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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ホップ!
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腕章の特典

うふふふふ。これは良い物を手に入れちゃったなぁ。この腕章があればいつだって遺跡に入りたい放題。今まで出来なかった夜の遺跡への突入がこれで出来る! ギルド証があれば入れるらしいんだけど、ギルド証はランクがB以上じゃないと駄目だからギルドに入って依頼をある程度こなさないとBランクなんて成れないもんね。セリナは魔法教会の関係上、Bランクまで上がってるみたいだけどね。うらやましい。


「と、言う訳でやって来ました夜の遺跡!」


こないだ倒したキラーマシンは、特に目立って良いパーツが無かったのだ。ごくごく普通のキラーマシン。やっぱりフレームに組めるパーツを手に入れようと思ったら深く潜らないと駄目なようだ。サポートAIも作成中断しているし、何かめぼしい物が欲しいんだよね。この間三十五階層にキラーマシンがやってきたのは、きっとどこかに秘密通路みたいな物があるはずなんだ。それを見つけ出せば僕一人でも、素早く深い階層まで短時間で行けるはず。なんだかんだ言って、遺跡を潜るのは時間が掛かるので、ちょっと空いた時間に七十階層まで行こう! なんて真似は出来ないのである。


僕たちが一番最初に遭遇したキラーマシン。あいつは十五階層に姿を現した。と言う事は十五階層にも秘密の通路があってもおかしくないはず。今夜は少しでも違和感が無いか徹底的に十五階層を調べてみよう。






「うーん、今まで通過する事が多かったから良く分かってなかったけど、十五階層ってかなり広いんだなぁ・・・こりゃ参った」


よくあるドーム換算だと、きっと十個分ぐらい楽勝である感じだ。でも、遺跡ってぐらいだからそれぐらい広くて普通なんだろうか。これは探し出すのに時間が掛かりそうだ。うーん・・・何か良い方法はないかなぁ・・・出没する魔物を適当にあしらいつつ遺跡内をじっくりと探索する。壁に分かり易い継ぎ目がないか、転移魔法の魔方陣がないかとか、エレベータが無いかどうか・・・遺跡の行き止まりなどを見つけると、そういった物が無いか時間を掛けて調べていく。だけど、今の所めぼしい成果は上がっていない。そういえば、夕方にオーガを倒したけど今はどうなってるのかな? ふと、そんな事を思い付きレーダーでオーガを探してみた。


「あれ。さっそく一匹この階層に居るなぁ。せっかくだし、倒しておこう」


なんというかごみ掃除の気分だね。せっかく綺麗にしたのにまた出てくるとか、なんて繁殖能力なんだ。あれだけの巨体だから食べる量も半端じゃないだろうに、生態系が狂ったりしないのだろうか? それともこれぐらいオーガがいるのが通常って事? あと最近わかったんだけど、オーガって思ってたより強くなかった。だから、半年前にオーガを倒したときに二年分の授業料を貰ったのは、ほとんどが口止め料的な意味合いが強かったみたいだ。まぁ一年生のほとんどがオーガを倒せないから、浅い階層からオーガが出るなんて知れたら、学園を止めちゃう人もいそうだもんね。


アイテムに従ってオーガの居場所に辿りつく。まだ気付いてないようなので、横から一気に間合いを詰めて止めを刺す。光属性の魔法を入れたおかげで、魔物を倒すのが非常に楽になった。だけど、このオーガどこから出てきたんだろう? この奥から来てたみたいだけど? ちょっと調べて見よう。


「うん・・・? 行き止まりみたいだけど・・・」


オーガも迷ってここまで来たって事かな? 間違った事に気付いて引き返している途中で僕に倒された? そんな間抜けな話もあるかな? でも何かあるかもしれないから、じっくり調べてみよう。て言ってもどう見ても唯の行き止まりで、特に装置があるようには見えない。


「ん?」


良く見ると壁の天井付近に、四角い枠の中に緑色のガラス? が嵌まってるモノがある。人型のポーズが無いだけで非常口のアレによく似てる形だ。怪しいと言えば怪しいんだけど、他に手がかりが見当たらない。どこかに隠されてるのかな? 非常口灯の真下まで来て見上げてみる。あれっ、なんか壁が光ってる。


“現在、この非常口は一方通行です。外に出るには他の非常口をご利用下さい“


そんな文字が壁に日本語で流れ出した。じっと見ていると右から左へ繰り返し流れ出す。非常口? 一方通行・・・? 外に出るには他の非常口・・・? 疑問に思いながらも壁に流れ出る文字を反芻する。その意味はどう考えても、ここが何かの施設でこの壁の先は本来は非常口として機能している物だ。そして、暫くすると壁の文字も静かに消えた。


「要はこの壁は外と繋がっているって事で間違いないのか。だからオーガが遺跡の内部に急に現れたりするんだ・・・ていうか、入り口はどこにあるんだろ?」


古代遺跡ってなんというか近代的な建物な気がしてきた。いや、どっちかというと未来の建物の可能性の方が高い。古代遺跡ってのは日本の未来なんだろうか。違うにしても日本語が使われているのは間違いないし、僕には遺跡の秘密を暴ける可能性が高いはず。


「ちょっとわくわくしてきた。フレームとか安置してる場所とかも僕なら楽に見つけられるかも・・・ぐふふ」


ちょっと壁に目印をつけておこう・・・って、駄目だ。遺跡内部って修復機能があるから傷とかつけても後から来てもきっと、わからなくなってるはず。て事は僕が道をしっかり覚えておく必要があるわけか。ここに来るまではかなり入り組んでたから覚える自信があんまりない。仕方ない、紙に地図を書いておこう。それが確実だ。


「非常口があるなら、やっぱりエレベータかそれに近い物がきっとあるよね」


しかも、非常口なのに一方通行になるとか変な仕様だし。なんで外から中へしか入れないんだろうなぁ? とりあえず、これからは通路の天井付近も気をつけて移動する事にしよう。けど今日は闇雲に動きすぎて疲れたなぁ。嬉しい発見をしたけど、今日は帰ろう。うふふふふ。楽しみは後にとっておこーっと。






「・・・ようやく、帰るか」


元気が取り柄の小猿が一人で遺跡内部に居るのを見かけて、心配でこっそりあとを付けて見たがまったくの杞憂だった。まったく、あれがただの元気が取り柄の小猿にしか見えてなかった自分を殴りつけたい。


「オーガを瞬殺か・・・」


不意を付いたとはいえ、明らかに倒しなれている様子でオーガがまったく何もできずに倒された。あの青い不思議な武器も恐ろしい威力を秘めていたが、あの小猿は他の得物を持っていたとしても、同じようにオーガを瞬殺したであろう。それだけの踏み込みと斬り込みの鋭さがあの一瞬の戦いで分かった。いや、分からされたというべきか。


「恐るべきはあの小猿。いやアースとか言ったな。良く覚えておこう」


有望株の一年を見つけて、気分がよかったので気まぐれで遺跡に潜っていたがさらに嬉しい収穫があるとはな。いやはや、世界は広いと言う事だな。


「いずれ、遣り合いたいものだな・・・」


同じ学園。しかもブロックまで同じなのでいずれそんな機会もあるだろう。くくく、まったく楽しみだ!


光司くんはまだギルドに登録してません。


ロウにすぐにばれてしまいました。いやはや。光司の運が悪いのか

ロウの運が良いのか・・・



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