↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

何にもなれなかったモノたち

掲載日:2026/06/26

 行方不明になった「舞鶴葉子」の部屋にいた喋る熊の人形への会話記録。

「先に行わせてくれ、期待させて悪いのだが私が語ることによって真実に到達することはない。私は実行犯であっても原因ではないのだ。・・・始まりは三年前、彼女が悪魔を呼び出し、熊の人形と「遺灰」を用いて受肉させた。言わずもがなそれが私だ。・・・訝むような目はやめてくれ、「悪魔」と言ったが私の性格は使われた「遺灰」の誰かに影響される。悪辣なウソや騙し合いができないほど「遺灰」の誰かは善人だったのだろう。私は嘘も騙しもできない存在になっている。少女が行方不明になった原因は確かに私にあるが、何が起こって消滅したのかはわからない。どちらかと言えば、見つけてほしいからこそ君たちに協力しているのだ。そうだ、私は後悔しているのだよ。・・・話が脱線したな、悪い。君たちが聞きたいのは、私の潔白ではなく、あくまで少女が消えるまでに何が起こったか、だったな。・・・話を戻そう。といかく、少女は私を作り出した。作り出された私の使命は、彼女の三つの願いを聞いて、彼女の魂をむさぼり帰る場所に帰るということ。だが、彼女は三つの願いを「あの日」までは一つも願わなかった。願わず、私を手元に置き続けた。理由は、「ただ、話し相手がほしかった」からだと言っていたよ。首をかしげたね。願いがない人間など、私にはわからなかった。私には人間の価値観や美的感覚がわからないが、あれはきっと一般的に欲のない純粋なものだと言えるのではないのかね?君はどう思・・・すまない、また脱線した。三年ほどおしゃべりの相手になっていたせいか、ずいぶん私も口の多い存在になってしまったようだ。・・・とある雨の日、彼女はずいぶんと疲弊していた。雨に濡れたのか髪はずぶぬれ、目は赤く、そして虚ろだった。そして、私を見るや否や玄関から靴も脱がずに私へと駆け出し抱き着いてきた。よほど、辛かったのだろうな。私に顔をこすりつけて、「お父さん、お父さんもう嫌だ。助けてお母さんに見つかったバレた。怖い、怖い」って、まるで子供のように泣きじゃくっていたよ。本当に、見ていてもどかしかった。おかしいだろう、悪魔だというのに。・・・そんな彼女を私は黙って抱きしめるしかなかった。父ではないと否定しようとは思ったが、私を父だと言って泣きつくほど疲弊している彼女に現実を突きつける気にはなれなかったのだ。それから二日後だったか、家の扉がうるさく叩きつけられる音が聞こえるようになった。ドアを叩いていた者は自分を母親だと言っていたかな。彼女は・・・ドアが叩かれるたびに私を抱きしめて、布団の中で震えていたよ。そうやって、一週間がたったころだった。彼女が行方不明になった日、「あの日」真夜中に扉が開いた。彼女が開けたわけではない、ピッキングでこじ開けられたのだ。現れたのは母親だと名乗る年老いた女性と複数人の男だった。そこからはひどいものだった。年老いた女性が彼女を布団から引きずり出し、髪を引っ張り怒声を浴びせ始めた。「神の教えに背く気か」だの「なぜ、自分の言うことを聞けない」だの「勝手に大学になんか邪悪な知識を植え付けられる場所に行きやがって」だの、私からしてもどこか理不尽に思えるような怒鳴りつけかただった。彼女は女性に泣いて謝っていた。・・・私は、見ることしかしなかった。願うことしかしなかった。彼女が私に「あいつらを殺して」、と願うことを願うだけだった。気持ち悪いだろ、悪魔だから悪魔らしく手を差し伸べなかった癖に、悪魔でありながら悪魔らしからぬ願いを抱き今更ながら後悔しているのだ。・・・結果を話そう。彼女は「あの日」、願い、私が叶え、消滅した。何を願ったのか、何を叶えてしまったのか、私にはわからない。彼女が頭に強く思い描いたことを叶えただけだからだ。・・・彼女が消えてしまった理由は、推測でしかないが、強いストレス下で願いを叶えたせいだと私は思っている。漠然とした願いは、何が起こるのかわからないからな、まぁ、結局、二度同じことを言うが、何を叶えたまでかは私にもわからない。つまるところ真実は、何が解決になるのかは、私にはわからないのだよ。非力で申し訳ない。・・・私に話せることはこれですべてだ。はは、笑ってくれ、悪魔のくせに悪魔になりきることも悪魔を捨てることもできなかった私を。そして、どうか、彼女を助けてくれ」

 記録終了。


「舞鶴葉子」の母「舞鶴光葉」との会話記録。

「私が知っていることを話せば、帰らせてくれるのですね?わかりました。話します。といっても、あの子について話すことはあまりないのですが。・・・そうですね、言うことを聞かないやんちゃな子でした。やんちゃになってしまったのは、夫が死んでしまったからでしたね。神に仕えようとしなかったのです。あの子は才能があるとよく、教師様からいわれていまして・・。はい?私が宗教に入った時ですか?うふふ、それはですね。夫が死んだ時です。いえ、正確には夫が死ぬ前から勧誘はされていたのです。あの頃の私はとても愚かで・・・あぁごめんなさいね。脱線してしまったわ。祈祷の時間が迫っているのに、帰れる努力をしないのは怠惰ですね。ごめんなさい。では、あの子について言いますね。あの子は、ある日家出をしたのです。愚かですよね。信仰している神の教えに反してまで知恵をつけようとした。驚きましたよ。どんな魔法を使ったのか、私の父母を洗脳してまで大学に行ったのですから。あの子の幸せのために、教祖様に嫁がせるためと言って、娘の居場所を聞いても、教えてくれなかったのですよ。洗脳ができるなんて、やはり才能があったのは確実ですね。でも、頭が悪いばかりにその使い方を間違えてしまうなんて・・・。あ、話の続きですね。まぁ、どうにかこうにか娘の居場所は見つけ出しました。少々、親には悪いことをしてしまいました。まぁ、言わない方が悪いですよね。一人暮らしを始めていた彼女を見つけ出して、最初に行ったのは、そう説得でした。教祖様の素晴らしさとあの方に嫁ぐことのできる幸福さを語ったのですが、ぶつ切りされてしまってしまいましたよ・・・。、あの子は本当に親不孝者ですよ、全く。まぁ、私は母親ですからね。見捨てたりしませんよ。それに、あの子の居場所はわかっていたんです。不幸に歩もうとしている娘を止められる手段を持っていながら、止めないのは、母親のやることではないでしょう?・・・ですが、あの娘は、どこまで行っても愚かだったんです。彼女は消えたんです。私から逃げたんです。・・・これが私の分かる全てです。なんで消えたか?さぁ、ただ、神秘が起こったとしか、わかりませんね。私にはどうすることもできません。でも、私は、諦めません。いつか見つけ出して、説得して仲直りするんです。自分が愚かだってわからない愚かな娘ですが、私があの娘が理解するまで教えてあげればいいんです九九のように。・・・だって、私は母親ですから。・・・ふふ、母親らしいでしょう?」

 記録終了

 最近見たアニメと漫画と小説に影響されて今回の物語は制作しました。


SCPは最高(唐突)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。