Last Review:終息。
――無事、終えることが出来た。
『ありがとうございました!』
――拍手喝采。
そう、演劇部の公演である。
オレらが〈渡り廊下の葵の手〉を昇華させたさせたおかげで、無事練習時間が取れたのだ。
ちなみに、行方不明だった警備員も無事命に別状は無い状態で発見されたらしい。
大団円である。
オレたちは公演後、演劇部のいる楽屋に訪れた。
行く途中、涙を流す一人の妊婦さんとすれ違った。
あれが、演劇部の顧問なんだろうな。
綾瀬から話を聞いていたオレらは、綻ぶ顔を抑えきれなかった。
「みなさん!」
楽屋の扉を叩くと、谷本さんが満面の笑みで迎えてくれた。
「おめでとうございます。とても素晴らしいものでしたよ」
部長が、谷本さんと握手しながら言う。
「何もかも〈現象研究会〉のみなさんのおかげです」
楽屋にいた演劇部全員が、頭を下げる。
うぅ、なんだか照れくさい。
「これからの御健闘もお祈りしています」
綾瀬が嬉しそうに言う。
「そちらこそ」
笑みで返す谷本さん。
「間君を落として見せてね…?」
谷本さんのつぶやきに、綾瀬が顔を真っ赤にして頷く。
何を言われたのだろう?
○ ○ ○
オレたちは、爽やかな気分で外に出た。
ここ数日吹いていた寒い風も今日は止んでいる。
空も、昨日までの雲が嘘のようにどこかに消え、お天道様がさんさんと日差しを振りまいている。
さぁ、何をしよう。
「とりあえず、打ち上げだな」
部長が目を子供のように輝かせながら言う。
「賛成!」
ルナがはしゃぐ。
「〈都〉にしませんか?」
サンも楽しそうだ。
「賛成よ」
綾瀬が笑う。
「じゃあ、行くか……!」
陽気な日差しの下、
オレらは〈都〉に向かって、
歩き始めた―――――
無事、終わることが出来ました。
読者の皆様、2ヶ月強という長い間。
本当にお疲れ様でした。
彼らの物語はまだまだ続く予定ですが、
ここでひとまず区切りを付けさせてください。
では、またお会いしましょう。