＃１５５ 配信後、水着を買いに
次回からプール回のため、あっさり味です。
「やー、死んだ死んだ！」
「大丈夫？ 杏実お姉ちゃん」
「問題なーし！ らいばーほーむにおいて、死ぬのは慣れるものだかんね！」
「それは慣れちゃダメな気が……」
そもそも、死ぬこと自体がおかしいような気がするんだけど……気にしたら負けなのかな……？
「さてと。椎菜っちはこのまま帰宅？」
「うん。明日用の水着を買わないとなので……」
「あー、室内プールだっけ？ あーしも行きたかったなー」
「それなら、今度みんなで行こ？ 四期生の人も誘いたいし」
「お、いいねいいね！ そゆとこマジ大好き！」
やっぱり、大人数で行った方が楽しいもんね。
次行くことがあれば、明日行くメンバーだけじゃなくて、諸事情で来られない人たちを呼びたいもん。
「んで、双子ちゃんも行くんだよね？」
「もちろん！ というより、それ目当てでもあったので……」
「そかそか。ってゆーことは、二人の分の水着も買う感じ？」
「うん。僕もないけど、二人もないから」
「ふーん。じゃあ、このまま帰って二人と合流？」
「そうなる、かな？ 時間としてはまだ夕方になってないし」
今日はお昼の配信だったので、まだ外は明るい。
なので、帰って合流して、そのままって言う感じになるかな。
「なる。でもそれ、効率悪くない？ んだったら、愛菜パイセン呼んで、車を回してもらった方が早い気がするんよ」
「……たしかに？ でも、お姉ちゃんツリーハウスとログハウスの建設中だし……」
「やー、案外終わってると思うんよ。愛菜パイセンだし」
「ちょっとあり得るかも……」
「でしょでしょ？ なんで、一回電話してみたらいいと思うっしょ」
「たしかに。じゃあ、ちょっと連絡してみます」
「はいはーい」
というわけで、お姉ちゃんに電話をかけることに。
当然というべきかお姉ちゃんは１コールで出ました。
『もしもし椎菜ちゃん？ どしたの？ 配信直後だよね？』
「うん。えっと、明日ってプールに行くでしょ？」
『そだね』
「それで、僕とみまちゃん、みおちゃんの二人の水着がなかったので、これから買いに行こうかなって思ってて……」
『ほほう！』
「それで、杏実お姉ちゃんとお話したんだけど、今からお家に帰って合流するより、お姉ちゃんに送迎してもらった方が速いんじゃないかってなって……お姉ちゃん、お迎えに来てくれる……？」
『よっしゃ任せろ！ すぐ行く！ とりあえず、今はソーラー発電のシステムを構築し終えたところだから！ みまちゃんとみおちゃんを拾ってからすぐにそっち行く！』
「ありがとう！ って、なんか今すごいこと言わなかった！？」
『じゃ、今行くよマイエンジェルシスター！ 椎菜ちゃーーーん！』
ブツッ――。
「えぇぇ……」
「その様子だと、問題なく迎えに来てくれるってゆーことにはなったけど、なんか問題があった感じ？」
「……お姉ちゃん、なぜかソーラー発電を付けちゃったらしくて……」
「お、おおぅ……さすが愛菜パイセンだわー……んまーでも、山ん中だし、愛菜パイセンの所有する土地だし、いいんでない？」
「だ、だよね。……ソーラー発電があるログハウスとツリーハウス……おかしいような……」
お姉ちゃんはどこを目指してるんだろうなぁ……。
僕はそう思いました。
◇
というわけで、お姉ちゃんが来るまでの間杏実お姉ちゃんとお話。
他愛のない内容ばかりだったけど、すごく楽しくお話できてよかった。
あ、今度は他の人も交えてコラボをしようってなりました。
僕個人としても、杏実お姉ちゃんとは本当にコラボが無さすぎたので、いっぱいしたいところだったので、二つ返事で承諾しました。
と、そうこうしていると、お姉ちゃんが事務所の前までやってきました。
「やっはろー！ 椎菜ちゃん！ 久しぶりぃ！ そしてシイナニウムを補充ゥゥゥ！」
「わぷっ！？ お、お姉ちゃん、いきなり抱き着かないでぇ！」
「ハァァァ～～～～～！ 椎菜ちゃん成分が我が体に入り込んでくるゥゥゥゥ！ 最高ォォォォ！」
「お姉ちゃんここお外！ お外だからちょっとは抑えてぇ！？」
しばらくお姉ちゃんは暴走していました。
「はぁ、はぁ……ま、まったくもう……」
「いやぁ、ごめんごめん。元日から今まで一度も合わなかったからシイナニウム欠乏症になってたものでつい」
「そ、そうなんだ」
シイナニウムなんて存在しないと思うんだけどなぁ……。
あと、通行人の人たちに見られ過ぎました。
恥ずかしい……。
「どもども、愛菜パイセン」
「ハロー、杏実ちゃん！ マジでナイスだったよ、杏実ちゃんや！ まさか、あそこまで破壊力が高かったとはね……！」
「マジそれなっしょ。ま、あーしも楽しめたんでね！ それじゃ、あーしはこれで。椎菜っち、またね！」
「うん！」
「あり？ 杏実ちゃんは一緒に来ないの？」
ここでお別れとなる時に、お姉ちゃんが杏実お姉ちゃんに向かって一緒に来ないのかと言っていました。
突然の言葉に、杏実お姉ちゃんはきょとんとした顔に。
「へ？ いやいやいや、ほら、あーしは別に明日行かないし」
「それはそうだけど、椎菜ちゃんガチ勢としては、客観的意見が欲しいわけですよ。水着の。みまちゃんとみおちゃんの二人についても」
「あー、そーゆー。んまあ、了解！ 折角なんで、あーしも行くっしょ！」
「ありがっとう！ んじゃ、二人とも乗って乗って！」
「らしいんで、椎菜っち、よろ～」
「あ、うん！」
なんだかんだ一緒に行くことになったので、僕たちも車の中へ。
杏実お姉ちゃんは助手席に乗って、僕はみまちゃんとみおちゃんが乗っている後部座席に。
「おかーさんおかえりー！」
「……おかえり、なさい」
僕が車に乗り込むと、みまちゃんとみおちゃんが嬉しそうにくっついてきました。
可愛い。
「ただいま。二人ともいい娘にしてた？」
「してたー！」
「……だいじょーぶ」
「ふふっ、そっかそっか」
いい娘にしていたという二人の頭を優しく撫でると、二人は嬉しそうにさらにくっついて来ました。
神様ではあるけど、こういうところを見るととても神様に見えないよね。
見た目通りの子供って言う感じで可愛いと思います。
「ハロハロー、みまちゃんみおちゃん！」
「あ、あみおねーちゃんです！」
「……こんにちはっ！」
「おっ、あーしの名前覚えててくれてたん？ ありがとー！ 飴ちゃんいる？」
「「いるー！」」
「無邪気だねぇ。んじゃ、はいこれ！」
「「ありがとー！」」
「いいってことよ」
みまちゃんとみおちゃんの二人は、杏実お姉ちゃんから飴を貰ってご満悦。
嬉しそうに口の中に飴玉を入れて、美味しそうに口の中で転がしてるみたいです。
「んじゃ、出発しよーう！」
◇
お姉ちゃんの運転でやって来たのは、いつものショッピングモールにある女性用のお洋服屋さん。
今の時期に水着なんて売ってるのかな？ って思っていたら、どうやら招待券を当てた室内レジャープール施設が近くにある関係で、ここら辺では売ってるとか。
「はい、選ぼう選ぼう！」
「いっぱいある……」
「おかーさん、みずぎってこれー？」
「……です？」
「僕も詳しいわけじゃないけど、うん、これが水着だよ。二人も好きなのを選んでいいからね」
「「やったー！」」
好きなのを選んでいいと告げると、二人は嬉しそうにしながら二人でどれがいいか楽しそうに選び始めました。
みおちゃんにはこれがにあいそ～、みまおねーちゃんはこっちがいい、とか、そんな風にすごく微笑ましくて可愛いです。
「さて、椎菜っちのも選ぼう！ ちな、椎菜っちってこれがいい！ みたいなのってあるん？」
「そう言われても、あんまり女性用の水着は詳しくないし……」
「そりゃそうだろうね。でも、椎菜ちゃんに似合うとしたら……なんだろ、やっぱり清楚系？」
「ん～、ワンピースとか？」
「あー似合いそう！ でも、椎菜ちゃんって胸部装甲が立派だからなぁ……」
「たしかに」
「え、えっと……」
「ま！ 色々と試着してみよっか！ というわけで、椎菜ちゃん！ 試着室へＧＯ！」
「ふえぇぇ！？」
僕はお姉ちゃんに背中を押されるようにして試着室へ連れていかれました。
◇
そこから始まったのは、水着の試着。
お姉ちゃんや杏実お姉ちゃんが水着を持ってきてそれを着る。
みまちゃんとみおちゃんの二人は、目の届く位置にいて、僕たちの近くで色々と見ています。
「まずはワンピースタイプ！ どう？ 椎菜ちゃん」
「んっと……結構ぴっちりしてるし……胸がちょっときつい、かも？」
最初に持って来たのは、ワンピースタイプで、色は花柄で水色。
結構可愛いけど、胸元がきつい感じが。
「なる。ワンピース系はもうちょっち大きい方がいいんかな？」
「かもねー。でも、下手にサイズが合わないのを着ると……椎菜ちゃんの場合零れる」
「あー……それはまずいねー。プールが血の海になるし、何より愛菜パイセンが殺人鬼になる」
「そゆこと。やっぱり、サイズぴったりの方がいいと思うんだよねー」
「ってなると……やっぱビキニ系？」
「……そうなるかぁ」
「え、えっと……？」
二人の会話について行けず、僕はこてんと首をかしげると、次は杏実お姉ちゃんが水着を持ってきました。
「ってゆーわけで、ビキニタイプ！」
「あ、うん。じゃあ、ちょっと着てみるね」
水着を着る時に思うんだけど、こういう水着って、下着とほとんど大差がないような気がします。
でも、下着を見られるのは恥ずかしいなんてことがあるわけで……中身は男だから、その違いがよくわかってなかったりします。
やっぱりあれかな、環境とかかな？
ともあれ、持って来てもらった物を試着。
「んっと、どうかな？」
「「……でっっか」」
「え、えっと……」
「温泉旅行ん時とか見てはいたけどさー……椎菜っち、マジデカいよね」
「さすがＴＳ病。慎重に不釣り合いなほどに大きいのに、椎菜ちゃんには違和感がないという……やはり素晴らしいッ！ 我が妹ッッ！！」
「んっと、これ、似合ってる、のかな？」
杏実お姉ちゃんが持って来たのは、フリルがあしらわれたチェック柄でビキニタイプの水着。
色は桃色で、可愛い系かな？
似合ってるのかわからないけど……。
「メッチャ似合ってる」
「うんうん。可愛すぎるので写真撮っていいあ撮っちゃった」
「まだ何も言ってないよ！？」
「いやぁ、椎菜ちゃんの水着とかいうレアもんぞ！？ お姉ちゃんとして、写真に収めなければぁ！」
「それはここじゃなくて明日でいいと思うな！？」
「え！？ 明日撮ってもいいの！？ 無限に！？」
「無限は無理だと思うよ！」
「フッ、そこは私だよ椎菜ちゃん！ 私の手にかかれば、無限に椎菜ちゃんの写真を撮りまくることなど可能！」
どこからその自信が出てくるんだろう……？
「まーまー。んで、椎菜っち、その水着はどんなん？ きつくない？」
「うん、丁度いいよ。こういうのもいいね。僕、暑がりだからこういう水着の方が好きかも」
「なる。でも、椎菜っちはもっとこう、清楚な感じがいいと思うんよ。ピュアだし」
「一理ある。ってなると……やっぱこれでしょー！」
「お姉ちゃん、いつの間に持って来たの？」
「縮地を少々」
それで出来るのはお姉ちゃんくらいな気がします。
でも、持って来てくれたのなら、早速試着してみよう。
「これ結構いいかも？」
「おー、いーじゃんいーじゃん！ メッチャ似合ってんじゃん！」
「私の目に狂いはなかったッ！ やはり、椎菜ちゃんにはパレオ付きのビキニが似合うのだッ……！」
お姉ちゃんがすごく力説しているけど、そんなお姉ちゃんが持って来たのは、水色のビキニに、パレオ？ っていう、腰に巻く布がセットになった物。
これ、結構いいかも。
「椎菜っち的にこれはどうなん？」
「すごくいいかな？ こういうの好きかも」
「おっ、好印象！ じゃあ、それにする？」
「うん。これにします！」
「はっや。やっぱ、普段がメッチャ可愛くても、中身は男だねー。こーゆー、即断即決みたいなとこは、男だし」
「まあ、椎菜ちゃんって昔からこだわりとかなかったしねー。強いて言えばパーカーくらいじゃない？」
「なるなる～。でも、なんか意外。椎菜っち、そーゆーの気にしそうだなーって思ってたし」
「あはは。僕はほとんど最低限だよ～」
どちらかと言えば、柊君の方が気にしてたかも？
僕は髪の毛を整えて、綺麗なお洋服を着るだけに留めてたし。
基本的にラフなのが好きなので……。
「おかーさん、これにするー！」
「……決めた、です」
「あ、二人も決まったの？ じゃあ、試着しよっか。サイズが合ってるか確認しないとだもんね」
「んっ！ あと、おかーさん、すごくかわいーです！」
「……かわいー」
「そうかな？ えへへ、ありがとう、二人とも。それじゃあ、二人も試着しちゃおうね」
「「はーい！」」
「ごふっ……」
「愛菜パイセン、ダイジョブ？」
「瀕死……」
◇
みまちゃんとみおちゃんの二人も試着したけど、特にサイズが合わないなんてことはなく、すんなりと決まりました。
ちなみに、みまちゃんとみおちゃんが買ったのは、どちらもワンピースタイプの水着。
みまちゃんは白を基調としたもので、デフォルメされた狐さんのイラストがプリントされていて、みおちゃんの方は黒を基調としていて、デザイン面はみまちゃんの水着の色違い。
二人は仲がいいからか、こういう風にお洋服を買う時は、色が違うだけで同じデザインの物を好むみたい。
なので、日常的に来ている私服などは、、みまちゃんが白系、みおちゃんの黒系みたいになっています。
ペアルックなのが仲がいい双子の姉妹って言う感じがしてすごくいいと思います。
「じゃ、あーしはこれで！ 明日は楽しんで来てね！」
「うん！ 次は杏実お姉ちゃんも一緒に行こうね！」
「もちもち！」
「気を付けてね、杏実ちゃん」
「あいあい！」
「あみおねーちゃんバイバーイ！」
「……バイバイ！」
「バイバイ！ またねー！」
杏実お姉ちゃんと別れて、僕たちもお家へ帰宅しました。
「そう言えばお姉ちゃん、ツリーハウスとログハウスはどうなったの？」
「完成したよー。あとちょっとだけやることが残ってるけど、まあすぐ終わるんで、四期生の初配信前には終わらせるよ」
「そっか。……というか、本当に作っちゃったんだね」
「フッ、みたまちゃんのため、だからね」
「豚骨ラーメンを作りたいがためだけにツリーハウスとログハウスを作るのもすごいよね、お姉ちゃん……」
「我が人生、全て椎菜ちゃんたちのためにあるものなり」
「せめて自分のことにも使おう？？？」
「それは無理だね☆」
すごくいい笑顔ー……。
……それはそれとして、明日はプール。
柊君や麗奈ちゃんたちも一緒だし、すごく楽しみ。
今回はちゃんとあっさり味になりました。私が薄い、というとなぜかみなさん、薄くねぇ！ とか言ってきますが、安心してください。今回は薄かったでしょう？ これで私の信用は取り戻せることでしょう。
次回、柊くんちゃんの性別はどっち！ どっちになるかは……神のみぞ知る。神って言っても、ルーレット神様だけど。
