Review.8:部活動って楽しいね。
オレら現象研究会が演劇部の部室にやってきて、およそ一時間。
バスケ、バレーの両部員が撤収するのを確認して、演劇部は舞台リハーサルを行うため、下に降りていった。
カルガモ親子の行進よろしく、オレたちも後に続く。
体育館の照明を落とし、ステージ、そして二階からのスポットライトのみにする。
その行為だけで、館内の雰囲気が動から静へと一瞬で変わるのを身体で感じた。
――現在の時刻は、午後六時を少し回った頃。
「それじゃあ、始めましょう……!」
演劇部の練習が始まった――――
――全国大会常連の名は伊達じゃなかった。
半端無い。
立ち姿、声量、声の通り具合、感情移入、なりきり。
どれを取っても、高校生レベルとは思えない。
たいしたものである。
「――さん、少し俯き過ぎかな。このシーンは悲しみを全面に押し出さないといけないのだけれど、それじゃあ声が遠くまで届かないよ?」
己も舞台に立ちながら、谷本さんは、指導を行っている。
部長だけに流石だ。
「すごいナ」
「そうネ」
「こらこら。間君、綾瀬君、目が虚ろだぞ」
「これ、演劇部自作の脚本なのかなルナ?」
「聞いたところによれば、うちの文芸部的立ち位置の〈文餓鬼部〉とやらの作品らしいけど」
「へぇ、すごいナ」
「そうネ」
「こらこら。諸君、静かにしないか」
あーだこーだとしながらも、時は確実に過ぎて往く―――
――時刻、午後八時。
演劇部の夕食休憩。
コンビニで買い占めてきた食べ物を広げて、皆でわいのわいのと騒ぎながら食べる。
オレらもそれに混ざらせてもらった。
「いや、それにしてもみなさん、すごい演技力ですな」
部長が、ツナマヨネーズのおにぎりを咀嚼しながら、そう言う。
「いえ、完成度はまだ低い方ですよ。まだまだ改善するところは一杯あります」
谷本さんは、ペットボトルのお茶で、使った喉を休ませながら言う。
やっぱプロは違うな。
妥協しないんだ。
「素晴らしい心意気だね。続きも頑張って」
「もちろんですとも」
谷本さんの眩しい笑顔。
うん、輝いて見えるよ。
「みんな!練習を再開しましょうッ!」
『はい!』
夜は、暗さを増して行く――
文化祭終了いたしましタ!
これからは、なるべく元のペースで連載できるように頑張ります!
これからも、引き続きよろしくお願いします<(_ _)>