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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ホップ!
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ADD

「もうね、いい加減諦めていい頃じゃないでしょうか、先輩」

「ううん、むしろ引けないの。これだけ粘って何も無かったなんて女の恥だものっ」


いや、先輩ほど顔立ちが整って成績優秀な人ならそれぐらい気にする人なんて居ないでしょう。だから、一年坊主に構うのは止めましょう。


「えぇっ!? わたしを捨てちゃうの? そうなの? ワンモアチャンス!!!」

「捨てるも何も拾ってません。そしてチャンスは絶対ありません」

「そうよね、すでに見も心も繋がってる二人だもんね。うふ」

「今の言葉に、どういう思考回路でその台詞につながっちゃうの・・・?」


本当に疲れる! いくらすっごい美人の先輩だからといって、毎日こうやって相手するのは正直面倒くさい。まぁセリナ達のおかげで美人に慣れてるからこそ、こうやって冷たくあしらえるんだけどね。もしセリナ達が居なかったら、向こうの思いのままで僕は簡単におもちゃにされてたんだろうなぁ、と簡単に想像がつく。


「そこの二人待ちなさい。まさかとは思いますが、不順異性交遊などしていませんわね?」


そういって僕達を引き止めたのは、緑色のリボンの三年生だ。美しくなびいている金髪は毛先の一本一本まで整えられている。卵形の頭に綺麗に整った切れ長で少したれ目がかった青い瞳に、すっと綺麗に通った鼻筋。すこし厚めの色気のある唇は、ぷるぷると瑞々しさを保ち少しだけ開いていて、男たちを虜にせずにはいられない。


なんだこの色気たっぷりの綺麗なお姉さんは・・・? むしろあんたがそういう事をしてるんじゃないかと問い質したい!


「どうなのです? はっきり答えなさい」

「あら。していたらまた変な事をするんですか、レインボー先輩」

「あなたでしたのね、生徒会長さん。最近、男に入れ込んでると聞いてたのですが、噂は本当だったのですね」

「男女が愛し合うのは自然の摂理。私にも愛する男性が居ても可笑しくありませんよ、レインボー先輩」


にまぁといやらしい笑みを浮かべる先輩。あぁどっちも先輩だから生徒会長だね。うん。


「生徒会長自らそんな事でどうしますか。学園の風紀が乱れます、風紀が」

「風紀委員長だからといって、生徒の間に燃え広がる愛の炎は消せません! 負けませんよ先輩!」


あーれ・・・? こんな見た目なのに風紀委員長なの? むしろ乱す人じゃないの??? だってこんな人が傍にいたら、ふつう絶対落ち着かなくなるって。・・・男なら。


「えっともう行って良いですか? 生徒会長に付き纏われて困ってたんです」

「えぇ~コージ君、つめたい~!」


あぁもう! さり気なく僕の名前をアピールしやがった、あなどれん人だ。


「つめたくて結構です。それでは!」

「待ちなさい。あなたのクラスと名前を教えなさい。わたくしは風紀委員長のレイチェル=レインボーです」


興味を持たれちゃったかぁ、とほほ。生徒会長め・・・


「コージ=H=アースです。一年の赤組です。行っていいですか?」

「・・・覚えましたわ。あまり学園内ではしゃがないように」

「はい。失礼します」


とだけ言って、さっさとその場から逃げる。変な人に目をつけられちゃったなぁ・・・生徒会長のせいで! もうぉおぅうぅうう!






「ほうか。ついに風紀委員にまで目を付けられてもうたか。まだ一年やっちゅうのに楽しい事になっとんなぁ、自分」


もぐもぐとパンを齧りながら、人事のように言ってのけるハルト。君の愛しの生徒会長も一緒に目を付けられたんだけどもね。好きならさっさと、かっさらって行って欲しい。


「ぶほっ。おまえ人には過激な事いうなぁ・・・自分の事は棚に上げてよく言うわ」

「それよりもさ、どうすれば風紀委員の目から逃れられるかなぁ・・・?」

「おとなしゅうにしとれば、問題あれへん。それか、生徒会長が来たら全力で振り切るぐらいしとったら平気なんちゃうか?」

「あの無駄に色々凄い生徒会長だよ。振り切れると思う?」

「すまんかった。そやけどおまえはその内、ベルスイートにも目ぇ付けられそうで怖いわ」

「なにそれ? おいしいの?」

「あれだけ目立つ集団やのに、おまえは興味無いんやなぁ。生徒の中でも教師に次ぐ力を持つ人の集団や。たまに教師の替わりに授業を受け持ったりするしな。勿論、優秀な人材でないとベルスイートには入る事はできひんけどな」

「ふぅん。むしろハルト達のほうが呼ばれそうじゃない?」

「どうやろな。生徒会長はベルスイートを蹴ったっていうのは聞いたけどな」

「自由だねぇ、あの人は・・・」


まったく生徒会長はため息ばっかり出てくるよ、ほんと。





今日の魔法の授業は術式と詠唱について細かく解説してくれた。この世界には見えないけれど精霊が居て、常にあたりをさまよっているらしい。ヒロコもだいたいそんな感じだよねぇ。見えてるけども。それで、呪文の呼びかけに応じる際に、術式に通っている魔力のとおり具合を見て、力を貸すか決めるそうだ。まぁ、だいたいは魔力が通ってさえすれば、力を貸してくれるのだが、まれに術式に通っている魔力がお粗末すぎて発動しない事があるらしい。そして詠唱の内容を聞いてだいたいの内容を把握して、詠唱者のイメージを受けてそれに近い内容を発動させるそうだ。でもほとんどの場合が詠唱の内容だそうだ。


だけど、アイテムでの発動の場合は術式がメインとなる。だいたいが術式と詠唱語句が掘り込まれているんだけど、この場合術式に綺麗に魔力が流れるようにしていないと精霊たちの興味を引く事ができずに、詠唱語句をなぞって魔法を発動をさせてくれないそうだ。セリナが使う無詠唱というか身振り詠唱もこれに近いそうだ。


「このように術式は非常に大事なものなのです。詠唱とイメージさえしっかりしていれば魔法は発動しますが、やっぱり術式をおろそかにした魔法はそれなりの力しか発揮できませんので、注意してください。強引にイメージだけで精霊をひっぱっていく人も中には居ますが、あまり推奨できません。あくまで丁寧に精霊にお願いをして、力を貸して貰うという事を忘れずに魔法を使ってください」


なるほど。魔法は結局精霊にお願いするって事なんだね。自分の魔力でなんでも実現できているんだと思ってた。あれ? でも基本魔法はどうなるの?


「はい、基本魔法はどうなんだ? と思いつかなかった方は居ますか? 駄目ですよぉ、ここは疑問に思う所ですからね。で、基本魔法の場合の呼びかけは精霊に呼びかけるものでは在りません。これは回復魔法や祝福魔法にも言える事です。対象が物品であったり魔力であったり、体力だったりします。何にも呼びかけない事もありますが、その場合は魔力に呼びかけるのを省略してると考えてください。なんにせよ、呼びかけた物に力を借りるという事をしっかり認識した上で魔法を行使してくださいね」


結局は力を借りたい物に呼びかけるって事なのね。なるほど~。わかってたようで、ちゃんと理解してなかった。これからはそういった事も意識して魔法を使うようにしよう。



少し短いです。


生徒会長が目立つから、自然と光司くんも目立ちます。なので色んな人から

注目を浴びているのです。

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