イベント1日目#おしゃべりコーナー:3 デレーナの場合:上
別の場所で常識人のライフがゴリゴリ削れて、回復し、一度はヤンデレの気をチラ見せした人物から打って変わって、次の人物へ。
「べ、別に、来てくれて嬉しいなんて、思ってないんだからねっ!」
次の人物は、らいばーほーむのおぎゃる常識人こと、デレーナ・ツァンストラである。
運命と出会ってしまったことにより、常識人としての面影がどこかのマザーと絡まない場面でしか常識人しなくなってしまったと言う、悲しきツンデレである。
まあ、らいばーほーむなので、らいばーほーむってしまっただけとも言えるが。
『初めてリアルツンデレを見た……!』
「は、はぁっ? 別に、ツンデレじゃないけどっ!」
『……え、これがツンデレちゃん? ま、まるで、時が逆行したかのようっ……!』
「どういう意味よ!?」
久方ぶりと言っても過言ではないツンデレのツンデレたる所以を見せるなり、トップバッターの男性ファンはまるでお化けにでも出会ったかのような反応をした。
何気に酷いが、これが今のデレーナの評価とも言える。
「ま、まあいいわっ。折角来たんだし、ゆっくりしてけば、い、いいんじゃないっ?」
『おぎゃってないツンデレちゃんとか、最近じゃレアキャラだよね』
「だ、誰がツンデレよっ!」
『ツンデレちゃんはツンデレちゃん。っていうか、今日はおぎゃらないんだね!』
「――おぎゃりとは、いつでもどこでもするものではないの。おぎゃる相手がいてこそ、万全の態勢でおぎゃれるのよ」
男性ファンの指摘に対して、ツンデレでもって反応をするのかと思いきや……まさかの真顔による説明である。
どうやら、脳に重大な欠陥があるらしい。
『さっすがおぎゃリスト!』
「おぎゃリスト!?」
『ツンデレちゃんのファンの間では、ツンデレちゃんはおぎゃリストと言われてるよ?』
「無駄に語呂がいいわねっ!?」
『まあ、言いだしたのは、いくまちゃんだけどね!」
「いくまはあたしのことを何だと思ってるの!?」
犯人はいくまであった。
尚、そこには暁も一枚噛んでいたりするが……バレなければ問題はないのである。
「と、ともかくっ! きょ、今日は折角来たんだし、ゆっくりしてけばっ?」
『うっす! じゃあ、ツンデレちゃんは休日は何してるんで?』
「べ、別に、執筆なんてしてないんだからねっ!」
『なるほど、普段は小説の執筆と……あ、じゃあ、今やってみたい事とかは?』
「うつ伏せでみたまママに膝枕してもらいながら子守唄を歌ってもらう事」
『ガチガチ過ぎる上に、情緒不安定すぎて草が生えそうっす』
「みたまママの膝枕は至高……なので、みたまママの膝枕は確保推奨よ」
『それは絶対買う! あと、ツンデレちゃんのグッズも!』
「あたしのグッズよりもみたまママの方が大事に決まってるわよね?」
『あ、ハイ』
これが今の常識人の姿である。
最早、常識人ではない、ただの母性狂いのヤバい人である。
信じられるか? この人、一年以上はツンデレで常識人だったんだぜ。
みたまの話になる度に、頭がおかしくなるデレーナに、男性ファンは何も言えなくなるが、まあツンデレちゃんだし! で済ませた。
「そ、それでっ? 他に何か話したいことはっ? べ、別に、ないならないでいいけどっ?」
『じゃあ、今の生活で楽しいこととか』
「三足の草鞋が楽しいだなんて思ってないんだからねっ! それにまあ、あれよっ。なんだかんだ、バカやってるのが楽しいしっ」
『なるほど。やっぱ、学生時代みたいで楽しいとか?』
「まあ、それもないことはないわね」
『でも、みたまちゃんとのことは楽しいって言わないんだね』
「――は? みたまママといっしょにいるのが楽しいとか、常識よね? だって、みたまママよ? そこにいるだけ、癒される……そして、瀉血を行い、綺麗な血に入れ替わるわけで。つまるところ、みたまママといるだけで我々は簡単に健康になれると言う事ね」
『さっすがおぎゃる常識人は違うぜ!』
「ハッ!? 孔明の罠……!?」
『勝手に落とし穴掘って、勝手に落ちてっただけなんだよなぁ……』
みたまが絡むと、途端に頭がおかしくなってしまうようで、普段のツンデレはどこへ行ったんだよと言わんばかりの反応である。
完全に常識人要素がどっか行ってるし、なんだったら、今現在の二期生で一番らいばーほーむってるのはデレーナなのかもしれない。
そもそも、たった一人の人間(?)が絡むだけで、急に狂いだす辺りがらいばーほーむ。
『変なこと訊くけど、ツンデレちゃんって、恋愛経験とかあるの?』
「は、はぁっ!? い、いきなり何訊いてんの!?」
『訊いてもいないのに、突然みたまちゃんについて語り出す人とは思えないセリフだァ……』
「みたまママは全てにおいて優先されるべき存在だから当然」
『実は多重人格者だったりしません?』
「そ、そんなわけないじゃないっ!」
傍から見たら、かなり疑われそうな感じなのだが。
というか、みたまが絡んだ話題になる時の表情と声が、明らかに違うのが酷い。
語ってる時だけまるで別人かのようである。
まあ、それ自体は普段の配信でもそうなので、最近のデレーナのファンたちはそれを面白がってるし、もっとやれ! とか思ってるが。
ライバーがらいばーほーむなら、ファンも頭らいばーほーむである。
『でも、みたまちゃんが絡むとすっごい頭がおかしくなるし?』
「みたまママの前では、常識など塵芥」
『あ、ハイ』
おもしれー、と男性ファンは心の中で爆笑中である。
みたまの話題が出る度に、いちいち表情が真顔になるのがツボらしい。
「っていうか、あたしのことばかりだけど、あなたは何かないのっ?」
『正直、ツンデレちゃんが面白すぎて、ツンデレちゃんの話が聞きてぇって感じかな!』
「は、はぁっ? な、なに変なこと言ってんのよっ! そんなこと言われても、べ、別に、嬉しくなんか、ないんだからねっ!」
とても嬉しそうである。
まあ、素の生態がツンデレなだけで、実際に根はとても善良なので。
最近はちょっと頭がおかしくなってるが……。
そもそも、学生時代からこれだったわけで。
当時と言えば、名物キャラとして有名だったりもしたほどだ。
何せ、ハーフ美少女という容姿がいいのに、中身は天然ツンデレとかいう、どこの二次元だよ、みたいな少女だったので。
未だにツンデレが抜けきらないほどに、ツンデレは魂に根差してしまっているようである。
『いやぁ、なんかもう満足だなー。生でツンデレちゃんのツンデレが見れたし!』
「こ、これくらいで満足しちゃだめなんだからねっ! だって、明日が本番なんだから!」
『それはたしかに……まあでも、残念ながら、今日の分のチケットしか当たらなかったから、明日は配信勢なんだけどね』
「あ、そ、そうなの? それはその……ごめんなさい」
『いやいやー、むしろ、二日目とかいう、見えてる核爆弾型地雷に突っ込む勇気はないですよー。だって、絶対に死にそうじゃないですか、出血多量的な意味で』
「すっかり慣れちゃってはいるけど……普通に考えて、VTuberで出血……というか、血という言葉が出まくるのって、おかしいんじゃないかしら」
『今更ぁ!』
本当に今更である。
この後も、男性ファンは終始楽しそうに頭のおかしいデレーナとおしゃべりをした。
その間も同じような状況が続き。
「き、来てくれて嬉しいだなんて、思ってないんだからねっ! ま、まあでも、ゆ、ゆっくりしてくと、いいんじゃないっ?」
『リアルツンデレ……! やっぱり、実在したんだっ……!』
「え、いきなり何……!?」
今度の相手は女性。
そんな女性は、初手からツンデレをかまして来たデレーナに対し、なぜか嬉しそうな反応をした。
あと、セリフと様子が今までの相手とは違うことから、デレーナはどういうことかと首を傾げた。
『あ、す、すみませんっ。谷川由香って言います! それで、あの、実は私、普段は中学に通ってまして……』
「中学生なのね。なんというか、珍しいわね、こういうイベントに来るなんて。べ、別に、嬉しいだなんて思ってないからねっ?」
『はわぁ~~~っ!』
「な、なに? あの、さっきからその、キラキラした目は……?」
『えと、私の同級生が、『ツンデレなんてキャラ作りだから、現実にいないだろ』って言って来たんですよ。だから、それを証明したかったんです! あ、最初にツンデレちゃんを勧めました』
「そ、そうっ」
『でも、どうせキャラ作りって言われて……なので、実際にツンデレちゃんに会って、素なのかどうかを確かめようとっ!』
「ツンデレじゃないけどっ!?」
などと否定をするが、実際の所、素でツンデレってるので、説得力がない。
まあ、VTuberという、キャラを作ってるのがむしろ多い職業(?)なので、作ってる可能性もあるのだが……そもそも、らいばーほーむのメンバーでキャラ作ってるのなんて、魔王なロリくらいなのだが。
『あ、さっき進めた同級生は、ツンデレちゃんのこと、可愛いって言ってました!』
「へ、へぇっ、そ、そうなのっ? ま、まあ、嬉しい……って、嬉しいなんて、思ってないんだからねっ!」
『やっぱり! やっぱりツンデレちゃんは、素でもツンデレなんですねっ!』
「あっ、ち、違うからね!? あ、あたしは普通だからっ!」
『大丈夫です! ツンデレちゃんはすっごく可愛いですから!』
「あ、ありがとう……って、あぁっ、もうっ、あ、あたしはツンデレじゃないからっ!」
今までツンデレを晒しておきながら、未だにツンデレを否定するのがデレーナクオリティー。
そして、女性ファンは、素でツンデレであると理解し、かなり嬉しそうである。
これで見返せる! とか思っているのだろうが……果たして信じてもらえるかどうかである。
『でも、ツンデレちゃんって、すごいですよね』
「え、突然何?」
『だって、古本屋さんをやって、VTuberをやって、ラノベ作家もやってるんですよね? 私なんて、学校の授業だけでいっぱいいっぱいなのに、すごいなぁって。どうしたら、そんなにいっぱいのことができるんですか?』
「そ、そうね……何事も楽しむ、っていうのがありきたりではあるけど、答えになる、かしら」
『楽しむ……』
「えぇ。学生時代なんて、あっという間に終わっちゃうから。まだ大丈夫まだ大丈夫、と思ってると、いつの間に卒業しちゃってるものよ。それで、卒業して、大人になって、あの時ああしておけばよかったー、って後悔するわけね」
『ふむふむ……』
「だから、学生時代にできることはいっぱいいっぱいであっても、楽しむことが一番……だと思うわ。だってほら、学生時代にしかできない経験だっていっぱいあるもの。あ、で、でもあれよっ? 勉強はちゃんとした方がいいわ! じゃないと、将来を狭めるからっ」
『なるほど……ありがとうございますっ! そうですよねっ! いっぱい経験した方がいですよね! じゃあ、勉強も運動も、部活も、いっぱいできるようになって、全力で楽しめるようになります!』
「その意気よ! でも、無理はしないように……って、あ、べ、別に、心配なわけじゃないからねっ!?」
『こういうところでも、自然にツンデレを……! 本当にありがとうございます! すっごく参考になったし、これなら見返せそうです!』
「あ、そ、そう、なのっ? 参考になればいいけど……というか、あたしの話しで参考になる、の?」
現役中学生に対して、色々と参考になってるのか心配になるデレーナであった。
三回目はデレーナでした! なんかもう、色々と頭がおかしくなっちゃったなぁ……(遠い目)。
そりゃ、たつなも疲労で壊れるよね。
あと、たつな回を書いてて思ったんですが、みたまって視界に入っただけで萌え殺して来るとか、なんかSCPみたいですよね。




