イベント1日目#おしゃべりコーナー:21 いくまの場合:下
明らかにこの世の者ではない存在と特技談義をしていたいるかから移り変わって、次に出て来るのは……
「ハロハロー! 今日は来てくれてありがとね! 狼神いくまだよ! きゃぴきゃぴ☆」
激重過去を持ってるのに、なんであんな調子で言えるん? みたいな、メンタル強者の狼神いくまであった。
『初めまして! 結城咲季って言います! いくまっちに会えて死ぬほど嬉しいです!』
そんないくまが次に相手をしたのは、二十代半ばくらいの女性であった。
「おー、それは嬉しいね! やー、なんか今日、そう言ってくれるファンが多くてねぇ。ウチ、マージで嬉しいんよー。っていうか、ガチで推してくれてる人が多くてびっくり!」
『そうなんですか? でも、いくまっちも結構人気だと思いますよ?』
「ん~、まあほら、咲季っちの前のファンにも言ったんだけどさー、ウチって二期生の中でも薄いじゃーん? 下手したら、三期生の方が濃いかも~、なんて思ってるしー」
『そう、ですかね? たしかに三期生は濃いですけど、十分いくまっちも濃いと思いますよ?』
「そっかー、みんなそう言ってくれるってことは、ウチはちゃんと濃いってことなんだね! ま、いっか! んじゃ、10分しかないんだし、話そ話そ!」
『そうですね! 私もそのために、今日は九州から来てるんです! もう、めっちゃ楽しみで!』
「へぇ! 九州! なかなかに遠いとこらから来たんだ!」
『飛行機で来ることになったので、交通費がいいお値段でしたけど!』
「だろうねぇ。やーでも、結構急なイベント発表で、入金期間自体も長いわけじゃなかったのに、よく来れたね! 普通にすごいと思うんよ」
『去年イベントがあったので、今年もやらないはずがない! ということで、お金を貯めてて』
「先見の明を持ってるねぇ! そういうのはマジで大事っしょ!」
去年の傾向から、今年もあると踏んでの貯金をしていた女性ファンに、いくまは笑顔でそれを褒める。
まあ、そもそもの話が、らいばーほーむでお金を落とす場面と言うのは、普段の配信における投げ銭やら、イベント時のようなグッズ販売などだけなので、案外お金を落とす場面が少ない。
にもかかわらず、大きな利益を得ているのだから、色々とおかしい。
『この後のグッズ販売も、絶対いくまっちのグッズを手に入れる所存です! ぬいぐるみ欲しい!』
「あー、あれね! ウチも結構いい出来だと思っててね! デザインについては、ウチじゃなくて、ウチのママに頼んでるけどー」
『そう言えば、いくまっちのママもいくまっちと趣味が同じなんでしたっけ?』
「そそ! ウチと同じ委員長好きのあじたまママ! やー、あの人の描く委員長系キャラメッチャ好みドストライクで、可愛すぎんよ! っていうか、あの人が参加してるギャルゲも最高だし! 全部買い集めるくらい!」
『あ、知ってます知ってます! 一番有名なのって、美原夢叶でしたっけ?』
自分のママが出てるギャルゲを買い集めてると言うと、女性ファンが食い気味に反応し、有名どころのキャラクターの名前を出した。
「そうそれ! あれ、咲季っち知ってる感じ?」
『いくまっちがきっかけで、ギャルゲをやるようになったんです!』
「へぇ! それはなかなかいい趣味してんよ! それで、どういうキャラが好みなん?」
『いくまっちの影響で委員長キャラです!』
「ますますいいじゃーん! ギャルゲにおける委員長キャラはマージで可愛いっしょ!」
まさかの自分がきっかけで推しが委員長系キャラになったと言う女性ファンに、いくまはかなりテンションが上がる。
いくまのリスナーというのは、基本的に6:4くらいの男女比をしているが、これはあくまでも総合した時の物であり、ギャルゲ関係の時になると、これが8:2くらいになる。
なので、同じ趣味を持つ同性のファンと会えたのはかなりテンションが上がる状況の様である。
『わかりますわかりますっ! 好きなのについつい硬くて強い言い方になっちゃって、後悔してるシーンとかいいですよね!』
「わっかるぅ! ツンデレに近いものがあるけど、それとは別にデレが出にくいだけって言うのと、一度デレ始めるとかなりの攻め姿勢に入るのがいいんよ!」
『わかりますわかりますっ! 途端に可愛さが倍増しになりますよね! しかも、控えめに甘える所も良くないですか!?』
「そうそれ! 咲季っちよくわかってんじゃーんっ! やっぱ、ギャップがいいんよね! ギャップが!」
『私も、まさかあんなにドハマりするとは思ってなかったので、いくまっちにはすっごい感謝してるんです! おかげで、楽しいことだらけです!』
「いやいや! それは咲季っちが、ウチと同じように、本能が委員長系キャラを推してただけっしょ! あ、咲季っちは、委員長系キャラは眼鏡あり派? なし派?」
『難しい問題ですね……!』
いくまが眼鏡あるなしのどっちが好きかと問うと、女性ファンはうむむ、と腕を組んで難しい顔を浮かべる。
『たしか、いくまっちはある派でしたっけ?』
「そりゃあもう! だって、眼鏡があったら、普段の眼鏡状態での可愛い姿が見れるし、逆に何かの拍子で眼鏡を外すシーンがあれば、眼鏡なしモードが見れるっていう、一粒で二度美味しいみたいな存在だし! ってゆーか、委員長と言えば眼鏡だと思うんよ!」
『なるほど、一理ありますね! でも私は……どちらかと言えば、眼鏡なし派かなぁ』
「ふむふむ、その理由は?」
『ん~、元々眼鏡キャラ自体はそこまでって感じでして……あ、でも、アンダーリムの眼鏡は好きですよ! 四角い系の! あれって良くないですか?』
「あー、それめっちゃわかる! なんかこう、リアルではあれだけど、二次元になると、妙にアンダーリムの眼鏡っていいな! ってなるんよ!」
『あれをかけてるキャラって、すっごい知的に見えるんですよね』
「そうそう! でも実際はちょっとポンコツな面もあったりして。ほら、家事が苦手! みたいな!」
『あ、いいですよねいいですよね! いつもはキリッとしていてすっごい頼りになるのに、生活面が死ぬほどクソ雑魚みたいな感じの委員長!』
「うわわっかるぅ……家庭的でも美味しいし、生活力皆無でも美味しい! やっぱり、委員長は結構な良個性……!」
『ですね!』
まさかの女性同士でギャルゲの委員長キャラ談義に花を咲かせると言う状況に。
尚、ここまでにおけるいくまのおしゃべりコーナーにやってきたファンたちの中に、ここまで熱く語っている者はいなかったのもあって、いくまのテンションは上がり続けている。
「ん~、でもそっかぁ、咲季っちは眼鏡なし派か……まあでも、好みは人それぞれだし! ウチも眼鏡なし委員長も好きだし、全然いっか!」
『いくまっちはその辺って結構寛容ですよね?』
「そりゃあそうっしょ! 今も言ったけど、好みは人それぞれだしね! 世の中には、ちょっとでも好みが違うと、なぜか論争に発展することもあるけど」
『あぁ、ありますねぇ……らいばーほーむでもたしか、刀君と暁君の二人のカップリングについての論争がありますよね』
「あー、あるある! どっちが受けで、どっちが攻めなのか! ってゆー、論争! 論争の中心になってる二人は全然気にしてないのが強いけどね!」
『普通は嫌がると思うんですけど、あの二人ってその辺すごいですよね』
「それはマジでそう! しかも、自分たちでその作品を朗読するとかってゆー、イカレたメンタルしてるとこもすごいっしょ! あれ!」
『ですねぇ。何を食べたらあんなメンタルになるんでしょうかね?』
「ん~、刀パイセンはともかく、暁っちは単純に人生経験もあると思うし。なんでも、中学時代に自身をモデルにした腐の同人誌を書いた同級生の猛者がいたって話だし」
『何それ強い』
しれっととんでもないことが飛び出したが……まあ、事実なので。
あのショタも普通に濃い経験をしているのである。
「だから慣れてる! って言ってたかなー」
『へぇ~、やっぱりらいばーほーむのみなさんは、いろんなことを経験してるんですねぇ』
「たしかにね。ウチもウチで、人生経験は豊富だし! 三期生には、現在進行形で波乱万丈な人生を送ってる人もいるし!」
『もしかしなくても、みたまちゃんですか?』
「せいかーいっ! みたまっちってすごくね? 高校生なのに、実質二児の母してるんよ? 普通の配信者ならともかく、VTuberで二児の母、しかも女子高生でってゆーのはすごくね? ウチ、マージでびっくりしたし」
『あれはたしかに……放送事故の配信、ちょうどリアルタイムで見てましたけど、こう、すごかったですよね。ツンデレちゃんってわけじゃないですけど、みたまちゃんから発される母性という母性のオーラがすごすぎて、思わずおぎゃりそうでしたし』
どうやらこの女性ファンは例の娘凸事故をかました配信をリアルタイム視聴していたようで、当時を思い出して物凄い曖昧な笑みでそう話す。
「やー、みたまっちの母性はねー、マージですごいかんねぇ。デレーナっちの場合は、今までの活動において体力が常に1割切った状態でしてたからねー。やっぱ、劇薬だったんだろうねー、あれ」
『劇薬扱いなんですね』
「やー、だってあのゲリラ配信とちょーヤバくなーい? デビューしたてとは思えないくらいの母性の発揮っぷりに、リスナーも死んでたし!」
『ゲリラでしたし、私も仕事中だったのでリアルタイムで見れなかったですけど、後からアーカイブで見たら、こう、すごかったです……』
「あのみたまっちの母性パワーが、双子の娘ちゃんの登場で、さらに強化されてる感じでね。おかげで、裏でデレーナっちがものっすごいことになってるし、しれっとみたまっちの膝枕クッションを何が何でも買おうとしてるしね。まー、それはらいばーほーむの男子二人とみたまっちを除いた全員でもあるけどねー」
『あ、いくまっちも買うんですね』
「そりゃー、買うっしょ! そもそも、既に膝枕を体験してる、たつなパイセンや、うさぎっち、いるかっちの三人がなんとしても手に入れようとしてんよ」
『そういえば、出張みたま家事サービスを受けてましたね。あと、全員普通に寝てませんでした?』
「そだねぇ。なんでも、『あれはもう、有無を言わさずに眠りに落とされる』とかなんとか。あと、短い時間でもなぜか眠気が全部吹っ飛ぶレベルらしいんよ」
『みたまちゃんの膝枕って、ものすごいマイナスイオンが出てるんですかね?』
「膝枕ってゆーより、みたまっち自身から大量のマイナスイオンが出てる気がするかな」
『たしかに……』
ちなみに、みたまの膝枕クッションを全力で確保しに行こうとしているのはシスコンとロリコン、おぎゃリスト、それから家事サービスを受けた三名。
特に、たつながかなり欲しがっている。
理由は……あの枕で毎日寝たら、ストレスが無くなりそうだから、と言うもの。
理由がお労しすぎて、それを知ったらいばーほーむのメンバーは、これからはちょっと抑えよう……などと思うことはこれっぽっちもなく、
『じゃあ、今後はもっと暴れてもいいよね!』
になっている辺り、たつなの胃は肉体の寿命よりも先に寿命を迎えてしまいそうである。
たつなはやけくそになった。
そして、四期生の例の彼が早く来てほしいとさらに強く願うようになったとか。
「ま! ウチも、みたまっちと配信する約束があるし! 楽しみっしょ!」
『え!? コラボするんですか!?』
「もち! やー、今までぜーんぜん接点がなかったから、ようやくって感じ! ウチだけだし! みたまっちと全員コラボ以外でコラボってないの!」
『そう言えば確かに……やっと、報われるんですね!』
「ほんとそれ! もう、今からめっちゃ楽しみ!」
『私も楽しみにしてます! ……って、あれ? それ、ここで言っていいんですか?』
「大丈夫っしょ。というか、ある程度周知されてた方が、ダメージが少ないと思うんよ。血液的な」
『あ、あー……なるほど、それはたしかに……』
「みたまっちは火力が高すぎて、死ぬからねー」
『わかります……』
「ウチとしては、眼鏡かけたみたまっちとか超見たい! って思ってるけどね」
『激同』
二人はこの後も、緩やか~な談笑をしておしゃべりは終了となった。
委員長スキーギャル(闇深系)ないくまでした!
しれっと、前半戦と同じ順番してるいくまといるかなのがすごい。なんで?
さぁ、残ってるのが、ロリ×2とショタ×1とかいう、すごいことになってます!
後半戦のルーレット神様はどうやら、ロリショタ好きだったようです。
前半戦は、愉快犯なルーレット神様でしたが、後半戦は性癖を優先させるただの変態だったらしい。
というわけで、明日は残る三人! 何気に、一期生~三期生、全部が一人ずつ残っています! すげぇなルーレット神様!




