イベント1日目#おしゃべりコーナー:1 うさぎの場合:上
すみません! 投稿設定ミスってました!
表側では、男組との邂逅により、早速胃にダメージを受けた柊だったが、それらは放置しておしゃべりコーナーへ視点を移す。
『ご来場の皆様、大変お待たせ致しました。只今より、一日目の目玉イベント、らいばーほーむメンバーとのおしゃべりコーナーが開始されます。チケットをお持ちの方は、当選したメンバーの列に並ぶようにお願いします』
というアナウンスが東・西館両方で流れる。
これにより、チケット当選者たちは嬉々としておしゃべりコーナーへ。
このおしゃべりコーナーの基本的な仕様を軽く説明すると、一人に付き当選したライバーと十分喋れる、と言うものだ。
とはいえ、ぶっ通しで出来る超人はいない……ことはないが、それはシスコンという例外中の例外なので、ここでは除外。
基本的に一時間に四人相手をし、四人を相手し終えたら十分休憩。それでまた一時間四人の相手をして、というのを合計四セット行い、15時半に終了となる。
一人頭十六人の計算なので、全体を合わせても、162人というらいばーほーむイベント参加者の総合数から見ても、圧倒的に少ない。
当然、らいばーほーむのメンバーと生で喋れると言うのは、ファンからすれば絶対に行きたいと思うものではある。
二日目の各ライバーたちによるステージについても、かなりの応募が殺到していたが、実は一日目のおしゃべりコーナーの方が第一希望として応募する者が多かったのである。
一番人気が高かったのはやはりと言うべきか、どこかのお狐ロリではあるものの、それでも他のライバーたちが人気がないなどはなく、割と僅差である。
何のかんの言って、全員ちゃんと好かれているのである。
そんなこんなで、現在おしゃべりコーナーエリアに並ぶのは、頭のおかしい倍率を潜り抜け、超豪運を持ってして獲得したと言うチケットであるからして、当選者たちはそれはもう、テンション爆上がりであった。
抽選に外れてしまったファンたちの方は、かなり羨ましそうにしていたが。
さて、そんなこんなでおしゃべりコーナーが開始。
トップバッターで語られるのは……。
◇
「は、はは、初めましてぇっ……お、おお、御月美、う、うさぎ、でうすぅっ……!」
というわけでうさぎである。
初手からセリフを噛んでいる辺り、さすがコミュ障うさぎだ。
「あ、あぁっ、あのっ、えとっ……わ、わた、わたしが当たってしまって、す、すみませぇんっ……ち、チェンジですか……内心、チェンジのほうが、い、いい、ですかぁっ……!? そ、それとも、死んだ方が……!? こ、殺さないでぇ~~っ……」
そして、いつものコミュ障言動に、命乞いをしていた。
そんなうさぎに対して、一番乗りでおしゃべりコーナーに入った参加者の方は、
『いえ! むしろ、うさぎちゃん推しなので、メッチャ嬉しいです! あと、生でおどおどした姿が見れてマジで最高!』
生でコミュ障且つ命乞いが見れてとても満足気である。
うさぎのファンは、何気にSが多かったりするが……まあ、当人が明らかに受けだよね、みたいな性格のためである。
「そ、そっ、そうなん、ですかっ……? で、でも、お、同じ二期生、でも、で、デレーナさん、とか……あ、暁さん、とか、いくまさんもい、いますし……わ、わたしがいいって……あの、すみませぇん……」
『おおぅ、これがリアルうさぎちゃん……! 生で会話できて最高過ぎる!』
「うぅっ、お世辞が身に沁みますぅ……」
『お世辞じゃないんですけどね!』
「あ、ありがとうございます……。あっ、え、えぇっと、お、おしゃべりっ! おしゃべり、ですよねっ。えと、な、何を話しましょう……? あっ、きょ、今日はい、いい天気、ですねっ」
何をはなぜバイいのかわからなかったうさぎは、初手から天気の話をし始めた。
コミュ障というのは伊達ではないようである。
というか、会話に困った時のジョーカー的話題を初手で振りに行く辺りがなんかこう……うさぎらしい。
『そうですね! 今日は曇りって聞いてたのに、めっちゃ快晴でラッキーでしたよ! せっかくのイベントなのに、曇りだともったいないですし!』
「で、です、よねっ」
『天気がころころ変わるのは、ゲームの中だけにしてほしい! って感じですかね』
なんて、イベント参加者が言った瞬間、
「――わ、わわっ、わかりますぅ! そうです、よねっ! げ、ゲームの中だけで、いいですよねっ!」
うさぎの反応が変わった。
なんというか、すごくテンションが上がった。
「やっぱり、て、天気で、え、エンカウントが変わったりします、しっ、す、ステータス、や、難易度が変わったりもします、もんねっ! わ、わたしは、そ、それに、天気の変化が関係してる、その他の変化って、大変そう、だと思ってるん、ですっ……細かいこととか……!」
『お、おう』
「そ、それにっ、天気次第、で、有利にも、不利にもなるのでっ、せ、戦略に幅がひ、広がりますしっ……って、あっ! す、すすす、すみませぇんっ、わ、わたし一人ばかり、は、話しちゃって……死んだ方がいいですか……? し、死んだ方がいい、ですかぁっ?」
自分ばかりが話しまくってることに気付いたうさぎは、すぐに話の方向を修正すると、またしても死んだ方がいいかと訊いて来た。
なぜすぐにそうなるのかがわからない。
『いやいやそんなことないって! っていうか、好きなとこには真っ直ぐなとこがいいわけで、死んだ方がいいはないってもんです!』
「うぅ……ありがとうございます……。あ、えと、その、そう言えば、お名前を聞いてませんでした……あ、ほ、本名じゃなくて、えと、ニックネームでもいい、のでっ」
『蓮っていいます!』
「あっ、れ、蓮さん、ですねっ……え、えとっ、れ、蓮さんは、どこから……?」
『北海道です!』
「遠いですねっ……!?」
まさかの北海道からの相手にびっくりするうさぎ。
『いやぁ、ダメもとで応募したんですけど、まさか当たるとは思ってなくて、これはもう行くしかねぇ! ってことで、一週間くらい有給取ってこっち来てます!』
「な、なる、ほどっ。じゃ、じゃあ、東京観光を?」
『そうですね! やぁ、北海道に比べると、こっちは比較的暖かいですねぇ。あっちなんて、雪ですよ雪!』
「さ、寒いのは、嫌ですよね……」
『やー、嫌と言うか面倒が近いっすね。雪とか、行動範囲が狭まるし、外に行けなくなるんで……』
「なる、ほど……じゃ、じゃあ、家では、何を?」
『そりゃもう、らいばーほーむの配信! あ、うさぎちゃんが一番多い!』
「はへっ!?」
『クソ難易度の鬼畜ゲーをノーダメノーミス縛り且つ、初期装備縛りしだした時は正気か疑ったけど、マジでやり遂げてたし!』
「そ、そそっ、そう、ですかっ!?」
『人によっては、たかだかゲームなんて言う奴もいますが、ゲームでも頭のおかしい難易度に挑戦するのはすごいって思ってます!』
「うぅぅ~~~、わたしのファン、もしかして、い、いい人が多い……?」
最初の相手から、やたらと温かい言葉を掛けら、うさぎは思わず泣きそうになった。
それでいいのかうさぎ。
『まだ自分が最初なんですが』
「だ、だだ、だって、その、い、いつもは、コメントですし……」
『たしかにそうですね。まあでも、うさぎちゃんのファンは総じてこんな感じじゃないですかね』
「そ、そですかっ……」
まあ、このファンの言う通り、うさぎのファンは大体いい人……というか、うさぎに限らず、らいばーほーむメンバー全員にも言えるが、ファンは基本いい人なので。
もちろん、アンチ的なのもいるが、モデレーターたちがちょっと強すぎるので。
「あ、え、えとっ、あとは……れ、蓮さんは、社会人さん……?」
『そうですね。小さいですが、地元でちょっとした家事代行サービスの会社をやってまして』
「へっ!? しゃ、社長、さんっ?」
『小さいですが。実は、みたまちゃんとのあのコラボ配信の時とか、参考にしようとしたんですけど、どうやっても、汚れだけでなく、吐血とか鼻血をあそこまで綺麗にする方法がわからず……』
「あ、あれ、ですか……」
『あれです』
「あれはその……わ、わたしでも、よくわからない、と言いますか……はいぃ……」
などと言っているが、うさぎはあれをどうやってやったのかは裏で聞いている。
だがしかし、さすがに、
『神薙みたまになって、霊術で綺麗にしました!』
とは、口が裂けても言えないし、そもそもらいばーほーむでも機密情報とも言える爆弾なので、決して口にしない。
あと、普通にそれを言ってしまおうものなら、どこかのシスコンに処されるので……。
『そうですかぁ。まあでも、企業秘密って言ってました、自分で頑張ってこそですよね! 頑張ります!』
「が、頑張ってください、ねっ、その、お、応援してますっ……!」
『それだけでどんな不況でも頑張れる気がします!』
「お、おおっ、大袈裟、ですよぉっ……!」
『いやいや、やっぱり大ファンのVTuberから直接応援されるだけでそうなりますって!』
「な、なる、ほどっ……?」
『はい! って、もうすぐ時間ですね。それじゃあ、今日はありがとうございましたっ! これからも応援してますんで、頑張ってくださいね!』
「は、はいぃ、お、応援、ありがとうございますぅっ……!」
割と普通(?)な感じでトップバッターとのおしゃべりが終了。
そこから五分ほどのインターバルを空けて次へ行く、と言うのを繰り返す。
基本的な会話の内容は、なんてことない会話が多かったが、本物のVTuberと会話できるとあって、来てくれた人たち全員が嬉しそうにしていた。
とはいえ、相手はらいばーほーむファン。
中には少々アレな感じの人たちもいるわけで……。
『ね、ネムっていいますっ、よ、よろしくお願いします、うさぎさんっ!』
今度の相手は女性であった。
うさぎファンの男女比は、大体7:3くらいなので割と珍しいことになる。
とはいえ、女性ライバーと言う意味ではある意味普通かもしれないが……中には、女性人気の方が高い女性ライバーもいたりするが。
「は、はいぃっ、よ、よろしくお願いしますぅっ……!」
『あ、あの、その、こういうことをVTuberなうさぎさんに訊くのも失礼かと思うんですけど……!』
「な、なんでしょうっ?」
『……ど、どうしたら……どうしたら、胸が大きくなるんですかっ……!』
「……はひぇ?」
そんな女性ファンだったが、何をトチ狂ったのか、割とグレーゾーンな質問をしていた。
当然、予想外過ぎる内容(まあ、うさぎからすれば大体の話題が予想外なのだが)に、うさぎはなんとも間の抜けた声を漏らした。
『じ、実は、か、片思いしてる人がいまして……そ、それで、その、その人が、胸がおっきい人っていいよなー、って言ってたのを訊いちゃって……』
「な、なる、ほどっ……い、いえ、あの、そ、それを、ど、どうして、わたしに……? そ、そういうのは、たつなさんとか、い、いくまさんとかの、ほ、方がっ……!」
『以前、うさぎさんが、一番大きいって聞いた、ので……その、どうやったら大きくなるのかなぁって……あ、あの、め、迷惑ですよねっ!? すみませんっ!』
と、勢いよく謝るファンに、うさぎはなんとなく、自分に近しい何かを感じ取っていた。
有り体に言えば、同類と。
「あ、あの、えと……わ、わたしは、その、め、迷惑じゃない、ですからっ……!」
『ほ、本当ですかっ……!?』
「も、もちろん、ですぅ……! お、驚いちゃいました、けど……と、とりあえず、お、おっきくする方法、ですか……?」
『そ、そうですっ!』
「え、えと、その、わたしの場合は、と、突然変異、でして……」
『突然変異……!?』
突然変異で大きくなったという発言に、女性のファンは雷に打たれたような反応になった。
まあ、実際の所、うさぎの母親は別に大きいわけではなく……むしろ小さい方と言えるので、あるいみ突然変異かもしれない。
父方についても、特段大きい人がいるわけでもなかったので。
「その、お、お母さん、そんなに、おっきくない、んです……な、なので、い、遺伝じゃなくても、その、と、突然変異でおっきくなる可能性がありますぅっ……!」
『つ、つまり、可能性は0ではないんですね……!?』
「そ、そうですっ」
『なんだか元気が出ました、けど……うぅっ、それでも心配ですよぉ……』
「あ、あの……わ、わたしが言うと、その、い、嫌味にしかならない、です、けど……い、一番、いい、のは、胸以外で、アピールすること、だと思うんです……!」
『胸以外……?』
「は、はいぃっ。よ、世の中、胸だけで、き、決まるわけじゃない、ですし……その、わ、わたしの学生時代に、えと、ち、小さくても、も、モテてる人はいました、し……その人は、容姿、よりも、せ、性格が良かったですし……だ、だから、あの、えと……じ、自分の長所で、アピールするのがいい、と、思いますぅっ……!」
『じ、自分の……』
「えと、その、か、必ずしも、そ、そこだけが好き、ってわけじゃない、と思う、ので……その、き、気の利いたことが言えない、です、けど……が、頑張ってくださいっ」
『……ありがとうございますっ! な、なんだかすっごく元気が出てきました……! 私、冬休み中に、で、デートに誘ってみます……!』
「え、えと、お力になれて何より、ですぅっ……!」
というような、なぜか恋愛相談に発展した例もあった。
尚、先ほどのセリフなどについてだが……実は、いくまから借りた(というか強制的にやらされた)ギャルゲーの主人公が言ったセリフを基にしている。
が、知らない方がいいことも世の中にはあるということで。
などと言うようなことがありつつも、おどおどコミュ障うさぎのおしゃべりコーナーは続く。
はい、今回からおしゃべりコーナーに入ります!
当初の予定では、各キャラ連続で2話ずつやるか! ってなってましたが、「正直面倒だな……それに、ダレるかもしれん」とか思ってしまいました。そこで考えたのが、じゃあ、上下構成にした上で、上を一周して、それが終わったら下をやるか! ってことになりました。つまるところ、次回は別キャラの上になります。思った以上に、うさぎが大変だったので、これは一部キャラを除くと大変だと思った結果ですね。なので、次回は別キャラァ! ルーレットで決めてるんで、わたしも誰になるかわかってない!




