波乱を呼ぶ生徒会長
最近、お母さんの言うとおりになってきたの。
「お母さんと一緒に暮らせば、おっぱいもお尻もぼーんよ、ぼーん! セリナちゃんにも負けないぐらい大きくなれるわよ~?」
なんでか背はあんまり伸びないけど、他はお母さんの言った通り。ぽよんぽよんって弾むようになったの。コージも嫌がってるふりをしてるけど、鼻血を出しそうなぐらい喜んでくれてるのは知ってるの。コージ達と一緒に居るようになってから、凄く毎日が楽しい。そりゃあこの間は大変だったけど、今となってはそんな事もあったよね~って程度の話。で、今日は運良くコージを捕まえて二人きりになれた。一緒にお茶を飲んで、お店を見て周っておやつを買い食いしてみたり、お揃いのコップを買ったりと普通の女の子がするような事がいっぱいできた。
「みんなにもお土産を買って帰ろうね、ミミ」
そう言ってちゃんと皆にもお土産を買って帰るコージ。今ぐらいミミの事だけ考えてくれたら良いのにねっ。コージのあほちん。知らず知らずほっぺが膨らんでたみたいで、コージにつんつんされちゃった。どうせならもっと下の膨らみをつんつんしてくれても良いよ?
「そういうのは、二人きりの場所で言うのが良いよ! 恥じらいを持ってください、恥じらいを!」
だって、コージしか見えてないから仕方ないと思うんだ。あ、でも泥棒猫は見えるね。セリナとかセリナとかセリナとか! 嘘ですゴメンナサイ、もう言いません。今、何か凄い怨念を感じた。セリナ可愛いけど怖いよぉ。
「うん、怒らせたら一番怖いんじゃない・・・ごめんなさいもう言いません、ほんとですからっ!」
コージも攻撃を食らってるね、うん。これ以上は考えないでおこーっと。空いてるコージの腕を取りきゅっと抱きつく。コージはミミが成長してるって気付いてないと思ってるみたいだけど、ミミだってちゃんと気付いて悩殺してるつもり。だって抱きついたら真っ赤な顔してあたふたしてるコージって可愛いもん。ミミも胸がきゅっとなって嬉しくなるから、とても良い事なの、うん。これからはこんな日をもっと増やしたいなぁ~。頑張ろうっと!
「ただいま~・・・お土産だよっ☆」
僕の台詞にジト目を止めないセリナに白夜。ヒロコだけだ、ひっかかってくれたのは。だけど、今日の脱出は仕方ないよね? ミミが居なかったら僕、生徒会長の餌食だったんだよ?
「まぁ今日のミミとふたりっきりで逃げ出した事に関しては、仕方ないとしましょう」
僕の悪くないよね光線が効いたのか、はたまた諦めたのかセリナはそう言った。やぁ、助かった。お土産みんなで食べようよ、これフルーツのムースで冷やして食べると凄くおいしそうだよ?
「う・・・お土産はとりあえず、脇に置いておきまして。コージさんっ! いつどこでなんで生徒会長と知り合ったのですか・・・?」
「えーっと・・・」
その事についても横に置いて欲しかったなぁ。そんな事を考えていると今まで静かだったミミまで、僕を逃がさないように腕をしっかりと掴んできた。だ、だめだ!
「あの、生徒会長かは知らないけど昨日の放課後女の人に絡まれました。決して知り合おうとして話かけたりしてません、ほんとうです」
ミミに気を取られている今、僕には嘘をつくという事ができない。だって、凄く気になるんだもん。
「では何故、あんな放送を使ってまでコージを探し出そうとしたか、心当たりは無いですか?」
「えー・・・何か言われてたけど、ぶっちぎって逃げただけで会話らしい会話なんてしてないんだよ、ほんとだよ? 泣いてた顔は見られちゃったみたいだけど・・・」
「それです! コージの泣いてる可愛い顔を見てきっと一目ぼれされたんです! そんな事で惚れるような人にはますますコージを渡せませんね!」
「え? でもミミもコージの顔にびびっときたよぉ?」
「普通の顔の時は良いんですっ! わたしもそうですし・・・」
セリナの語尾のほうが、ごにょごにょとしてて聞き取れない。でも、生徒会長が僕に一目ぼれとか無いと思うんだけどなぁ。あの人って人をからかって遊ぶのが大好きそうな人だし。あの能天気な放送とかひどすぎる。僕が泣いて走ってるのをわざわざ重要とか言って、言いふらすし! うわぁあああああああ、思い出したら恥ずかしくなってきたぁ・・・・
どうしてくれようか、あの人・・・
「あーそういえばヴァイス君との模擬戦すっぽかしちゃったなぁ・・・」
「良いんじゃないですか? どうせ勝つのはコージですし。弱い人には言わせておけばいいんですよ」
「それより明日が大変そうだよねぇ・・・あの生徒会長って凄い人気あるみたいだし。ハルトはともかくバルトまで、僕を売ろうとしたぐらいだからねぇ・・・」
あの質実剛健なランバルトがそこまでするとは、相当な事だと思う。ぱっとしか見てないから良く分からなかったんだけど、そんな綺麗な人だったっけ?
「一度、生徒会室に顔を出す必要があるかもしれませんね。勿論、ご一緒しますからねコージ。一人だと何をされるか分かりませんし・・・」
「うん、それは僕も思った。あの人と二人きりで会うのはちょっと嫌かも・・・」
「コージ、やっと分かってくれたんですね! 私たち以外の女性は危ないんです、だから他の人に目を向けたら駄目なんですよ?」
いや、そういう問題じゃなくてもっとこう、いじられそうで嫌なんだよねぇ。
「とにかく明日だね。何かあったら宜しくね、みんな」
みんなの力を借りれば、何があってもきっと大丈夫だろう。ハルトバルトはちょっと怖いかもしれないけども、なんとかなるよね。たぶん。
「さぁて、どうゆう事か説明してもらおうかぃ、コージ」
ハルトが珍しく僕より早く学校に来てたかと思ったら、開口一番それだ。生徒会長の事を言ってるんだろうけど、僕自身分かってないから説明のしようが無いんだけどなぁ。はっきり言って迷惑だよ・・・
「説明って言われても、僕の方が聞きたいぐらいだよ。生徒会長なんて知らないし」
「ほうか・・・おまえさんは転入してきたから、生徒会長の事知らんねんな。あの人は学園設立以来、初めての二年生で生徒会長になった人でなぁ・・・」
どうやら、凄い才能の持ち主らしい。入学して以来、座学は勿論、実習についても常にトップ。性格は温和で優しい上に親しみ易く、ちょっと突飛な所もあるけれど持ち前の明るさでそんな面もカバーしているそうだ。上級生からの受けも良く、なにかとソツ無くこなす才色兼備を地で行くような人だそうだ。
「だったら余計に謎だよ。なんでそんな人が僕に興味を持つわけ? まったく持って迷惑だよ」
なんか、教室がいつもよりざわついてるけれど僕の言い分は止まらない。ハルトは僕が迷惑って言うのを聞いて、口をあんぐり開けている。まさか、生徒会長をそんな風に言うとは思ってなかったんだろうなぁ。どんだけ生徒会長の事が好きなのさ。
「だいたい、僕の恥ずかしい秘密を放送で暴露してる時点でもう大嫌いと言っても良いね。そんなに僕の事を知りたいなら、地道に自分で探せば良いのに放送を使うなんて非常識だよ、もう」
「いやでもな、コージなんというかエイジ・・・」
「はい、そこでストップ♪ そこのラインハルト君私の名前を言っちゃ駄目よ?」
背後から聞こえてきたこの声。この能天気で底抜けに明るい無駄に元気なこの声は!
「はーい、コージ=H=アース君。来ちゃった☆」
その台詞から僕はこの人が天敵だと認識した。
82話目「後片付け」の前半部分が抜けていたので、追加しました。
コピー漏れです、ごめんなさい。良かったら読んでやってください。