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6 襲撃

「なんだこれ·······」


 目の前の光景に、あたしは絶句する。


 村は、魔物に埋め尽くされていた。


 村人は逃げ惑っているが、死体が転がってないところをみると、まだ犠牲者は出ていないらしい。だが、それも時間の問題だろう。


 あたしは光球を生み出すと、手近にいた魔物にぶつける。


 魔物がこんなに大量発生したことなんて今までにない。


 なにが起こってるのかわからないが、このままにしておいたらまずいのはわかる。


 あたしは手当たり次第に魔物に向かって光球を投げつける。


 こいつら一体一体は強くない。だが、数が多すぎる!!


 別に魔物は魔法でしか傷つかないわけじゃない。普通の人間でも戦おうと思えば戦える。


 なのに、村人たちはただ逃げるばかりで誰一人戦おうとする奴はいなかった。なまじ今までに魔道師がいた分、魔法に頼りきりになってしまっているのだ。


「きゃっ」


 逃げていた少女が一人、魔物に弾かれて道に転がる。


 その背中に向かって、魔物が細長い腕を振りかぶる。


「!」


 普段のあたしなら、そんなことはしなかっただろう。


 ただ、今日は、エバに会ってしまったから。


 久々に人間扱いされたせいで、消えかけていたお人好しな部分が少しだけ戻っていたのかもしれない。


 あたしは咄嗟に少女の前に飛び出した。


「うあっ」


 魔物に殴られ、背中に激しい痛みが走る。が、後ろ手で咄嗟に光球を投げて魔物を打ち払った。


「だいじょう·····」


 少女に声をかけようとして、気がつく。


 少女はあたしを置いて、さっさと逃げていた。振り返りもしないその背中が、すぐに遠ざかっていく。


「·········」


 まぁ、そうだよね。


 あたしは立ち上がろうとしたが、背中に激痛が走り、その場にうずくまる。


 やばい。回復しなきゃ·····。


 あたしが呪文を唱えようとした瞬間、


「なにやってんだ!!」


 腕を乱暴に掴まれて、無理やり立たされる。


 見れば、村の男が凄まじい形相で睨んできた。


「なんのための魔道師だ!!


 さっさと立って戦え!!」


 言って男は、投げつけるようにあたしを魔物の目の前に突き飛ばした。


 背中の痛みで受け身をとることも出来ず、あたしは魔物の前にどしゃっと倒れこむ。


 そのあたしに、魔物がのしかかってきた。


 やばい。喰われる。


 そう思うのに、体が動いてくれない。


 あたし、このまま、死ぬ····の···?



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