#225 やってきたその他メンバー+α、邪神の奇行(いつものこと)
無事(?)に配信が終わって、
「じゃ、私はここにいないメンバー回収してくるね!」
そう言い残し、お姉ちゃんは車に乗って山を下りました。
一期生の三人と、二期生、あとは僕以外の三期生のみんなを迎えに。
その間、ここにいる僕たちはと言えば、
「なんていうか……すっごいラーメン屋のにおいだな……」
「そうだね。豚骨スープをお家で作ると、お家の中がラーメン屋さんのにおいになるってよく聞くけど、確かにこのレベルだと……うん、ラーメン屋さんだね」
「この豚骨特有のにおいって、なんかお腹空きますよねぇ。いや、ピザ食べたばっかなので、今は空かねぇですけど」
「これが豚骨すぅぷ……たしか、猪……を家畜化させた生物の骨から出汁を取る、でしたか。独特ですが、食欲をそそられますね」
「美鈴さん、少々言い方がアレですわ」
「まあ、間違っちゃいないんだが……さすがに、言い方がまずいな」
すごく罪悪感がある言い方だなぁ……。
「それで、椎菜。何か手伝うことはあるか?」
「あ、わたくしも何か手伝いますわ!」
「うーん、手伝うって言っても、今は特にないんだよね……あ、でも、ここって冷蔵庫あったよね?」
手伝うって言われたので、特にないと言った直後に、ここに冷蔵庫が会ったことを思い出す。
冬場とはいえ、外に出しっぱなしはよくないし、材料自体、お姉ちゃんがログハウスの方から持ってきていたのを思い出して、冷蔵庫があったかどうかを尋ねる。
それに対して、小夜お姉ちゃんが答えてくれました。
「あー、結構大きめなのがありましたぜ。何か使う感じで?」
「うん、豚骨ラーメンも作るけど、バーベキューもしようかなって思ってたので。なので、手伝ってもらえるなら、材料を串に刺していってほしいなぁって」
「すぐに取り掛かりますわ!」
「わかりました」
「おっけぇぃ!」
「了解した。どうやればいいんだ?」
「ん~と、お肉はお野菜と一緒に……そうだね、お肉お野菜お肉お野菜お肉くらいの順番で刺してもらえると嬉しいかな」
「了解。だそうだぞ」
「全力で遂行しますわ!」
「承知しました」
「りょーかいっ!」
柊君が串に刺す材料のバランスを聞いてきたので、お肉とお野菜を交互に刺してほしいと言うと、近くにいた三人に伝達(?)。
そのまま、四人はログハウスに移動して……
「「「えぇぇ……」」」
「随分と大きな……絡繰り箱ですね」
「いやこれ絡繰り箱じゃないから! ただの冷蔵庫……じゃない、業務用の冷蔵庫だからな!?」
なんて会話が聞こえてきました。
……今、業務用冷蔵庫って聞こえたんだけど……気のせい……じゃないよねぇ……。
ちょっと気になる、僕も行ってみよう……。
そう思って、僕もログハウスの方に行き……
「…………お姉ちゃんっっ……!」
中にあった業務用冷蔵庫(飲食店にある四か所開くあれです)を見て、額に手を当てながらそう零しました。
お姉ちゃん、どこから持ってきたの、これ……というか、どうやってここまで持ってきたの!? 軽トラック? 軽トラックで持ってきたのかな!?
「椎菜も来たのか……まあ、見ての通りだ。あの人、なぜか業務用冷蔵庫を持ってきてたらしい。っていうか、マジでどこから持ってきたんだよこれ……」
「……僕も、それは気になるかなぁ……」
「らいばーほーむのお金持ちは、たしか恋雪さん、杏実さん、千鶴さんだった気がしますけれど……愛菜さんもお金持ちなんですの?」
「そもそもの話、らいばーほーむのライバーはスパチャやらなんやらが高いから……まあ、一般的な価値観で言えば、普通に金持ちじゃないか? しかもあの人、普通に本職と同人作家としても稼いでるし……いや、やっぱ金持ちだな、あの人……」
「っていうか、四期生含めた場合で考えても、一番お金ないのって高宮君なんじゃねぇですかね?」
「まあ、俺は椎菜とは違って普通の学生だったしな……」
「僕も普通の学生だよ!?」
「普通の学生は、速攻で100万行かないんだよ」
「うっ……」
それを言われると、あんまり言い返せない……。
「あと、今の椎菜の総資産だが、多分上から数えた方が早いレベルだと思うぞ。なんだったら、四番目くらいだろ」
「……そんな気は、ちょっとしてました……」
宝くじのお金、いまだに手つかずだし……それどころか、VTuberで得たお金だって、ほとんど使ってないし、使ったと言えばみまちゃんとみおちゃんの二人のお洋服とか、ランドセルとか、そういうものばかりだし……むしろ、一年生の時に働いていたお店のお給料、未だに残ってるし……あれ、僕って本当にお金を使ってない……。
物欲がないわけじゃないはず、だけど……うーん……。
でも、同年代の人と比べると、僕は比較的薄い方……なのかも?
「まあ、今はそれはいいか。それよりも、バーベキューの準備だろ?」
「あ、うん、そうだね。えーっと、材料は仲にあるのかな?」
「えーと……あ、ありましたわ! これでいいんですの?」
「うん、大丈夫! それじゃあ、持って行って……って、ここでやっちゃった方がいいのかな? パーティーまで時間があるし、作ったら冷蔵庫の中に入れておいた方がいいような気もするし」
「ですねぇ、冬とはいえ、出しっぱなしというのもあまりよくねぇですからねぇ」
「こちらの串に刺せばいいのですね?」
「うん、さっき言ったように、お肉お野菜お肉お野菜お肉の順番でお願いします! お肉だけど、一本の中で統一してほしいかも。豚バラ肉だったらその一本は全部バラ肉って言う感じに」
「わかった。俺たちはこっちでやっておくよ」
「うん! お願いします! 僕はチャーシュー作っちゃうから!」
「そこまでやるんですのね! さすがですわ!」
「豚骨ラーメンにチャーシューは必須だと思うからね! えーっと、チャーシュー用のお肉は……うん、これだね」
タコ糸で縛っておいた塊肉を持って、僕はお外にある調理場に移動してチャーシューの仕込みを開始。
やるとは言っても、お鍋にお水や調味料、ネギの青い部分、ニンニク、ショウガを入れて、お肉を焼いて、お鍋の中に入れて煮込むだけなんだけどね。
簡単なものならこれくらいで作れるから、ある意味楽ではあります。
まあ、美味しいかどうかはまた別問題になっては来るけど……。
「……そう言えば、僕たちはなんていうか、もう慣れたけど、他のみんなは実際にこの光景を見たらなんて思うんだろう……?」
配信である程度見えていたとはいえ、画面越しと実際に自分の目で見るのはまた違うから、やっぱり驚くかな?
◇
なんて思いながら、スープを煮込んで、チャーシューも煮込んで、とパーティー用のご飯を作っていると、車の音が聞こえてきました。
『『『……これを一人は頭おかしい……!』』』
そして、そんな声も聞こえてきました。
うん、だよね……。
「わー! すごーーい! 木のおうちー!」
「……おっきー、です」
「というわけでようこそ! 我がみたまちゃん村へェ!」
「ここ僕の名前が付いてたの!?」
集まって来た一期生~三期生のみんなに向かってこの場所の名前をお姉ちゃんが口にした後、思わずツッコミ(?)を入れていました。
「いやだって、みたまちゃんのために用意し始めたのが始まりだし。他の案だと、椎菜ちゃん村、ヴィレッジみたまとか、神域とか、聖域なんてのもあったけど」
「そんなに神聖な場所じゃないよね!? え、違うよね!?」
「いつかみたまちゃんとみまちゃんみおちゃんの三人の神社を建てたいと思ってるからね。あれよあれ、ここを総本山にする、みたいな?」
「文字通り総本山にしようとしてないかい!?」
「さすが愛菜やなぁ……」
「愛菜さん! その時はあたしも一枚かませてください! 資料に欲しい!」
「もちろんもちろん! ってなわけで、これが私がコツコツ開拓した山と、五日で建てたツリーハウスとログハウス! どうよ?」
『『『一人でやるには年数が圧倒的に足りないと思います』』』
「まあ、私はほら、なんか、ね? 色々できるからね!」
「おねーちゃん」
「おっと、なになになに? みまちゃん! 何かあったの?」
「あのツリーハウス、ブランコがないです……」
「……ない、の?」
くいくい、とお姉ちゃんの服の裾を引っ張りながら、みまちゃんがブランコがないと言って来て、それに便乗するような形で、みおちゃんがどこか残念そうな顔でお姉ちゃんにそう訊く。
「し、しまったぁぁぁぁぁぁっ! ツリーハウスとログハウスを作ることに専念して、ツリーハウスのブランコを作るの忘れてたァァァァ! な、なんたる不覚!? この私が、みまちゃんとみおちゃんのためのブランコを作り忘れていたなど……生涯の恥! 待ってて二人とも! 今すぐ、この私がバッチリ完璧なブランコを作って来るゥァァァァ!」
『『『今から!?』』』
突然叫んだと思ったら、お姉ちゃんが木材がたくさん置かれている場所へ瞬間移動(してるように見えた)して、そのままブランコ作りを始めました。
……素手で。
「って、本当に作り始めたぞ!?」
「も、木材を、しゅ、手刀で……!?」
「いやあれ、なんの冗談なんだい……?」
「愛菜の手は刀やったん……?」
「あれ、どうやって切ってるんですかねー」
「ん、スッパスパ切れてる。人じゃない」
「なんと言いますか、あれでまだ人間って言い張ってる愛菜さんって、普通に異常ですよねぇ~」
「って言うかあの人、ベンチ型のブランコ作ってないかしら? すごい勢いで木材が板に加工されていくんだけど」
「まー、愛菜パイセンだし」
お姉ちゃん、あれどうやって木材を切ってるんだろうなぁ……。
なんて思っている間にも、お姉ちゃんは瞬く間にブランコを作って……
「よし完成!」
『『『いやおかしい!』』』
十分ほどでブランコが完成しました。
あの、なんでブランコがもう出来上がっちゃってるの!?
どう考えても、十分ほどで完成するようなものじゃないよね!?
最低でも半日くらいはかかりそうだよ!?
え、なんで!? どうやって!?
「えーと、安全性は……よし、二百キロの重りを乗せても壊れないね! ならばヨシ!」
「なぁ、俺の目がおかしくなったのか? 愛菜の奴、しれっと二百キロの重りを片手で持ちあげてなかったか?」
「……なんかもう、ツッコミどころしかないんだが……あとこれ、配信中だった場合、ツッコミに次ぐツッコミだったんだろうなって思うと……ハハハ……」
「ん、これは遠い目をしたくなる」
「安全性のテストで二百キロの重りは規格外すぎるわね……」
この後、お姉ちゃんが何度かブランコに乗って、安全性がしっかりしてるとわかった後、みまちゃんとみおちゃんの二人がブランコに乗ってはしゃぎました。
その間に、今度は滑り台を作っていたけど……その内、なんかすごいのを作りそうです……。
十分でブランコ作はバカじゃない?? と言うツッコミは最早無粋なのでしょう。
さすが邪神だァ……。




