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先輩にそのBL小説はまだ早いと思います。  作者: 七賀ごふん
先輩、お付き合いします。

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42/47

#5



部屋から出ようとすると不意に後ろから袖を掴まれた。振り返ると、頭一個分小さい未早の寝癖が見えた。

「先輩、そういえば昨日は送ってもらってありがとうございました。お母さんにももう一回お礼伝えてください」

「あぁ。いいって別に。それより俺が鞄汚したのにさ」

「あの時は俺も暴れちゃったから、俺にも責任あるでしょ。先輩のせいだけじゃないですよ」

未早は楽譜を入れるファイルを両手で持ちながら、静かに言った。


「例え先輩が、俺から本を奪うためにやった事だとしても」

なっ!

「気付いてたのか!?」

「そりゃあ。あの流れだし、先輩わかりやすいんだもん」


未早はむしろ心配そうな顔で俺の頭を撫でた。

「今朝もわざわざ俺の机を探したりして、ほんと面白すぎ。まーそんな先輩が楽しくて好きなんだけど」

あああぁぁ! それもバレてた!!

やばい。尋常じゃなく恥ずかしい話だよ、それ。

「う……もう全部忘れてくれ……」

「いやぁ、忘れられない。あの必死な感じがね、見てて可愛いっていうか、まじウケるっていうか……まぁそれはともかく。先輩のあんだけ頑張ってる姿を見たら、さすがに可哀想になってきちゃって」

未早は持っていたファイルから、俺が書いたあのBL本を取り出した。

「はいどうぞ。返すよ」

「おい! 音楽室に置いてたのかよ!」

「全然気付いてなかったか。俺、休憩中にけっこう堂々と読んでたんですけど」

「うわああ! でも良かった……」

いや、良いのか分からないけど。これで俺の黒歴史は回収できた。


「ありがとう、未早。俺達はこんなもんに頼らず、自分達で未来を切り開いていこう。創作じゃない、俺達だけの物語をつくるんだ」

「あー、そッスね。ハイハイわかりました」

「もっと丁寧な対応しろよ!」


未早はもう興味無さそうに部屋から出て行こうとしていたけど。急に立ち止まり、振り向きざまにキスしてきた。唇に当たるは、柔らかくも弾力のある感触。


「…………!!」


初めてだった。これが俺とこいつの、初めての。


「先輩、ムードは自分で作ろうよ。小説みたいにさ」


ゆっくり離れて、未早は腰に手を当てて屈んだ。

「初めてキスしちゃったぁ。先輩の感想は?」

「あぁ……すごい。すごく柔らかいわ」

本は無事に戻ってきたけど、一緒に手に入れたものが大き過ぎたかもしれない。

手に負えるのか分からない。不敵すぎる恋人だ。




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