Review.31:快刀濫魔。
―――ニクイ アノコヲコロシタヤツガ―――
闇が、囁く。
周囲を闇に囲まれた中で独り、オレは佇んでいた。
―――ナゼジャマヲスルノ――――
―――アナタシッテイルンデショウ―――
「ほっとけるか」
刀に、光が灯る。
「気持ちは分からないこともないんだ」
正眼の構え。
「だけどよ、それは誰かを殺して良い・傷つけても良いという理由にはならない。オレたちは、理性ある人間じゃないか」
闇が脈動する。
―――ぎし ウルサイ! ぎぎ オマエナンカニコノキモチ ぎぃ ワカルモノカ!――――
「間流古典斬鬼術――」
――ぎし オマエモ ぎ シネェ! みし ―――
闇から飛び出てきたロープが、オレに殺到する。
「怒りに身を任せた攻撃なんて、食らわねェさ」
光纏う日本刀を、振るう。
「――刳空」
ロープが細切れになり、地に落ちる。
――ぎしぎしぎしぎしぎしぎしぎし―――
闇が激動する。次々とロープが飛び出してくる。
「効かねぇ」
軽く薙ぐ。
それだけで、ロープは蒸発したかのように消えてしまう。
現象の邪念が薄れているのだ。
―――アァァァアァァジャマヲスルナァァ―――
耳をつんざくような絶叫。
濃密な闇が、オレに迫る。
「らしくねェぞ。女の子がそんなに取り乱すなよ」
刀から、光が迸る。
その光は、オレを圧殺しようとした闇を祓う。
「終之型―――」
オレは、今持ち合わせている中で最も高度な技を繰り出そうとする。
じゃないと、こいつは目を醒まさない。
刀より創生された光は、刀の形を結んでゆく。
「儚き現に泪を流せ――」
オレの周囲には、数多の光の刀が浮かんでいる。
罪を悔い改めろよ、と心の中でつぶやく。
「――――夢幻・羅刀百景」
光で構成された刃が、舞う。
闇を切り裂き、中に潜む〈葵の手〉を刺し貫く。
それは、舞い散る花弁が空を裂くが如し。
「成仏しろよ」
オレのつぶやきの後。
闇が静かに晴れ始めた――――
技のイメージとしては某少年誌の死神マンガのとある隊長の必殺技「千本桜」を思い浮かべてもらえればよろしいかと(笑)
モロカブリですね(汗)