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第3話 静かなる信頼

翌朝、灯里は村の宿屋で朝食をとっていた。昨夜の戦闘での小さな成功を思い返しながら、魔力石を手に軽く練習する。


「凡人でも、工夫次第で役に立てる……」


その言葉が、胸に小さな自信を芽生えさせる。


すると、扉が開き、リオネルが現れた。

「灯里、準備はいいか? 今日は王城での演習に同行してもらう」


「王城……ですか?」


灯里は少し緊張する。王族の前で失敗したら、ただの凡人である自分が笑われるかもしれない。でも、昨日の自分の成功を思い出し、決意を固める。


城に着くと、演習場には王族と騎士団が集まっていた。眩しい装飾や豪華な衣装に圧倒されつつも、灯里は冷静に状況を観察する。凡人としての目線で、最適な位置や魔法の使い方を考える。


演習が始まると、灯里は魔力石を使って味方の動きを補助した。火矢の照準を微調整し、負傷者の応急処置も行う。目立たない働きだが、戦場は着実に安定した。


演習後、王族のひとり、若き王子が灯里に声をかける。


「君……凡人と言ったな。だが、この働きは凡人とは思えない。礼を言う」


灯里は驚きつつも、小さく頭を下げる。

「ありがとうございます。私、地味でも役に立てるように努力しただけです」


リオネルはそんな灯里の横で微笑んだ。

「君の努力は、皆に伝わっている。灯里、これからも頼むぞ」


その言葉に、灯里の胸は熱くなる。凡人の自分でも、認められる――それだけで、充分だった。


夕方、城の庭を歩く灯里とリオネル。沈む夕陽に照らされ、彼の横顔が柔らかく光る。


「リオネル、私……この世界でも、ちゃんとやれる気がする」

「そうだな。君ならできる――灯里」


小さな信頼が積み重なり、二人の距離も少しずつ縮まっていく。派手な恋愛ではない、でも確かに芽生えた感情。凡人少女の異世界生活は、こうして静かに、しかし確実に色を増していった。

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