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ロリ巨乳美少女にTSしたら、Vtuberなお姉ちゃんにVtuber界に引きずり込まれました  作者: 九十九一
2023年 8月

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#6 コラボ回の後と、初個別配信の前

 例によって今日も中途半端になっているので、掲示板回を15時に突っ込んでおきます。

 あとは毎回言ってる通りです!

「……ふぅ……」


 配信を終えて、PCをシャットダウンさせると、僕は一息吐く。


「長いようで短い一時間だったなぁ……」


 そんなことをぽつりと呟く。

 とりあえず、反省点としては、まだまだ恥ずかしがるところがある事かなぁ……。

 この辺りは慣れ、かな。


 なんて心の中でそんな反省をしていると、ブー! ブー! とスマホが鳴り出す。

 多分お姉ちゃんかな?

 そう思ってスマホのディスプレイを覗くと、そこにはお姉ちゃんの文字が。

 正解でした。


「もしもし?」

『よかったよぉ! 椎菜ちゃぁぁぁぁぁん!』

「お、お姉ちゃん、またテンション高い……」

『私、ついついミラー配信で叫びそうになっちゃったよー。あと、コメントにも入りそうになったけど、なんとか我慢したよっ……!』

「え、しちゃいけないの?」


 てっきり、していいんだと思ってたけど……どういうことだろう?


『しちゃいけないってわけじゃないけど……うーん、最初の配信と二回目のコラボ配信って、基本的に先輩たちは入らないことになってるの』

「どうして?」

『簡単に言えば、新人さんよりもそっちに人が持ってかれちゃいそうだからかな。メインは四人なのに、そこに登録者がえらいことになってる人たちがコメントしに行っちゃったら、人がそっちに関心が行っちゃうかも、っていう心配』

「そ、そうなんだ」

『というのは建前で……正直なところ、私含めて、大半の人がテンションMAXで暴走しそうだから』

「あ、そう言う理由……」


 それを聞いた途端、すっごくしょうもなくなっちゃったんだけど、不思議。

 やっぱり、そういうものなのかな?


『あ、そうそう! お姉ちゃんとのコラボは九月頭くらいね!』

「うん……って、え!?」

『というか、元々私とのコラボは組まれてたみたいだからね! やったね!』

「早すぎない……?」

『大丈夫大丈夫! じゃ、そう言う事だから! 今後も応援してるね! あ、次の配信は普通にコメントしに行く予定だから、よろしくね! それじゃ! 愛してるよー、椎菜ちゃん!』


 お姉ちゃんはそう言い残すと、通話を切った。

 相変わらず、慌ただしいなぁ……。

 なんて、嵐のように電話をかけて来て、話して、そして去っていくそんなお姉ちゃんに苦笑いを零しながら、ふふ、と小さく笑う。


 正直な所、お姉ちゃんがVtuberをしていたことにはすごく驚いた。

 だってお姉ちゃん昔はあんまり人とお話しするのが得意じゃなかったから。


 初めて会った時はたしか……


『は、はじめまして、桜木愛菜です……よ、よろしくね……』


 って言う感じで、今みたいなテンションじゃなかったんです。

 ただ、当時の僕小学六年生で、今よりも元気いっぱいだったからか、少しおどおどしたような様子のお姉ちゃんに、


『はじめまして! 今日からお姉ちゃんの弟になります、姫宮椎菜ですっ! よろしくお願いします! お姉ちゃんっ!』


 って、満面の笑みと共に言ったからね。

 それに、僕は一人っ子だったし、何よりお父さんという存在がいなかったから、いつも寂しかったんだよね……。


 僕のお父さんは、僕が生まれて間もない頃に事故で亡くなっています。

 今のお父さんとお姉ちゃんができるまで、お母さんは女手一つで僕を育ててくれていました。

 僕を不自由なく生活させるために、身を粉にして働いていたお母さんは、職場で今のお父さんと出会って、色々あって結婚したそうです。

 それを知った時はすっごく驚いたけど、お姉ちゃんとお父さんができるって知ったら、すごく嬉しくて……それで、さっきのようなテンションでお姉ちゃんに接したわけです。


 ただ、これがよかったのか、お姉ちゃんはいい笑顔になってくれて、少しずつ僕とお姉ちゃんは仲良くなっていきました。


 ……まあ、仲良くなっていく内に……というより、割と早い段階でお姉ちゃんは過保護化したけど……。


 でも、それくらい僕のことを好きになってくれている、っていうことがわかって、すごく嬉しいんだけどね。気恥ずかしくはあるけど。


 そんなお姉ちゃんは、実は学生時代いじめに遭っていたんです。

 僕たちの前では気丈に振舞っていたけど、泣いていたのを知っているし、大好きなお姉ちゃんがいじめられていると知った時はすごく怒りました。


 だけど、ある日お姉ちゃんの様子が変わりました。

 すごく明るくなったと言うか……なんだろう、吹っ切れた、に近いのかな?

 そんな風になって、いじめられても気にするどころか、抵抗し始めたそう。


 卒業までそれは続いたみたいだけど……お姉ちゃんは、


『あの経験があったからこそ、今の私がいるの。それに……ふふふ、因果応報。悪因悪果。悪いことはいずれ自分に返って来る。で、私は自分の信じた道で成功して、ほらほら! 私はこんなに成功したぞー! って笑ってやるのが、今の目標だしね!』


 って言ってました。

 すごく心が強いと思います。


 ちなみに、この時の発言は実際に叶ってます。

 お姉ちゃんは、高校を卒業した後、色々あってデザイン関係のお仕事を始めて、それが大当たり。

 結果、同年代に比べると遥かに高い額を稼ぎ、お姉ちゃんをいじめていた人たちはあまり良くない状況になっちゃったそう。


 それで、成人式の日、意気揚々と出席したお姉ちゃんは、帰宅するとそれはもう、すごくいい笑顔で、


『勝った☆』


 って言っていたのを、今でも憶えてます。


 そんなお姉ちゃんは、あまりにも僕に対して過保護すぎて、お父さんとお母さんから、接近禁止命令みたいなものが出されてしまい……今は一人暮らし中、ということになっています。


 困惑はするけど、嫌というわけじゃないから、別に良かったんだけど、お母さんたちが弟離れ出来るようにしないとダメ、って言うから今の状態になっています。


 とは言っても、会っちゃダメ! っていうわけじゃなくて、頻繁じゃなければ普通に会っても問題はないんだけど……それに、お母さんたち、今海外だもん。


「……そう言えば、お母さんたちにこのこと、なんて説明すればいいかなぁ……?」


 TS病の検査の時、色々と説明を受けた。

 その中には、今後生活して行く中での、家族やお友達との関係性の変化などがあって、特に一人暮らしをしている人たちが陥る悩みが、両親への説明みたいです。


 中には、気にしないで


『あ、性別変わったからよろしく!』


 みたいな人もいるみたいだけど……。


 僕には無理かなぁ……。


「ん~~~っ! ふぅ……お腹も空いたし、ご飯食べようかな」


 たった一時間程度のことでも、かなり緊張で疲れちゃったし、ガッツリ食べようかな。


「ん~~~……うん、生姜焼きにしよっ!」


 作る物を決めた僕は、冷蔵庫から目的の食材を取り出すと、鼻歌交じりに料理を始めました。



 そんなわけで、二日後。

 着々と夏休みの終わりが近づくことに謎の焦燥感を覚えながら、今日は初の個別配信をすることに。

 と言っても、するのはなんてことない雑談配信なので、そんなに気負うことはないって言われてます。


 前回はコラボだったけど、今回はごく普通の配信……うん、すごくありがたい。

 少しはリラックスできそう……もう三回目だしね。

 コラボの時に比べればセーフ……。


「ふぅ……さすがに、あの日ほどではない、かな?」


 初配信の日とコラボ配信の時よりも緊張は少なく、かなり落ち着いてる状況で配信開始を待つ。

 現在の同時接続数は二万弱。


 なんでこんなにいるの……?


 と思ったけど、だ、大丈夫……相手はこの場にいなくて、みんなPCかスマホ、テレビの前だから大丈夫……うん、大丈夫……。


【待機】

【全裸待機】

【馬鹿野郎! 純粋なみたまちゃんの配信で、全裸待機は汚いだろぉ!?】

【はっ、すまねぇ……俺としたことが!】

【なんだこの小芝居w】

【もう二回の配信で完全に心持ってかれたわ】

【声可愛いしなー】


 と、コメント欄がそれなりの速度で流れていく。

 ただ、まだ配信中じゃないから、そこまででもないけど……。

 うん、時間になるし、そろそろ始めよう。


 僕は配信開始のボタンを押した。

 途端に画面に映し出されるオープニングムービー。


 これは今後使っていくことになる物で、まあそこまで特筆すべき点はないかな?

 僕のアバター『神薙みたま』があたふたしたり、ドヤ顔したり、時には可愛らしく胸を張ったり、そんな感じの映像が少しの間流れる。


【クッソ可愛いなおいw】

【へぇ、可愛さに全振りしたOPか……いいじゃねーの】

【とりあえず可愛い】

【製作者はわかってやがる!】


 などなど、概ね好評かな?

 よかったぁ。


 オープニングムービーが終わると、僕の姿が映しだされ、僕の初の個別配信が始まった。

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― 新着の感想 ―
お姉さん初っ端からやられたな これは破壊力高いわ 接近禁止命令出されてるの草
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