達で倒せないわけだよ、なミリア」

「そうねぇ。幻影かと疑ったけど魔力の流れを感じなかったせいで、実体があると思って余計に当ててやる! って必死になったもんね。範囲魔法で攻撃したりして」


テオ先輩とミリア先輩は、僕達がパペットの種明かしをしてびっくりしていた。今まで何回かパペットを倒してはいるんだけど、それはやっぱり流れ弾や範囲攻撃で装飾が破壊されてしまったので、パペットを自爆“といっても映像だけど“させて部屋の装飾の完全破壊を免れていたのだろう。パペットが居ない時は必ず部屋の装飾がどこか壊れてる時だって言ってたしね。


「さて、それじゃあ奥に進んでみるか。何かええもんがあるかもしれんし」

「いやいや、既に先輩が通過してるから、そんなもんは無いぞハルト」

「ちぇっ、夢も希望もあらへんなぁ。ほいじゃ、引き返すか」

「おっとっと、待って待って。記念に奥を覗いてみようよ。何かおもしろい物が見つかるかもしれないし。ね、ね?」


せっかく倒したんだから、この奥に何かないか確認しておきたい。だって、トリックパペットから良い部品とかはゲットできなかったんだもん。カードを使って何かアイテムが出てくるとかあれば万々歳なんだけど、何か情報だけでもあれば恩の字だ。


「コージがそこまで言うなら、行ってみよか」


にっひっひ。何かフレームに役に立つものがあるといいなぁ~。うきうきとスキップしそうな勢いで奥へと向かう。強敵を倒した後は、なんというか良い物が出てくるのがお約束だよね。パペットの部屋から出て奥へと進む。






奥へと進むとやっぱり行き止まりになっていて、特に何もないように見える。だけど、ここにもあれがある。という事はエレベータになるし非常口にもなるという事だ。十五階層から移動したときはここに出なかったという事は、上から下まで行くルートは色々あるという事だろう。単純に遺跡をまっすぐぶち抜いてるエレベータじゃないようだ。ん? 何かよく見ると少し飾りが豪華というか、枠が金色だ。


「やっぱ何もないなぁ。ただの行き止まりやな」

「そうねぇ。フレームが安置してる訳でも無し、パーツが並んでる訳でも無し。ほんと何もないくせにだだっ広い空間ね」


フレームも入るぐらいのエレベータの入り口だからねぇ。でも、ここから搬入したとして一体どこに運んで行くんだろうか? 分解でもしなきゃ通れないよね。ほかに何か仕掛けでもあるのかな、これって。カードを出さずに行き止まりに見える部屋をうろうろと探す。


「コージ、何してるの?」


床や壁や天井をくまなく調べていると、エリーが話しかけてきた。


「何か良い物ないか探してるの。触るとパネルが出てきたりするかもしれないからね」

「・・・パネル?」

「遺跡には結構あると思うんだけど、見た事ない?」

「ない、教えて」


そう言われて説明しようと思ったけど、どう言えばいいかな。四角の中に更に細かい仕切りがあって、数字が並んでる板・・・? そんな感じで説明すればいいかな。実物を見せられれば一番いいんだけど、今のところ特に反応が無いんだよね。やっぱりカードを出さないと反応しないのかなぁ。


「それで、そのパネルで何をするの?」

「機械の操作・・・でいいかな。遺跡にある機械を操作する為にあるんだ」

「何故?」

「いや、機械を操作できないと困るでしょ? 使える物は使わないとね」


エレベータとか便利な物があるんだから、使わない手は無いよね。


「違う。何故、そんな事を知ってるの? 遺跡に詳しすぎる」

「あー、その何故なのね。うーん、知ってるからとしか言いようが無いんだよねぇ」


まさか、元の世界で似たような物があったから分かるとか、信じて貰うには難しそうだし。セリナ達には言ってあるけど、信じてくれるのは珍しいと思うんだよなぁ。


「また、今度」


僕の葛藤を知ってか知らずか、エリーはそう呟くと僕から離れていった。さて、他にも何か無いか探してみよう。金色枠以外にも、何かあると良いな。






「コージ、そろそろ戻るぞ。今から戻れば丁度いつもの時間ぐらいに帰れるだろう」

「あ、もうそんな時間なのね。了解」


結局、カードを出しているか利用直後ぐらいでないと、こういうのは起動しないようで、何も見つけられなかった。また今度、先輩たちが居ない時にでもじっくり調べに来よう。これから戻るけど念のためにキラーマシンの反応を調べてみる。うーん、やっぱりこの階層には居ないみたいだ。だいたいが五十階層以降に居るようだった。


「キラーマシンも居ないみたいなので、さっさと帰りましょう」

「いや、おまえを待っていたんだがなコージ。おまえはフレームが絡むと本当にマイペースになるな」


ため息混じりにバルトに愚痴を吐かれた。う、ここは素直に謝っておこう。後は帰るだけだけど気を引き締めないとね。今日でベルスイートの活動を開始して四日目。夕方と夜と遺跡に潜っているから、だいぶ日が経っている気がする。トリックパペットを倒した事だし少しはゆっくり体を休めた方が良いかも知れない。というか、そろそろどんなフレームを作るか決めていこうかなと思う。必要なパーツを自作するにしろ、どこかで調達するにしろ、どんなコンセプトで作るか決めないと揃えようがないしね。ハーベイさんの知り合いのリックさんに今度会いに行こう。あの人も職人だったし他にも色んな職人さんを知っているかもしれないしね。


ベルスイート本部に戻った僕達は早速戦果を報告した。今日の結果を聞いたサカキ先輩は一週間様子を見た上で大丈夫かどうかを判断したいそうだ。どうも他の隊員達も同様に狩る数が減少してきているそうだ。


「敵が減ってきている事は喜ばしい事だが、一年生の諸君にとっては逆に出番が増える事になるだろうな」

「それは、少ない数の敵であれば私達でも対処できるからという事だからでしょうか?」

「そうだ。今までは二年が請け負っていた仕事で、実力を上げられそうな物は優先的に君たちに回そう。もっと強くなりたいだろ?」

「はいっ」

「とりあえずそういう事だ。では、帰りたまえ」


まぁ、一番の下っ端になったんだから仕方ないよね。テオ先輩が少し嬉しそうにしているのもまぁ仕方ない・・・よね? ふう~。




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