武器作成の素材集め
「ギル」をこの世界の品物で再現するには、ある素材が必要だ。それさえあれば後は加工して合金を作り、組上げるとできあがるはずだ。簡単に言うとそれだけ。だけど、ミスリルって普通に売ってるのかなぁ? 前は魔力でめきょきょって創り出したから何も苦労が無かったんだよねぇ。必要なのはミスリルが十キロに魔力を込める為のオーブに、術式を書き込む為の銅版。ミスリルって元々軽いから十キロともなるとかなりかさばる。
やってきたのは、東ブロックのリックさんのお店。フレームのお店なんだけど、そういった素材を扱ってるお店を知らないか聞きに来たのだ。もし、リックさんのお店でも扱ってるなら分けて貰えるかもしれないし。
「こんにちはー、リックさん居ます?」
丁度なにか作業をしている店員さんにそう尋ねると、少々お待ちくださいと言ってお店の奥に消えていった。はぁ~やっぱりフレームは良いなぁ。四足タイプも有りっちゃ有りだけど、あんまり流行ってないんだよねぇ。だからタイプが限られているのが残念だ。人型だと乗る人が多いから、色々選べて楽しいんだけどね。
「よお、どうした。フレームが欲しいのか?」
「はおっ!? あ、あぁリックさんお久しぶりです。今日はフレームじゃなくて教えて欲しい事があるんです。今、お時間大丈夫ですか?」
「ん? なんだ俺にできる事なら良いんだが」
久しぶりに来たので、ハーベイさんの知り合いの光司です! って説明が必要かと思ったんだけど、それは杞憂に終わった。
「あのですね、武器を自作で作りたいんですけどそれの素材が必要になりまして、その素材っていうのがミスリルなんですけど、仕入れるお店とかご存じないですか? あ、あと一ミリの厚さの銅版も欲しいんですけど」
「あぁ、そういう事なら俺でも力になれるぞ。うちにも在庫があるから持ってくか?」
「あ、良いんですか? ミスリルはキロ辺りいくらぐらいなんでしょうか? 銅版は一メートル四方の物があれば大丈夫なんですけど」
「銅版はそれだと一ゴールドだな。ミスリルはキロ五十ゴールドだな。何キロ要るんだ?」
「十キロ欲しいんですけど、あります?」
「そんだけで良いのか? すぐ持ってきてやる」
そういって、奥の方へと消えていくリックさん。良かった、フレームにもミスリルが使われてるみたいだったから、有るとは思ってたんだけど僕が要る分だけ在庫があって助かった。あ、帰ってきた。
「まずは銅版だ。あとはこれだな。ちょいとかさばるがミスリルだから仕方ない。」
諦めろって言って、僕にぽいと放り投げる。リックさんって意外と力持ちなんだな・・・
「じゃあ、五百一ゴールドです」
「おう、毎度あり! また素材が要るなら何時でも来い。フレームに必要な素材ならほぼ取り揃えているからな」
「はい、ありがとうございます。また来ます!」
ようし、これで本体部分の素材が確保できた。次は魔法教会でオーブを調達に行こう。セリナも一緒に付いて来て貰ったら割引して貰えない・・・かな? 一度家に戻って聞いてみよっと。
「オーブですか? 買うのも良いんですが、魔物から取ってくるのも手ですよ?」
「え、魔物から取れる物なの? オーブって・・・」
「はい、スライムとロックゴーレムとドラゴンですかね。スライムから取れる小さいオーブも中々に需要があるので、結構取ってくる人は居てますよ」
「へぇ~・・・そうなんだ」
だけど、せっかく武器に使うものだし良い物を使いたい。ドラゴンなんかから取れる奴ならさぞかし大きくて良い物なんだろうなぁ・・・
「あ、でもドラゴンの場合は良く分かりませんよ? 大きくてそれなりの物ですとか、小さくても物凄く魔力を込められる物ですとか。ピンからキリまで当たり外れが多いんですよ。一時期はガイアフレームでドラゴン狩りが流行りまして、空を飛ばないドラゴンは数が少なくなってしまいましたし。なので狙うなら翼竜になりますかね」
「それってガイアフレームが空を飛ばないから、翼竜がたくさん生き残ってるって事なの?」
「いえいえ、空の王と呼ばれる古代竜が居るのが大きな原因ですね。古代竜とその眷属がかなりの力を持ってまして、その竜の縄張りには誰も近づけないのです」
「なるほどねぇ・・・古代竜かぁ・・・」
なんというかロマンを感じるなぁ。昔から生きている竜って。なんか人間に変身してすごい力を持ってそうだ。ちょっと見に行きたいなぁ・・・
「コージだめですよ。古代竜は一吼えで山を割り、その羽ばたきは町を吹き飛ばすと言われています。そんな言い伝えがありますし、実際に竜の縄張りの近くには地面が抉れた後が残っている場所がありますから、戦おうとか考えちゃ駄目ですよ?」
「あれ? でもそれなら翼竜も狩れないんじゃないの?」
「縄張りから離れた高山などにも、結構な数がいるので大丈夫ですよ」
あぁ良かった。でも、オーブを竜から取るのは凄く時間が掛かりそうだ。衛星で居場所を調べてすぐに行けるようにはしておくつもりだけど。今回は教会で良さそうなオーブを買って、それで作るとしますか。
「じゃあ、竜を狩りに行くときは一緒に来てね。今日は教会でオーブを買いに行く事にするよ。じゃないと時間が掛かりすぎるからね」
「行く時はいつでも一緒に行きますからね。コージが良いなら二人きりでも良いですよ?」
またどんどん語尾が聞こえなくなる。前からセリナって顔を赤くしながらそういう事が良くあるんだよね。そんなに恥ずかしい事を言ってるのかな? ちょっと興味あるかも。それはさておき、セリナを連れて教会へと向かった。ミミ達はまだ帰ってないようで、外で何かしてるみたいだ。普通の女の子ならこんな時にウロウロさせたりしないんだけど、下手すれば僕なんかよりよっぽど強いから大丈夫なんだよね。あははー。
セリナと一緒に魔法教会に赴き、せっかくだからトレイルさんを呼んでオーブを見せて貰った。良く考えたらトレイルさんが居るから、セリナが居なくても良かった?
「そんな事考えたらトレイルが消えて無くなる事になりますよ、コージ☆」
うおぉおおおおおぉ、怖ぇええええ、心の中をさりげなく読まれたよ。セリナは要るよ、セリナは要るよ、セリナは要るよ! 心の中で三回そう唱えると、黒いセリナはどっかに行ってくれたようだ。危ない危ない。そんな生命の危機を露知らず、トレイルさんはオーブをわざわざ持ってきてくれた。そういえば、トレイルさんも名前はレイモンドなんだよね。レイモンドって名前は人気があるのかなぁ?
「コージ、これが内で程よく手頃なオーブだよ。ほとんどがロックゴーレムから取れた奴ばかりだねぇ」
「へぇ~・・・」
「ギル」のグリップ部分に入るぐらいの大きさのオーブをいくつか見て見る。一個だけじゃなく何個か入れて、動力にするのも悪くないからね。いくつか目ぼしい物を選びだして値段を聞いてみると、全部で二百ゴールドで良いらしい。良かったこれなら予算内だ。
「トレイルさん、ありがとう。これで自分好みの武器が作れるよ~!」
「そうか、また模擬戦をしに来てくれよ、コージ。君の魔法を打ち破る為にわたしも色々研究しているのだからね」
「あ、そういう事なら今度一緒に魔法を作りませんか? トレイルさんの風系統でも良いですし、球魔法を一緒に作るのでも良いんですけど」
「え、コージさんの魔法って作れるんですか?!」
「あ」
僕の魔法に凄く食いついてくるセリナ。そういえばセリナは魔法オタクだったよね・・・僕が魔法を作れそうってそう言えば言って無かったっけ・・・?
「そんな事ができるのを黙ってるコージさんは、ひどいです。私がどれだけコージさんの魔法を習得したいかご存知なくせに。じー・・・」
「ご、ごめんセリナ。じゃじゃあトレイルさんと一緒に作るっていうのは・・・」
「い、いやコージ、わたしは良いぞぉ。二人っきりで作ってから教えてくれたまえ! わははは」
グリン。
トレイルさんを一睨みしてまたこちらへ視線を戻してくるセリナ。どんな顔で脅したかわかんないけどトレイルさんの怯え様が怖い。一体どんな顔をしたんだろう・・・
「じゃ、決まりですね。一緒に魔法作りましょうね、コージッ♪」
「うん、そうだね、そうしようね。あははー」
「ギル」を創れるのはどうやら夜中になりそうだ。うひー・・・
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普通、ゲームとかだと素材を求めて魔物を倒したり迷宮の奥へ行って
掘ったりして集めるものなんですが、普通に買って終わりました。
なにそれ!?
いや、でも早く欲しいからつい欲しい色じゃなくてもP○PとかD○とか
買っちゃったりしますよね? そんな感覚です。・・・例えが悪いや・・・