イベント1日目#ライブステージ:3 基本ボケ、時々狂気、時々殺意の波動
「えー、たつなちゃんがツッコミ地獄に堕ちましたが、それはそれとしてトークステージは続くよ☆」
「早速ライブ要素を消さないでくれるぅ!?」
「え、でもみんなトークの方がいいって言うし?」
既にツッコミ疲れがあるのに、さらにツッコミをさせるようなことを言い放つひかりに、やっぱりたつながツッコミを入れる。
決してボケに対するスルーはしないのである。
【もちろん歌も聞きたいけど、それ以上にたつな様がいじら――んんっ! 激しいボケとツッコミの応酬を見てるだけでも楽しいし!】
【いつも通りこそが至高と言う事か】
【普段あんまり絡みのない面子だしなぁw】
【言われてみれば確かに】
「おっ、この面子のことについて言及してるコメントがあるな! ついでに、ましゅまろにも来てるぜ! んじゃ、なんでこのライブステージがこの面子なのか言っとくか!」
「だね☆ えー、この普通のライブステージに登壇しているのが、私、刀君、たつなちゃん、いくまちゃん、いるかちゃんの五名かと言うと……単純に、歌方面とダンス方面で上手い人が参加させられております」
刀がコメントとましゅまろを拾って、現在の面子の理由を切り出すと、それを継いでひかりがそれを説明する。
会場内の方では納得するような声がそこかしこで上がる。
【言われてみりゃそうか】
【特に、たつな様といるかちゃんは顕著だよな。普段から歌配信もよくやってるし】
【刀君もダンスもできるし歌もそれなりに上手いからね! 最高だよね!】
【いくまっちはダンスがらいばーほーむで一番上手いんじゃないかってくらいだしなー】
「はーいその通り! 歌方面で、たつなパイセンといるかっち! ダンス方面で、ウチと刀パイセン! ひかりパイセンは……どちらもかなりの高水準で出来るってゆーのと、あとは邪神は先に出しといて慣れさせとこう、というある意味みたまっちとは方向性が違うだけで、根本的には同じ理由!」
この面子が出演している理由の補足がいくまから入ったものの、シスコンの所だけ明らかに理由がおかしく、えぇぇぇ、と困惑する声がそこかしこで上がる。
それはそうだろう。
【草ァ!】
【おい公式ィィィ!】
【なーにしくさってんですかねぇ?】
【がしかし、そうしなきゃいけないくらい、シスコンはヤバいからな……】
「ん、みたまは可愛すぎて初日は不参加になってるけど、ひかりさんは慣れとかないと精神に異常をきたすかもしれないからこうして出してる。あと、こうして出さなかったら裏で何するかわからないから、とも言われてた」
「私に対する信用の無さがよくわかるね☆」
「日頃の行いを胸に手を当てて振り返ってみようか、ひかり」
「ん~~~……いや私、みたま教を布教してるだけでは?」
「その『だけ』の部分が圧倒的におかしいんだけど、そこはどう思う?」
「????」
たつなの言葉に、ひかりは腕を組んで首を傾げた。
「いやその、『何かおかしいこと言ってる?』とか純粋な疑問顔で返されると、私はひかりに大外刈りをしたくなるんだけど」
「今日のたつなは随分と柔道技を決めようとするな!」
「あぁ、うん。ストレスかな」
刀がたつなに言った言葉に対して、たつなはすごくいい笑顔でそう言った。
なかなかにアレなことを言っている。
「いい笑顔でとんでもないこと言ってんねー」
「ん、苦労してる」
「君たちのせいだけどねぇ!」
【草】
【まあ、それはそうw】
【っていうか、ストレスが理由なのに、めっちゃいい笑顔で言えるのが強すぎるww】
【やはり、常識人はストレス耐性が高いと言う事か……!】
「まあいい……それで、次のましゅまろは私が選んでいいかい? 適当に」
「おうよ!」
「面白いの引いてね☆」
「はいはい……じゃあまあ、これにしようか。えー……おしゃべりコーナーで合ったことが聞きたい、か。うんまあ……私の場合は、『たつな様を困らせ隊』とかいう、謎のグループがあることを知ったかな……」
「「「「あー」」」」
【あっ……】
【ついに、知ってしまったのか……】
【っていうか、未だに知らなかったことに驚きなんですがそれは】
【え、知らなかったの!?】
「ちょっと待って? え、なに? 君たち存在知ってたの?」
たつなの口から出て来たグループ名を聞いた四名は何かを察したかのような反応をし、それを見たたつながこいつら知ってたの? と疑問を四人に投げかける。
「んまあ、普通に?」
「俺、てっきり知ってるのかと思ったぜ?」
「ウチも」
「私も」
「なんで当人が知らなくて、君らが知ってるの!? え、結構有名だったのかい……?」
「ん、有名。そもそも、会員数が異常だから、なぜたつなさんが知らなかったのかが驚き」
「まああれだよあれ! みたまちゃんが萌え殺すのはいつものことだけど、当のみたまちゃん本人はその理由を知らない的なアレだよ☆」
「私の例え、みたまちゃんと同レベル!? っていうか、みたまちゃんの場合はあれはもう、天然記念物を超えた何かだと思うよ!?」
地味にたつなもアレなことを言っているが、当人に自覚なし!
ちなみに、楽屋的な場所でこのライブステージを見ているみたまは、どういうこと!? とツッコミを入れていたりする。
そして、みたまの中身こと、椎菜とは親友であり幼馴染な四期生の例の彼は、うんうん、とたつなの発言にしきりに頷いていたが。
「少なくとも、可愛いからってゆー理由だけで二ヶ月ちょっとで入ったばかりの事務所のトップになるくらいだしねー。やっぱ、可愛いは正義!」
「だな! ってか、うちの事務所には癒し系なんていなかったしな!」
「ん、ロリピュアの片割れは癒しだと思う」
「たしかにリリスちゃんも癒し寄りではあったけど、マイエンジェルシスターのみたまちゃんが入ってから、一気に癒しとしての潜在能力が開花した感じだけどね☆」
「どうしよう、否定したいのに、全く否定できない……! 実際、ロリピュアはどこの誰が言いだしたかはわからないが、気が付けば正式なユニット名みたいになってるし……!」
【そういや、誰が言い始めたんだろうな、あれ】
【気が付いたら普及してた感じはあるよな】
【よくある、出所不明のネットミームみたいなもんだよなw】
【出所不明の名称を付けるらいばーほーむ公式ェ……】
【↑あれを名乗り出したの、陛下からなんだよなぁ……】
「あー、あれの出所わかってるよ?」
「「「マジで!?」」」
出所不明だと思われていたロリピュアの名称の出所がわかってる、とシスコンが突然の大暴露をかました。
これには会場内やコメ欄もざわつく。
……名前一つの出所がわかったくらいで騒ぎになる名称とは。
「マジマジ☆ あれの出所を調べたけど、言いだしたのはトワッターの一人のユーザーだねぇ。ちなみにその人、らいばーほーむにも関わりがある人だったり」
「世界は狭いってことか?」
「それでそれで、その人は誰なんでー?」
「ん、気になる」
「たしかに、私もそれは気になるね」
「あれ言いだしたの、リリスちゃんのママこと、宵闇亭のじゃろりママだね」
「リリスのママさん何してるの!?」
犯人はリリスのママであったことが発覚し、それはもう出演組だけでなく、観客やら裏方にいる不参加組のライバーたちも驚く。
【名付け親が強すぎたwww】
【っていうか、陛下のママのイラストレーター名初めて知ったんですが……】
【名前からわかるのじゃロリ好き】
【性癖を名前にしてるのは、ほんと草なんだよなぁw】
「ちなみに、宵闇亭のじゃろりママは、ロリでピュアな二人と言うことが発覚すると、裏でわたもちさんと合作でロリピュアなイラストを描いて、匿名でトワッター上に上げたそう。その際付けてたタグが、『ロリピュア』で、語呂がよかったから結果的に広まったんだって☆」
「「「「マジかー……」」」」
ロリピュアという名称のまさかの真相が、あまりにもアレすぎるものだったので、これを聞いた者たちは何とも言えない気持ちになった。
まあ、大体の感想は……何してんの? だが。
【らいばーほーむに関わるイラストレーターにまともな奴はおらんのか!?】
【っていうか、わたもちママ何しとんねんwww】
【そういや、わたもちママをコメ欄で見かけないな……】
【言われてみれば……】
【あれじゃね? みたまちゃんがいないから】
【いや、あの人みたまちゃんがいない配信でも割と来るぞ】
「やー、結果的にそれが二人のユニット名になったんだからすごいよねぇ!」
「ん、たしかにすごい。まさか、リリスさんのママからだったとは……」
「……いやちょっと待って」
たつな自身も、すごいと言おうとしたが、言う直前になって一つの疑問が頭の中に浮かび、待ったをかけた。
「どした? たつな」
「いや、あのさ……君今、匿名で投稿したイラストタグがそうだった、って言ったよね?」
「言ったねー」
「……なんで匿名なのに正体を知ってるの?」
ざわっ……。
たつなの指摘に会場内が一気にざわつく。
言われてみれば、と会場内のファンたちも口々に疑問を口にし始める。
「たしかに、絵柄がその人の物だとわかるかもしれないが、匿名だったんだろう? もしかすると、イラストを真似ていた別人かも知れないし、どこから転載して来た物と言う可能性だってあると思うんだが……」
「あっはっは! たつなちゃん、そんなの簡単だよー。みたまちゃんのイラストがどこからどう見てもわたもちさんのタッチだった。みたまちゃんをこよなく愛する私なんだし、それくらい1秒もかからずに判別できるじゃん? で、反対にリリスちゃんのイラストの方は、わたもちさんのタッチじゃなかったからねぇ。で、よく見たらこれ宵闇亭のじゃろりママじゃん! ってなったんだよ☆」
「いや、うん。なったんだよ☆ じゃなくて……いやなんでわかるの!?」
理由を訊いた瞬間、たつなはそれはもう大き目な声でツッコミを入れた。
そりゃそうだ。
「え? いやだって、シスコンだよ? わからないでシスコンは名乗れない!」
「違う、そうじゃない! 普通匿名だからって秒でわかるぅ!? あと、匿名なのになぜユーザーの正体が!?」
「ん~~~……まあそこは、個人的な伝手、ということで! あ、ちゃんと合法だよ☆」
「合法と言えば流せるとでも!? っていうか、本当に怖いよ君!?」
「あっはっはー☆ 大丈夫大丈夫! 私もちゃーんと気が付いた後に連絡取って、これ宵闇亭のじゃロリママですよね! って訊いてるから!」
「いきなりそれを指摘されたら恐怖じゃないかい!?」
「うん、めっちゃビビられた」
「だろうねぇ!」
よかった! 相手のイラストレーターはまともだった! とたつなは心の中で安堵した。
「まあでも、すぐに意気投合したけどね。今ではプライベートでやり取りしてるしね☆ あ、みたま教にも入信済み」
「全然まともじゃなかったッ……!」
が、すぐにその安堵は消し飛んだ!
「さっすがひかりだぜ」
「やー、すごいねぇ。ひかりパイセンの伝手もそうだけど、行動力はマージで尊敬するっしょ」
「ん、真似できない」
「いや真似されても困るんだがぁ!?」
【なんかもう、うん……】
【ビビるからまともだと思ったら、みたま教というある種最強の宗教に入っている方でしたかぁ……】
【みたま教とは……?】
【教皇兼教祖なシスコンがおったてたみたまちゃんを崇める非公式な宗教的な何か】
【↑えぇぇ……】
【知らないと言うことは、新参者か、単純にみたまちゃんじゃないライバーが推しということだろう。安心しろ、みたまちゃんのチャンネル登録者数の9割はみたま教信者だ。お前はまだ1割ということさ】
【おっそろしすぎるww】
「はぁ、はぁ……なんか、歌う前に相当疲れた……!」
「体力ないねぇ、たつなちゃん☆」
「君せいだが!?」
「どうどう。たつな、今日はずっと叫びっぱなしだな! 明日のステージ大丈夫か?」
「誰のッ! せいでッッ! ツッコミをッッッ! しまくってるとッッッッ!!??」
「「「「さぁ?」」」」
「――コロス☆」
たつなの目から笑顔が消え、表情はにんまりとした笑顔になる!
そして、たつなからは殺意が迸る!
【こっわwww】
【イベントでものすごいド直球なセリフを言い放ちやがったww】
【まあ、これはしゃーないww】
【さすがいじられキャラだ……!】
「やっべ、たつなが殺意の波動に目覚めてしまった! というわけで、歌行くぞ歌! ちなみに、歌うのはたつなだからな!」
「――よーし、憶えておくようにね? 刀。私は今日、君を処す」
「やっべー、俺の命終わったわー」
「あっはっはー! 刀君、ドーンマイ☆」
「ひかり、君にはジャイアントスイングね」
「柔道技ですらないねー」
「いくま君にはジャーマンスープレックスね」
「やっば飛び火した」
「ん、ドンマイ」
「いるか君は……まあ、足四の字固めで許そう」
「関節技……!?」
【草ァ!】
【ガチで殺しに来てて草生える】
【っていうか、シスコン相手にジャイアントスイングはヤバイww】
【でもシスコンだからノーダメだろうなぁ】
「えー、私の迸る殺意が漏れ出てしまいました。大変申し訳ございません。このボケ共は私がきっちり〆ておくのご安心ください」
にっこり笑顔のたつなのセリフに、ファンたちは思った。
『四期生の常識人、早く来ないとこの人もらいばーほーむするのでは?』
と。
そしてその四期生の常識人な人物は、
「……これ、デビュー時期、少し早めた方がいい気がして来たなぁ……」
とか思ったそうな。
たつなの現在のHP『ー87/100』。
リリスのママこと、宵闇亭のじゃろりさんは女性です。
年齢はわたもちママの二個上の22歳です。外見は……実は金髪碧眼の幼女。日本人ではなく、イギリス人ですが、生まれてすぐに父親が事故死した後、日本人の男性と母親が再婚した関係で日本に住んでます。
なので、日本語はペラペラです。
本人も外見ロリなのに、のじゃロリが好きになったとか言う人物。
個人的には、みたまののじゃロリが見たいとか思ってる。
地味にリリスと同い年で、中身もロリだが……宵闇亭のじゃろりママの方がいろんな意味でママっぽいです。どこが、とは言わない。多分、リリスの精神が死ぬので……。ついでに、ツンデレちゃんとはつきの両名も。いるか以上みたま未満、とだけ。どゆこと? と思った人は、配信#11-2のあとがきを見ればわかるよ!
それと、この作品のロリ率高くない? と言う言葉は禁句です……!




