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閑話#41 本当に珍しい組み合わせの三人が、ヤンデレと天然ジゴロを見守るだけの回

 柊視点でやると言ったな、あれは嘘だ(なんか面白そうだったから麗奈視点)。

「で、どう思います?」

「どうって?」

「高宮君と城ケ崎さん」

「ふむ……やっぱり、あたし的にはくっついたほうが面白いと思うぞ」

「そやなぁ。皐月はあんまし色恋にいい思い出がないみたいやし、ちょうどええと思うわぁ」


 高宮君が現役大人気モデルの城ケ崎さんに連行されて行くところを、少し離れた所から見ていたあたしたちはそんなことを話す。


 あたしはらいばーほーむの関係者、というわけじゃないけど、普通にこうして一緒に行動しているのがすごく不思議な気分。


「なるほどー。たしかに、あれをしてる時の城ケ崎さんって、苦労人って感じですもんね」

「わかるぞ。あたしたちは暴れまわる側だから、実際いつも叫ぶようにしてツッコミしてる皐月先輩は本当に大変そうだし」

「うちはそうでもないんやけど、ほかはすごいからなぁ」

「いや、栞先輩が一番すごいと思うぞ」

「あたしもそう思います」

「なんでや?」


 ロリピュアが一番すごいと思うもん、あたし。

 だって、出る度に死人を出すような二人だしね?

 そういえば、コミケではコスプレしたって聞いたけど……くっ、行きたかった!

 絶対面白そうだったもん。


「ところで……ナチュラルにあたしがいますけど、普通に考えて、あたしってあの中で一番の一般人なんですけど、よかったんですかね? 一緒に遊んでも」

「気にしたら負けだぞ! それに、愛菜先輩から聞いたけど、スタッフ目指してるんだって?」

「え、愛菜さんもう言っちゃったんですか?」

「そういうら、言っとったなぁ、そないなこと。ちなみに、それは本気なん?」

「ガチです!」

「ほほう、なかなかいいと思うぞ! それに、確実に入ってくるだろうし、実質関係者! ってことで、気にしないでいいぞ!」

「せやな」

「いやぁ、そう言ってもらえると嬉しすぎて感無量ですよ。じゃあ、仲良く遊ばせてもらいますね!」


 まさか、ここまで歓迎されるとは思ってなかったので、すごく嬉しい。

 というか、人気のV事務所のライバーさんたちとリアルで友達になるって、かなりすごいことな気がするよ。


「当然! あ、あたしのことは寧々でいいぞ!」

「うちも栞でええよぉ」

「ありがとうございます! じゃあ、寧々さんに、栞さんって呼ばせてもらいますね!」

「OK! それで、これからどうしよっか? 折角プールに来たんだし、やっぱり遊びたいじゃん?」

「そらそうやろ。うちも遊びたいわぁ」

「たしかに、遊びもしたいんですけど……あたし的には、あの二人の関係性が一番気になってるんですけどね!」

「「同感だぞ(やな)!」」


 あたしの言葉に、二人はぐっとサムズアップと共に賛同してくれました。

 さすがらいばーほーむ。

 常識人な城ケ崎さんが面白いことになってるのを見たいらしい。


「じゃあ、観察してみます?」

「「賛成!」」


 そして、野次馬根性が丸出しなのもすごくいいと思います!


 というわけで、あたしたちは早速二人を観察(?)することに。


「にしても……あの二人、すっごい絵になるぞ」

「わかるわぁ。二人とも美男美女やからなぁ」

「というか、すっごい注目集まってますよね」


 あたしたちは怪しまれないように、二人がいるウォータースライダーからちょっと離れたところにある、ふくらはぎくらいまでしか水位がない場所で、二人を見ていました。

 まあ、周囲にお客さんがいっぱいいるから、あたしたちも怪しまれてるような気もするけども。


「あ、高宮君がすっごいツッコミを入れてる顔をしている! そういえば、城ケ崎さんってすっごい肉食です! みたいな雰囲気してましたよね」

「あー、わかるわかる。普段はツッコミ側だけど、自分がぼける側になったとたん、ああなってる気がするぞ」

「なるほど。やっぱりストレスが溜まるんですね」

「そういうたら、皐月の好のタイプは、年下らしいなぁ。愛菜曰、高宮さんは好みドストライクだとか」

「「ほほぅ!」」


 それはすごくいいことを聞いた!

 いつぞやのイベントの時にからかわれていたけど、あれ、恋愛的な要素も絡んでそうだね!


「ちなみに、高宮君は年上好きです。10歳差がいいとか言ってるらしいですけど、±5歳差までは全然許容らしいです。なので、城ケ崎さんはすっごい好みかと!」

「「ほほぅ!」」


 二人は、あたしと同じように、いい恋バナの種を見つけたぁ! と言わんばかりの、ニマニマとした表情に。


「お互いが好みのタイプということは、あの二人の相性はかなりいいということになるぞ」

「そやなぁ。しかも、皐月があんなに楽しそうにしとるしなぁ。高宮さんはどうなん? 普段は」

「ん~、普通と言えば普通ですけど、あんな風にツッコミまくってます! みたいな感じではないかな? どちらかと言えば、冷静な感じで落ち着いた雰囲気の完璧イケメン! みたいな感じです」

「皐月先輩も似たような感じな気がするぞ」

「実際、皐月も似たようなもんやな」

「おおぅ、いろんなところが似てるんですね。……いやもうそれ、運命の相手レベルでは?」

「「それはそう」」


 栞さんならともかく、まだそこまで長い付き合いじゃない寧々さんが同意している時点で、本当にいろんなところに共通点があるんだろうなぁ。

 うん、すごくいいと思います!

 というか、年頃の女性的にはやっぱりこう、恋バナは大好物なわけですからね!


「それにしても、皐月先輩がすっごくいい笑顔をしてるけど、一体どんな話をしてるんだろう?」

「反対に、高宮君の方はどこか疲れたような表情ですけどね」

「それくらい、楽しいっちゅーことなんやろなぁ」

「それはそうですよねぇ。あ、順番が回って来たっぽいですね。でも、何かもめてません?」

「揉めてるっていうか、高宮君側が皐月先輩とスタッフの人に何か抗議してるだけにも見えるぞ」

「ん? 二人そろってツッコミ入れてんなぁ……」

「あ、高宮君がまたツッコミ入れてる」

「おっ! 皐月先輩が高宮君の手を引っ張って座らせたぞ! しかも、後ろからハグ! でも、ここからじゃ表情が見えないぞ……!」

「「残念ですね(やなぁ)……」」


 絶対面白いと思うのに。

 だって、あそこから甘酸っぱいような雰囲気が発されている気がするし!


 まあ、城ケ崎さんの方は甘酸っぱいっていうか、激重な感情っぽいけど。

 もしかして、城ケ崎さんってヤンデレだったりするのかな?

 もしそうだとしたら……高宮君も大変な人に好かれちゃったなぁ、なんて。


「ちなみになんですけど、付き合いのある二人から見て、城ケ崎さんって高宮君に対する脈ってあると思います?」

「あると思うぞ。というか、好きでもない相手にあそこまでくっつくとかないと思うし」

「そやなぁ。しかも、皐月はガードが堅いっちゅー風に有名なんや。うちらも見たことあらへんよ」

「ふむふむ」

「で、麗奈ちゃんから見て、高宮君はどう見えるの?」

「そりゃあもう、あれは必死に意識しないように! みたいな感じにしてると思います。っていうか、高宮君が学園の女の子から告白されても、あんな風に赤面したりしないですし。脈ありかと」

「「ふむふむ……」」


 なんて、色々と話をした結果、やっぱりあの二人って相性ばっちりなんてどころじゃなくて、前世からの縁が今でもつながってるんじゃないか、そう思えてくるほどにやたらと相性がいいように思えた。


 それはあたしだけじゃなくて、寧々さんと栞さんの二人も同様みたい。


「まなおねーちゃんすごーい!」

「……んっ、はしってる」

「フハハハハハ! 姪っ子ちゃんたちの応援があれば、私は無限に水面を走れるゥゥゥゥ!」


 ふと、高宮君と城ケ崎さんの甘々空間を見ていたら、そんな声が聞こえてきた。

 声の主からして、間違いなく愛菜さんだと思うけど……気になって、あたしたちはその声がした方に視線を向けた。


 そしたら、


「どうかな! みまちゃん、みおちゃん! これが、この私の忍術だぁぁぁぁぁぁ!」

「「すごーい!!」」


 そこでは、なぜか波が出るプールの水面を全力疾走する愛菜さんがいました。

 あと、みまちゃんとみおちゃん……だけじゃなくて、小学生や中学生くらいの子供たちがきらっきらとした表情で水面を走る愛菜さんを見ていました。


 え、なにあれすご!?


「愛菜さんは忍者だった……?」

「どないなっとるん? あれ」

「愛菜さんがすごすぎる!」

「あたし、ちょっと気になるから行ってみよ!」

「うちも気になるし、三人で行こか」

「ですね!」


 スライダーの中に入ってしまったこともあるので、あたしたちはなぜか水面を走る愛菜さんとみまちゃん、みおちゃんたちがいる場所へ。


「お姉ちゃん、いつの間にあんなことができるようになったんだろ……?」

「やっほ、椎菜ちゃん」

「あ、麗奈ちゃん。それに、寧々お姉ちゃんと栞お姉ちゃんも。どうしたの?」

「いやー、愛菜先輩が水面を全力で走ってる姿が見えたものだから、高宮君と皐月先輩の色恋沙汰観察を切り上げて、こっちに来たんだぞ!」

「そ、そんなことしてたんだ……」

「なかなか良かったで」

「あ、そうなんだ。それはちょっと惜しいことをした、かな?」

「それで、一体何があってあんなことになったの? というか、愛菜さん、子供たちにものすごく群がられてない?」

「あ、あー……実は……」


 そう言って、椎菜ちゃんがことの経緯を話し始めた。

 原因はどうやらみまちゃんとみおちゃん。

 でも、あの二人って無邪気ですごく可愛い女の子だけど、そんな無茶ぶりみたいなことを言うのかな? って疑問に思ったんだけど、どうやら、


「まなおねーちゃんはにんじゃさんになれるですか?」

「……みず、はしれる?」


 って、訊いたみたい。

 なんでそうなったんだろう、と思って椎菜ちゃんに質問したら……


「えっと、二人ともアニメを見てて……それで、たまたま水の上を走る忍者さんが出る作品を見ちゃったの。それで、なんとなくさっき思い出しちゃったみたいで……」


 ということでした。


 簡潔にまとめるとこう。


『水面を走る忍者が出てくるアニメを見る』

         ↓

  『波の出るプールで桜木一家で遊ぶ』

         ↓

     『ふとそれを思い出す』

         ↓

  『やってー! と可愛くお願いする』

         ↓

『既に忍術は習得済みだよ☆ とか言い出す』

         ↓

  『本当に水面を走っちゃって、今に至る』


 とのことらしいです。


「「「えぇぇぇ……」」」


 らいばーほーむのノリには慣れても、世間から邪神って言われてる愛菜さんの常識外れな行動にはさすがにドン引きだったみたい。


 まあ、あたしもだけどね!


 というか、何をどうしたら習得できるのかすごく聞いてみたい。


 ……そういえば、体育祭の時の愛菜さん、ものすごい速度でぶっちぎり一位取ってたっけ。

 あの走り方、一応高宮君もできないことはないみたいだけど……あれ? 高宮君って、実はかなり人間を辞めちゃってるのでは?

 愛菜さんの弟子みたいだし。


「おねーさん、もういっかいやってー!」

「みずのうえにたってー!」

「まなおねーちゃん、やってやって!」

「……ん、みたい」

「いいともぉぉぉぉぉぉ!」

「お姉ちゃん……」


 あぁっ! 愛菜さんが子供たちの声(特にみまちゃんとみおちゃん)によって、水面に立ち始めてるよ!

 それによって、椎菜ちゃんが遠い目に!

 それと、あれどうやってるの!?


「いやぁ、楽しかったね、柊君」

「俺はいろんな意味で酷い目に遭いましたよ……」

「もしや、私に後ろから抱きしめられるのは嫌だったかい?」

「それは! ……………いやじゃないですけど」

「ふふっ、ならいいじゃないか」

「……はぁ」


 あ、熱々組が来た。

 城ケ崎さんはすごくつやっつやなのに、高宮君の方はすごくげっそりに。


「って、なんだ、椎菜。ここにいたのか? みまちゃんとみおちゃんはどうしたんだ?」

「あー、えーっと、あそこ……」


 高宮君が椎菜ちゃんたちに気づくと、一緒にいないみまちゃんとみおちゃんについて椎菜ちゃんに尋ねる。

 その質問に対して、椎菜ちゃんは苦笑い交じりにプールの一角を指さす。

 椎菜ちゃんの細くて白い指が指示した方を見て、二人の表情が固まって……すぐに苦い顔になった。

 おー、すごいシンクロ率。


「あー……椎菜、あの人は、何してるんだ?」

「かくかくしかじか」

「これこれこうこう、というわけか……いやあの人何してんの? というか、忍術ってなんだ……!」

「ついさっきまで、楽しい気持ちだったんだが……愛菜の奇行を見た瞬間から、その気持ちがすべて消し飛んだよ」

「あの人、一体どこを目指してるんだよ……」


 二人のその言葉に、あたしたちはうんうん、と頷いた。

 まあ、愛菜さんだもんね!

 仕方ないね!


 ……全然仕方なくない気もするけどね!

 嬉しいことに、柊×皐月の話を書くと、感想がたくさん来ます。

 人気過ぎない? この二人の組み合わせ。

 愛菜は椎菜や双子のためだったら、なんでもするぜぇ! とか言うタイプです。

 なので、水面に立てるし、走ることもできるのだッ……!

 バケモンかな?

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― 新着の感想 ―
エスプレッソがMAXコーヒーになる空間を瞬時にニンジャアトモスフィアに塗り替えるスゴウデラツワンの使い手がいるらしい? あと、純粋に水上歩行するのは大変だけど、羽毛一本あれば割と余裕らしいぞ!
椎名ちゃん、お姉ちゃん見て遠い目してるけど君も同レベルかそれ以上のトンデモだぞ
そりゃもう純愛だよwww なかなか見ない3人いいなぁ 朝霧さ〜ん スタッフになったら多分姉の強化入ると思うよ〜 人辞める手前まで行くと思うよ〜
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