イベント1日目#おしゃべりコーナー:18 ふゆりの場合:下
連続して人生相談にやってくるファンが訪れた、常識人と騒音猫という、らいばーほーむのイベントにしては、えらく普通な二人から移り変わって……
「ゆきふりぃ~~! らいばーほーむの雪ふゆりこと、ロリコンですよぉ~」
らいばーほーむ、変態の二巨頭の性癖系担当である、雪ふゆりことロリコンであった。
どこかのシスコンと同様に、名前がどこかへ行ってしまっている。
さらに言えば、向こうは二年以上VTuberとして活動した上でああなっているが、こちらはVTuberとして活動を始めてから半年も経っていない存在なので、ある意味では大型新人だった、とも言えるかもしれない。
真の意味での大型新人は、どこかのお狐ロリではあるが……(そもそもあのTS幼女は、二ヶ月程度で100万人を達成したという、VTuber界の可愛いお化けなので……)。
『うわぁ……』
そんなロリコンの次なる相手は、二十代後半くらいの男性であった。
しかも、ちょっと引いている。
「あらあらぁ~、うら若き女性に対して、うわぁ~、はさすがに失礼ですよぉ~?」
うふふ、といつものぽわぽわ~っとした笑みと口調でそう言うと男性は何とも言えない表情で口を開く。
『そのうら若き女性、ものっそい変態でロリコンなんですが……うら若きの『うら』はいずこへ? みずみずしいっていうか、辺り一帯を侵食して、自分色のしそうなんですが……』
「あらあらぁ~、たしかに理想とするロリの方を、自分色に染めたいなぁ~、とは思いますけどぉ~。さすがにしませんよぉ~」
『自分で変態って言ってもうてますやん……』
「自他ともに認める変態でロリコンですからねぇ~。むしろ、私には褒め言葉でしかありませんよぉ~」
『変態とロリコンを褒め言葉として受け取る人を、俺はこのロリコン以外に知らない……』
似たような系統で、シスコンという存在もいるが、あれは変態と言う次元にいないので、ある意味例外。
「とはいぇ~……こうして見ると、私のファンは男性の方が多いですよねぇ~。もちろん、ファンと言う存在は、誰であろうと嬉しいですけどねぇ~」
『そりゃあ、ふゆりんの配信内容的に考えて、女性よりも男性ファンの方が多いでしょうよ……』
「それもそうですねぇ~」
『それにほら、ふゆりんの配信ってこう……ロリの話しと、ASMRのどっちかしかないし……むしろこれで女性ファンつけるの、無理じゃね? って感じだし』
「確かにそうですねぇ~」
男性の言葉に、ふゆりは特に反論することなく、普通に肯定する。
実際、ふゆりが普段行ってる配信と言えば、甘々お姉さん系のASMR配信(相手はロリを想定している辺り……)と、ロリについての話をする配信のどちらかである。
前者についての台本等は、外部に依頼しているので、実は結構な金がかかるのだが……そもそもの話、こいつはらいばーほーむでもツートップの金持ちなので、その辺は特に気にせず、赤字になろうがファンが楽しめればいいですよねぇ~、としか考えていない。
まあ、本人のファン自体がかなりの人数だし、ふゆり自身の技量が高いので、普通に黒字になるのだが……。
「シナリオ的には、可愛いロリが相手の想定なんですけどねぇ~。やはり、ロリ系なファンは難しいと言うことですねぇ~」
『小さい子供に人気なのは、みたまちゃんの方だからなぁ……』
「それはそうですよぉ~! みたまちゃんは、至高のロリですからねぇ~!可愛らしい声に、可愛らしい仕草、可愛らしい性格、どれをとっても最高のロリですよねぇ~~~! やはり、同期というとても素晴らしい立ち位置になれたのが、私の人生における最大の幸運ですよぉ~~~~!」
『あ、やべ、地雷踏んだ』
「みたまちゃんは地雷ではないですがぁ~~~~!? 訂正しないと、足がガックガクになるほどに、エロい言葉を耳元で囁きますよぉ~~~!?」
男性ファンの地雷発言に、ふゆりはよくわからないキレ方をした。
『どんな脅し!? っていうか、それ人からすればご褒美じゃね……?』
「いえ、よくよく考えてもみてくださいぃ~。このイベントに来られている時点で既に幸運ですからねぇ~。なので、足がガックガクになってしまったら、この後のライブも楽しめないと言うことになっちゃいますからねぇ~~!」
『ハッ……なんと言う恐ろしいことを考えるんだ!?』
その用途が完全にファン殺しになっている辺りが本当に酷い。
自分たちのイベントを人質に取ったまさに卑劣な脅しである。
「なので、訂正しないと、足がガックガクになりますよぉ~?」
『すんませんでした! さすがに、この後のライブを、ロリコンで退場せざるを得ないは勘弁して!』
「わかればいいんですよぉ~~。ところで、私とのおしゃべりコーナーが当たっているとのことですがぁ~……狙い目は誰だったんですかぁ~?」
『あ、俺、みたまちゃんとふゆりん推しなので、どっちかが当たればいいかなって』
「ほほうぅ~~!? みたまちゃんと私がセットのカップリング推しと言うことですねぇ~!」
男性ファンの推しが自分と大好きなみたまの二人だと知ると、男性ファンが言っていないことまで言い出す辺りが、とてもロリコン。
『そこまでは言ってないが!? いや、好きだけど!』
「あなたは大変見どころがありますねぇ~~! しかし、こう言っては何ですが、私はそれはもうロリコンですしぃ~、みたまちゃん推しならある意味セットにしないのではぁ~?」
『おねロリが好きなんです』
「とてもいい趣味をお持ちですねぇ~~~!」
『個人的にはこう、純粋な女の子と小さい女の子好きのお姉さんって言うシチュが好き』
「よくわかってますねぇ~! つまり、私たちのような状況が好みドストライクだったということですねぇ~?」
『その通りです! っていうか、いつぞやのASMR配信+お泊まり配信が至高過ぎて、ASMR配信なんて、一日に十回もリピートしてますからね』
「十回は甘いですねぇ~。ひかりさんなんて、仕事中もずっと聞いてるそうですよぉ~?」
『上には上がいたどころか、その間が次元の壁でも挟んでるのってくらいだだっ広いんですが……』
やっぱあの人おかしくね? と男性ファンはひかりの行動に戦慄する。
尚、仕事中なので、普通に血を吐くし、未だに終盤の大好きは死んでいるが。
ただ、それをするのは在宅の時だけで、出社の時は社会人として一切していない。
休憩時間は別だが……。
「あの人はらいばーほーむ最凶の人ですからねぇ~。さすがの私でも及びませんよぉ~」
『普通に張り合えてる時点で同格では……?』
「張り合えてる、と言うより、得意分野が違うので住みわけが出来ますしねぇ~。あちらは武力担当、私は財力と知力担当ですからぁ~」
『二人で完結してる時点でやべぇ……』
「これまでに何度みたまちゃんへ誹謗中傷をする愚かな方を制裁してきたことかぁ~……」
『何してんの!?』
「いえ、ほんの少しなら、大目に見てますよぉ~? でも、さすがに看過できないレベルの物は、意図的に燃やすことで白日の下に晒してますよねぇ~」
『こっわ!? やってることがマジでこえぇ!?』
「しってますぅ~? みたま警察は人海戦術が最も効率がいいんですよぉ~。具体的には、ものすごく酷い誹謗中傷の書き込みがあったら、それを引用しまくる、みたいな感じですねぇ~」
『本当に何してんの!?』
「まあでも、そこまでするのは、よほど酷い書き込みの時くらいで、基本的には無言の通報で潰してますねぇ~」
『どっちみち強すぎる……』
などと言っており、実際にはふゆりの言う通りのことが裏で行われている。
150万人以上もチャンネル登録者がいる上に、わりと高頻度でトレンド入りすることもあって、みたまはチャンネル登録者数以上に有名人なのだ。
光があれば当然闇もあると言うことで、人気になるのと比例して、アンチ、というものが付くようになっていた。
この辺りは、人気者の宿命と言うべきだろう。
そんなアンチたちだが、ライン越えの発言をするとみたま警察のみなさんが無言の通報祭りをするし、あまりにも酷い書き込みをしようものなら引用されまくったり拡散されるという。
尚、特定はしていても、ネットには晒していない。
ネットリテラシー、大事、を基本的なポリシーにしているので。
……もっとも、集団で引用しまくるだけして、あとは放置なのはネット社会の現代ではある意味恐怖だろう。
いつ何をしでかすかわからないという恐怖と言う意味で。
とはいえ、さすがにアンチが0と言う状況はあまりにも歪なので、そこまで酷くない者、というか個人的な理由で好きじゃないとか、なんとなく好きになれない、とかそれくらいの自分の気持ちを呟くだけなら問題はないのである。
どうしたって、好き嫌いの好みはあるので。
……まあ、だとしてもやり過ぎだとは思われるが。
主に、シスコン、ロリコン、おぎゃリスト、わたもちおばーちゃん(19歳)。
「なので、もしも酷いコメントを見つけた際は、特に何も言い返さずに、そっと通報するから、私かひかりさん、デレーナさん、わたもちさんのどなたかにDMしていただけると助かりますねぇ~」
『あ、ハイ。……っていうか、ふゆりんたちなら、言い返すって言うと思った……』
「何を言いますかぁ~。そもそも、アンチと口論になること自体、ファンの質を下げるようなものですからねぇ~。ああいうのは、無視が一番効果的なんですよぉ~。アンチと言うのは、他とは違う自分かっけー、とか、キレるファンの方を見るのが楽しいだけですからねぇ~。まあでも、今のはアンチと言うか、荒しですねぇ~。アンチはまあ、必要な存在ですよぉ~。程度によりますが」
『な、なるほど……普通にちゃんとしてるんだなぁ……』
「こんなことで、みたまちゃんの評判が落ちようものなら、キレますからねぇ~……らいばーほーむ全員」
『そこ全員なの!?』
「みたまちゃんは、らいばーほーむの全ライバー且つ、事務所の方々からも愛されてますからねぇ~。イベントのレッスン期間とかにスタッフさんや、レッスンの講師の方々の分も含めた差し入れを持って来てくれるくらいですからねぇ~」
『みたまちゃんが強すぎる……!』
「家庭的で天使な同期とか……正直、沼らないわけがないですよねぇ~! 素の生態も大変可愛らしいのでぇ~!」
『あ、うん。そうですか』
何気にみたまの話ししかほとんどしていないのに、男性ファンは特に気にしていなかった。
彼はおねロリ好きなので、こうしてロリの話(同期)をするふゆりの姿が好きなので。
この後は、おねロリの話にシフトし、楽しく終わった。
そんな無類のロリ好き且つ男性ファンが多いふゆりなので、当然女性ファンと言うのは少ないわけで。
そんな中、ふゆりは思い出した、そう言えば金髪のロリがいると……と。
基本的に話している間はそちらに集中しているが、休憩時間中のロリコンは早くそのロリが来ないかなぁ、と思い出し待ち焦がれる。
そして、ついにその時が来て……
「ゆきふりぃ~~! らいばーほーむの雪ふゆりことロリコンです、よ……………………!!!???」
『は、初めまして! ミラーファ=エルナーって言います! ふゆりさんに会えてすっごく嬉しいですっ!』
ふゆりは金髪で金眼の大変可愛らしい幼女が来た上に、それはもういい笑顔で会えて嬉しいと言われた。
そんなロリコンはと言えば……
「――」
固まっていた。
自分の姉のことだし、さすがに嘘は吐かないだろうと思っていたが、心のどこかではもしかすると好きは好きでも、他の三期生の方が好きなのでは? と思っていた。
だがしかし! 見るからに目の前の幼女は、どう見ても自分推し! それが、ふゆりには瞬時にわかったのである!
というか、ロリコンの特技の一つに、相手がロリ限定ではあるが、なぜか感情とか諸々を読み取ることができると言う物がある。怖っ。
『あ、あの、どうしたんですか?』
「……て、天使……」
『はぇ!? わ、わわっ、私は天使じゃない、ですよ!? え、えと、ちょっと小さいだけの、女の子ですから!?』
ふゆりの天使発言に、なぜか妙な慌て方をする金髪金眼幼女。
冷や汗もかいている気がするが……まあ、気のせいだろう。
「ハァッ、ハァッ……す、すみませんねぇ~……ま、まさか私好みの大変愛らしいロリの方が来たために、少々興奮が……」
『こ、こんな小さい私で興奮を……!?』
「何を言いますかぁ~!? ロリですよぉ~!? 小さいからこその愛らしさを備えた、確実に万人受けし、人気が出まくるキャラジャンル筆頭みたいな存在ですよぉ!? 私は、ロリであれば、大抵の方を愛せますからねぇ~~~! そこに、年齢は関係ないのですよぉ~~!」
『す、すごい熱意です……! でも、なんだか嬉しいですっ! その、ちんちくりんって言われる時があるので……』
「はいぃ~~~? 最高に可愛い存在に向かって、ちんちくりんとか、それを言う人は感性死んでるんですかぁ~???」
『その、小さい人が好き! っていうと、犯罪者扱いされますし……』
「まあ、そうですねぇ~。日本は比較的緩いと言えば緩いですけど、海外だとガッチガチに規制されますからねぇ~。ですが、ミラーファちゃん……あ、ミラちゃんとお呼びしてもいいですかぁ~?」
『むしろ愛称呼びされるなんて、幸せですっ!』
「ごふっ……」
ぱぁっ! とまさに天使の笑みと言わんばかりの笑顔で幸せと言われ、ふゆりは吐血!
鼻血? 鼻血は最初に会えて嬉しいと言われた時点で出てます。
「な、なんと言う……なんと言うロリのファンっ……しかも、既に成人以上なのが、とても素晴らしいっ……! 世の中には、リリスさんのような方が他にもいたのですねぇ~……!」
『……あれ? 私が成人以上ってよくわかりましたね?』
「私、一目でロリの年齢がわかるんですよぉ~。ただ、ミラちゃんからは私のロリジャンルセンサーが『ロリババア』って出てるんですよねぇ~……」
『(ギクッ)』
「まあでも、私はロリババアも大変大好物ですので、むしろ最高としか言いようがないですよねぇ~~~!? まあ、ファンタジーがある世の中ですし、100歳越えのロリの方がいても不思議じゃないですよぉ~~」
『え、優しい……!』
「私は基本的にロリであれば無償の愛を振りまきますよぉ~」
振りまくのは愛だけではなく狂気もだろう、とこの場にたつながいたら総ツッコミを入れている事だろう。
あと、しれっととんでもないことを言いくさっているが、まあ、ロリコンなので。
『ほ、本当にお会いできてよかったっ……私、ふゆりさんのASMR配信が日々の糧になっているんですっ! 相手が小さい女の子という想定でしているからか、すっごく没入できて、最高なんですっ! いつも、素敵で癒しなASMR配信をありがとうございますっ! ふゆりお姉さんっ!』
「―――」
ふゆり、再び固まる。
『あ、あれ? ふゆりお姉さん?』
「…………ごはぁぁぁぁ!」
吐血! 過去二の吐血!
自身の金髪金眼でロリなファンからの裏の無いただただ純粋なお礼の言葉と『ふゆりお姉さん』という言葉が、ふゆりの許容限界を超えてとんでもない量の血を吐いたっ!
尚、過去一はみたまが相手である。
『だ、だだっ、大丈夫ですかぁ!?』
「ロリは……最高…………ぐふっ」
ふゆり、幼女ファンの登場で、死亡。
もっとも、このあと幼女の『起きて!』の言葉で蘇生されたので、いつも通りと言えばいつも通りであった。
ロリコンはやっぱりロリコン。
あと、ロリババアっていいよね! まあ、この幼女がなんなのかは、まあ、うん、お察しだよね!
やっぱりロリコンは書きやすい……。
それから、今日の二話目ですが、18時までには出したいなぁ、って思ってます! 遅れたらごめんね!




