配信#32-4 四期生の反省会コラボ:4
「さぁ、どんどん行こう。次は弩さん引いてくれ」
「かしこまりました。では……『四期生のみなさんこんにちは! 質問です! 四人が好きな本とかってありますか? あ、漫画らのべ純文学なんでもいいです!』とのことのようですね。ふむ……皆様はなにかありますか?」
「本ですか……そうですわね。わたくしは……極道抗争という本が」
【ゴリゴリのヤクザもんじゃねぇかww】
【若い女性が読まなさそうな本で草】
【なぜそれが好きなのか気になるww】
【くっそww】
【極道娘という設定で言ってるのかマジなのか……どっちだこれ?】
「あー、ちなみにそれはどんな本なんだ?」
「そうですわね……簡潔に言えば、縄張り争いをするヤクザの話しですわ。それはもう面白いんですの! 血沸き肉躍るとはまさにこのこと! と言わんばかりに飛び散る血と肉! そしてヤクザだからこその仁義、任侠、そして熱い友情! 文字から伝わって来るほどのバイオレンスな情景! 何をとっても素晴らしいものですわ! 個人的に、主人公の不破龍次郎とその相棒の鬼塚東吾がたった二人でしたカチコミがカッコいいんですの! ボロボロになりながらも対立している組との命の取り合い……思い出すだけでも興奮ものですわ!」
「お、おう」
これ、スイッチ入ったか……?
そう思うほどに、夜久嬢さんの表情は爛々と輝き、そして声音がすごく跳ねていた。
【あぁ~……】
【極道娘って言う設定なのに、素でこれだったかー……】
【これは強い】
【らいばーほーむメンバーの何人かって、それ設定じゃなくて素だよね? っていうの結構いるよね】
【草生える】
「あ、ちなみにその小説は実写映画化もされておりまして……みなさまこちらを是非! 帰宅後見てみてください! とても面白い物ですので!」
そう言って、夜久嬢さんはどこからともなくBD(ちゃんとパッケージされた物)を取り出し、それを俺たち三人に差し出して来た。
って!
「なんかBDが三枚出て来たんだが!? それどこから出した!?」
ポケットにしては明らかにデカイんだが!?
「あら、わたくしとしたことが……小説の方もセットで渡さなければなりませんわね!」
「そういうことでもねぇよ!? って、本当にどこから出した!?」
ごそごそとポケットに手を入れたと思えば、そこから分厚いハード本が三冊出て来た。
BDも謎だが、本の方がもっとわからないぞ!?
「というわけで、どうぞ」
「ありがとうございます。我が家屋に戻り次第鑑賞させていただきましょう。小説の方も」
「こりゃどうも! うち、ヤクザもんって見たことなかったけど、なにかのアイディアの元になるかもしれねぇですね! ありがたく!」
「え、二人は何も疑問に思わないのか!?」
どこからともなく出て来たBDと本に、二人は特に気にする風でも、ツッコミをするでもなく、なんてことないように受け取っていた。
「やー、世の中ファンタジーは当たり前にあるじゃねぇですか?」
「そうですね。この程度であれば、大したことではありません。私も似たようなことができますので」
「うん、今さらっととんでもないこと言ったよな!? え、弩さんもこれできるの!?」
「はい。容量は……かなりとだけ」
「弩さんもなんかおかしくないか……?」
「私はぱぁふぇくとなめいどですので、四次元かくしを持っているのです」
「「かくし???」」
「パーフェクトなメイドは四次○ポケット持ってぇねんだよなぁ……」
というか、四次元かくしは普通に語呂悪いだろ……。
「あぁ! かくしとはポケットの意味ですのね!」
「はへぇ~、うちも初めて知ったぜぇ」
「おや? かくしは今代ではぽけっとというのですか? なるほど、また一つ今代の人の子に近づきましたね」
「たまに思うんだが、弩さんって言い回しがおかしくないか……?」
「気のせいでございます」
【うん、おかしいかな!】
【ってか、かくしってポケットと意味が同じなのか……】
【よく知ってたなこの二人!?】
【それはそれとして、マジでめいちゃんは言い回しがなんかおかしいと思う】
【たまに語彙が古いもんねw】
「かざり様。お好きな本は以上でしょうか?」
「あ、もう二つありますわ!」
「おや、それはどんなもんで?」
「らいばーほーむのイベント会場で販売されていた、ひかり様の画集とデレーナ様の小説本ですわ!」
「「あれは神作」」
「買ってたのか……」
というか、あれ買えたのか、この三人。
【あれはマジでよかった】
【邪神とか、てっきりみたまちゃんだけかと思ったら、そんなことはなくて、らいばーほーむメンバー全員集合のイラストとか、他にも色んな組み合わせのイラストあったもんなぁ】
【あれ、二、三ヶ月程度で描いたと思うとバケモンなんだよなぁ……】
【仕事しつつゲームも作って配信もしてあの完成度は普通に頭おかしい】
【たしか、ツンデレちゃんの本もすごかったんだっけ?】
【全ライバーの理解度が高すぎて笑ったわあれw】
【というか、リアルにいる人の話しとかよく書けたなってなる】
「わたくしは以上ですわ!」
「んじゃ、次はうちが行きますぜ! うちはまぁ……んー、ひかりさんの画集は当然として……あー、やっぱりあれ。イラストレーター仲間で個人的な友人たちと作った表に出てない本とかですかね。宝物! みてぇな感じ?」
「へぇ、そんなのがあるのか?」
「おうよ! あ、参加したイラストレーターとか聞く?」
「聞きたいですわ!」
「私も気になりますね」
「俺も気になるな」
現役の人気イラストレーターがプライベートで作った本の協力者だもんな……。
【へぇ、プライベートな奴か】
【ってかそういうことしてんのねw】
【誰と作ったん?】
【気になるぜぇ】
「えーっと、まずはうちに、宵闇亭のじゃろりさん、夜月灯さんに、あとは最近あることで話題になった乃ノ宮雪次郎さんだね」
【!?】
【!?】
【えっ、ちょっ、なんだその面子!?】
【全員強いんですが! 何してんの!?】
【乃ノ宮雪次郎……あれ? それって最近トワッターでトレンド入りしてなかった?】
【誰ぞ?】
【有名人なん?】
「宵闇亭のじゃろりさんはまぁみなさんご存じ、うちの娘と大大大の仲良しのリリスさんのママで、夜月灯さんは別事務所に娘がいるねー。んで、乃ノ宮雪次郎さんはうちと同じロリ系キャラをよく描くイラストレーターさんで、なんか気が付いたらVTuberデビューしてた色んな意味ですげぇ人。たしか、ふゆりさんらしきロリコンが出没してるって話でも話題だった気がしますぜー」
「何してるんだあの人!?」
……いや、そう言えば年末配信と宝くじ配信で個人勢VTuber野話が出ていたが……その人か!
「たしか個人勢の方ですわね? わたくしたち四期生が配信をする前日に二度目の配信をしていたと記憶しておりますわ」
「あぁ、あの方ですね。なるほど、そのようなことになっていたのですね」
「……そう言えば話題になってたな……なんでも、第二のTS系ロリVTuberらしいが……」
「司さんもTSしていますわよね?」
「俺の場合は特殊だし、ロリじゃないけどな」
普通に高校生くらいだから、椎菜とは全然違う。
「でも、半年以内に三人もTS系VTuberが出てるのはすげぇですよねぇ。実はうちも最近話したんですがね。全然中身変わって無くて安心したほどで」
【あれはなww】
【うんまあ、らいばーほーむの核兵器とは別方向の兵器になりそうだったけどなw】
【推定ロリコンが暴走するくらいにはロリだった】
【あれで元男ってマ?】
【いや、それ言ったらみたまちゃんもそうだから】
「とまあ、話が脱線しまくって個人勢の方の話になっちまってるんで戻して……まあ、そんな感じですね! ちなみに、うち含めた四人でするのは全員ロリ系メインで描いてる面子だからなんでね! で、グループもあって、名前が【ロリロリ四天王】です。あ、本人から許諾得てるから言っちまいますけど、夜月灯さんは合法ロリです。で、うちもロリ、のじゃろりさんもロリ、乃ノ宮雪次郎さんも最近TSしてロリになったらしいんで、グループ名がリアルになりました! ハイ以上! 次どうぞー」
「いや今しれっととんでもないこと言ったよな!? というか、許可してる夜月灯先生何者!? っていうか、類友じゃねぇかっ!」
「なははー! 全員ロリ系キャラが好きなんでね! 仕方ないね!」
【草】
【ロリロリ四天王www】
【どんな名前つけてんだよww】
【しかも名前が実現するってどんな奇跡w】
【夜月灯先生ロリだったのぉ!?】
【なんで許可したぁ!?】
【類友はマジでそう】
【実際全員SNSとかイラスト投稿サイトに上げるイラスト、7割以上ロリだもんなぁ……】
【あ、ロリコンが発狂してる】
【でしょうねw】
らいばーほーむ外の情報が暴露されるのはなぜだろうか……。
あと、神薙さんの友人なだけあって、そういうの気にしないのな……。
というか、らいばーほーむメンバーのほとんどが身バレを一切気にしていないのはどういうことなんだろうか。
「なんで、次行っていいですぜ」
「あぁはい。じゃあまあ、次は俺が言いますよ。俺は……そうだな……好きな本となると、まあ、ラノベだろうか。志岐虎徹先生の小説とか結構好きだな。ジャンルも幅広いし、キャラも個性的で面白いし」
「どのようなジャンルを書いてますの?」
「基本はラブコメ系だが、最近はVTuber物も書いてた気がするぞ。なんか、作中のVTuberたちがどこからいばーほーむ味があったが……」
「ふむ、気になりますし、読んでみます」
「わたくしも」
「うちは持ってるんでね! ああいうキャラが独立した話が書ける人ってのはすげぇですよねぇ」
【それな】
【志岐先生かー】
【あの人って執筆ペースがわりとバケモンだよねw】
【本業がラノベ作家してる人だし、まあ時間があるんじゃね?】
【だとしても、年に5回くらい本出してるしw】
【そうかー、新人君は志岐先生が好きなのか】
【話が面白いからね】
【アニメ化もされてるくらいだし?】
「まあ、俺は面白みがないし、語ることもないからこれくらいだな。……というか、割と時間も押してきてるから、俺は以上で。最後は弩さん、お願いします」
「かしこまりました。とはいえ、私が好きな本ですか……。読んだことがあるとすれば、古事記、源氏物語……あとは古今和歌集……あぁ、日本書紀や記紀なども面白かったかと」
「「「……」」」
「どうかなさいましたか?」
「……めいさんっていくつですの?」
「外見的にはめっちゃわけぇですよね? 渋くねぇです?」
「渋い以前に読んだことがある本が全部古典系なのはなんなんだ……」
【読んだことがある本で出て来る名前じゃなくて草】
【マンガとか読んだことないの!?】
【ラノベは? 純文学は!?】
【何の本好き? って訊かれて、古事記とか源氏物語、とかそっち系の名前が出て来るとは思わなかったわww】
【強いわー】
【メイドがこれなの草】
「いえ、漫画も読んだことはあります」
「おっ! それはどんなやつで?」
「鳥獣戯画です」
「「「……いや古典っ!」」」
【草ァ!】
【真顔で鳥獣戯画は草】
【wwww】
【もう狙ってやってるだろってレベルやろww】
【めいちゃん、古典の教師説】
【↑教師は副業だめなんだよなぁ……】
【私立なら場所によっては大丈夫らしいぞ】
【マジかよ】
やっぱこの人なんかおかしいだろ。
「?」
だって、俺たちの反応を見ても理解ができていないのかきょとんとしてるしな……。
なんというか、謎が多すぎる……!
すっごい前にツンデレちゃんのペンネームが志岐虎徹だと触れたことがありますが、きっとお忘れなので改めて言っておくと、四季ミレーネのラノベ作家としてのペンネームは志岐虎徹です。
あと、本編中で初登場している二人について少々。
・夜月灯→姉御系ロリ。さばさばしてます。
・乃ノ宮雪次郎→寝るのが好き。だらだらするのが好き。お布団が好き。実は志岐虎徹先生とは仕事仲間で友人。っていうか、志岐虎徹先生のイラスト担当がこの人。




