黒色火薬
遠くで上がる花火の音が
ピストルみたいに煩くて
窓から眠りを引っ掻いている
ぼろぼろになった夢を剥がされて
まばたきが痛い
今迄の景色を忘れてもまだ
鼓動が寝息を許してくれない
ぽつりぽつりと夜に投げ出されて
寂しい子供達は踊りの後に
暗闇が盗んでいったよ
細く煙った紛い物の綿飴は
合図を送った月の煙草と
同じ夏の匂いがする
ざらざらとした黒色火薬の気配が
海の底を歩く不穏な行列に重なる
引きずる瞼の向こうに
何かが見えるのではないかと思い
風の無い部屋で眠りに縋りついている