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深呼吸は平和の証  作者: Siebzehn17
ホップ!
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今後のプチ目標

ロバス郊外にひっそりと佇む屋敷がある。ひっそりと言っても、その威容は他を圧して存在感を充分に撒き散らしている。にもかかわらず、ふと屋敷から目を離すと途端に気にならなくなってしまう屋敷。

貴族の屋敷なのであろう。本館とは別に別館があり、そこには使用人達が押し込められているようだ。しかも敷地内にありながら目立たないように回りを木々で囲まれ、本館からは決して見えないようにしている徹底ぶりだった。外側から見ればひっそりと佇んでいるように見える屋敷だが、一度屋敷に入ればその豪華な造りが良く分かるようになっていた。


そしてその屋敷では、ある謀がすすめられていた。


屋敷の奥にある一部屋でヒューイは、黒装束の男から報告を受けていた。


「で、俺の言った通りガキが印を持ってたんだろ? これでやっちまう奴がはっきりしただろ。あとは即座に実行するだけだ」

「まてヒューイ。おまえが逸るのも分かるが、今はまだ不味い。首都に長子を人質に取られてる今は迂闊には動けんのだ。まずは、他の貴族の協力をだな・・・」


報告を受けたヒューイを宥める男。四十代ぐらいでグレーの髪を簡単に後ろに撫でつけて、眼光は鋭い光を放っている。


「ぬるい、叔父貴はぬるすぎる。即断即決、果断実行。やるなら少々のリスクは気にせず行くべきだ!」

「それで返り討ちにあって無様な姿を晒したのを忘れたか、ヒューイ。貴族に対してあのような所業をしてのけたあの小僧。到底許せるものではなかろう?」


そう静かに語る男の瞳には、抑え難い復讐の炎がはっきりと見て取れた。ヒューイの無様な姿を思い出し、怒りを再燃させているようだ。


「・・・分かった。叔父貴がそう言うなら、我慢しようじゃないか。何か考えがあるんだろ?」

「くっくっく、だからそう言っておる。ヒューイ。お前は本当に貴族らしい貴族だと俺は思っている。だから、次の家督をジョーイが継ぐのには反対だ。絶対おまえが家をエディン家を継ぐべきだ」

「叔父貴・・・」

「その為にも、他の貴族の協力・・・いや犠牲が必要なのだ。まぁ任せておけ」


そして、壁際に今まで息をひそめて畏まっている黒装束の男に目を向ける。


「おまえは、コージというガキをしっかり見張っておけ。あと弱みが無いかもしっかり調べておけ。いいな?」


その言葉に大仰に頷き返す黒装束の男。そして、一礼をし静かに退出していった。






「うーん・・・完全に姿を消してるみたいだねぇ。て事は、熱源もしくは匂いで相手の位置を探すしかないかなぁ。心臓の音とかのほうが良いかなぁ? うーん・・・」


侵入されたので衛星の映像を確認したんだけど、侵入者の姿はまったく映ってなかった。完全に見えないようで、他の探し方をする必要があるみたいだ。


「いや、ちょっと待てよ・・・」


もう一度映像を良く見てみる。窓から飛び出て逃げ出した場面をじっくりと見る。窓枠が地面に落ちる。いくつかの破片がちらばり草の上にばらばらと落ちる。まだ魔力を感知する警報は鳴っていない。ゆるやかな風が草を揺らした後、警報が鳴る。


魔力を使わずに何かの能力で姿を消しているみたいだって言うのは、分かった。屋敷の周りの柵を乗り越えようとする生き物を発見次第鳴るのが侵入者警報。屋敷内で警報除外装置が無い場所で魔法を使うと鳴り出すのが魔力感知警報。窓が落ちて少ししてから魔力感知警報がなったのは、外にでてすぐ転移魔法を使わずに時間を置いて使った為なんだろう。


「コージ、ここおかしくない?」

「どこ?」


僕が考えている間も、ミミが映像を確認してくれてたんだけど気になる所を見つけたようだ。


「いくよ、ここら辺をじっと見ててね」


窓枠が落ちる所からだった。窓枠が落ちてきて、地面に破片がちらばりおかしい所は分からない。


「ここの草をようく見てて」

「草?」



草が揺れているんだけど、ん? 人が掻き分けて進んでる・・・のか? 警報がなった途端に草は支えを失ったかのように、元に戻っていく。ただし、踏みつけられただろう草は倒れたままだった。


「よく見つけたねミミ! ありがとう! 姿が消えてても重さは消せないみたいだね。どこから侵入したか、これで分かるかもしれない」


でも、対策を練るのが先かな。姿を消してるんだからどこからだって入りたい放題だろうし。仕方が無い、使いたくないけど、印の力を使って強固な結界装置を作ろう。他の人が屋敷の中に入れないようにね。







結界を張って次の朝。


「光ちゃん、久しぶりぃ!」


いつもどおりの日課をこなして、朝ごはんを作って食卓に運んできたら、父ちゃんが居た。どうやって入ったのこの人? と思ったら母さんがウインクしてきた。なるほど、それで入れたのね。


「おはよう、父さん。単身赴任でずっと帰れない父さんの気分はどう?」

「せっかく一緒になれたのに、一人で寂しいよ光ちゃん。まったく貴族の馬鹿どもめぇ・・・って今回はその貴族のおかげで来れたんだよな。父ちゃん複雑・・・」


なんだか、一人で落ち込んだり怒ったりしてる父ちゃん。そこへセリナ達が降りてきた。


「おはようございま・・・お義父さん、おはようございます」

「あ、お義父さんおはよう」

「おはようなのじゃ」

「ぐにゅぐにゅ・・・」


約一名ぐにゅぐにゅしているが、他は父ちゃんに気づいて元気良く挨拶している。


「やぁ、眼福眼福。女の子が家に居るのは良いもんだねぇ、光司」

「肌が綺麗になって、さらに可愛くなった母さんを忘れてるよ、父さん」

「っ・・・」


あ、有無を言わせずにいちゃいちゃしに行った。いや行かされた。南無。


「心配で見に来てくれたみたいだね。今後、貴族が動くかもしれないから対策を練らないとね。父ちゃんにはそこら辺をお願いするつもりなんだ」


この世界なら印を封じる薬とか結界とかもあるかもしれない。あとなんの力か分かってないと僕に何かしようとした時に対抗できない。でも、僕に印があるってヒューイ以外にもばれちゃったから、危ないのは父ちゃんかもしれない。注意しとかなきゃね。


「じゃあ、今日は学園にどうします?」

「んー・・・せっかくだし行くよ。街中で何かしてくる事もないだろうし」

「じゃあ準備してこよーっと。セリナ行こっ」

「はーい」


あっという間に朝ごはんを食べた皆はそれぞれ準備をしに部屋に戻っていった。さて、僕も片付けてから準備をしますか。






今日は昨日の戦績の発表だけど、怒られた。成績は結局一位だったんだけど、討伐証明部位の中にキメラやらオーガやらレッドベアが混じってるから、当然二十階層まで潜ったのがバレる。この間のように偶発的に戦闘が起きたわけじゃないしガイドクリスタルで位置を確認されてるから、隠し様が無いってのもある。でも、普段からの僕達の頑張りを知っているので、口頭注意だけで済んだ。前みたいに危機一髪な状況になってたら、危なかったんだろうけどね。


「あー・・・メカと戦いたいなぁ・・・」

「おまえは何を言っとるのだ?! 今怒られたばかりだろうが! 少しは反省しろっ」

「はーい・・・師匠は本当に固いよね~」

「だまらっしゃい!」

「あいたっ」


遺跡にはキラーマシンのようなメカも徘徊している。これがフレームのパーツに転用できるものもあるので、それ目当てに潜っている人も少なくない。確か三十階層を超えてから小さいメカが出てくるようになるらしいんだけど、そこまで降りるにはまだまだ時間がかかりそうだった。


「なら、私達と内緒で行きませんか?」

「!」


その手があったか! そういえば学園に入ってからこっち、そういったお金稼ぎをまったくしてなかったよね。まぁお金は困らない程度・・・いや、普通に生活するには余るぐらいなんだけどフレームを作るにはまったく足りない額なんだよね。


そして、セリナとミミの二人がいればキラーマシンを撃破できる。そして今は白夜もいるわけで、遺跡の中でフレームが戦うとかある意味チートだ。まぁヒロコは応援しかしないんだけどね。とほほ。


だけど、キラーマシンをゲットするには五十階層まで潜る必要がある。その点だけは少し不安材料なんだよね。うーん、今回はお金稼ぎと割り切って能力を解禁して行こうかなぁ。いやいや駄目だ。やっぱり自力でなんとかできるまでは、行かない様にするかぁ。アクセルだけでも再現できれば安全だから、目標はアクセルの再現。だねっ。あ、でも「ギル」もできれば作っておきたいなぁ・・・ 設計図はあるから後は素材の調達と加工と組み立てだけなんだよね。


「アクセルを再現できてからで良い? なるべく使いたくないんだ」

「はい分かりました。行く時は教えてくださいね、コージ」

「うん、ありがとう」


そうと決まれば、買出しに行かないとねっ。ようし、頑張るぞぉ!


能力ではなく、自分で鍛え上げた力で頑張ろうと決めた光司くん。

だけど、その意思とは関係なく能力を使わないと駄目になるのです。


ガイアフレームをもっと出したいっ!

ていうか、改造したい! だけど急にはできないぃいいいい・・・


ここを乗り越えたら、ロボット戦隊物に変わるんだ・・・たぶん

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