Review.26:二人一つの屋根の下。
夜だ。
夕食は、綾瀬の手料理だ。
コーンや角切りの人参が色鮮やかなポテトサラダ。
副菜は大きめの野菜が転がったコンソメスープ。
メインディッシュはデミグラスソースのかかったハンバーグ。
仲ジィには負けるが、中々の美味さだった。
本当に、綾瀬は何でもそつなくこなすな。
――あ、いや、掃除は除いておくとして。
それから、二人で学校に行かない分の勉強をする。
休憩のときはテレビで今流行りのバラエティーを見て盛り上がり、交代でシャワーを浴びた。
そして。
時刻は、午後十一時を回ろうとしている。
「さッて、そろそろ寝る準備すっか」
「……そうだね」
綾瀬は手を胸に当てて、不安げである。
「怖いか」
制服に腕を通し、軽くウォーミングアップをしながら綾瀬に問う。
「それは、当たり前じゃない」
「だよな。――オレも怖い」
「え……?」
綾瀬が意外な顔をする。
「そりゃあ、オレだって怖いさ」
得物を、長袋から取り出す。
「だけどさ、人にはそれぞれ役割があるんだよ」
綾瀬は、黙ってこちらを見ている。
「オレってば昔から〈現象〉が見えててさ。けど、こいつがないと何も出来なかった」
そう言って、刀を指す。
「オレはお前らが凄いと思ってる。オレと違い、そこまで行動できるんだから。だから、臆するな」
綾瀬の目を見る。
「オレには、お前がいるし、お前にはオレがいる。もちろん、部長だって、ルナやサン、椿さんや、藍造時先生だって」
綾瀬の心の揺れが止まった。
目が元の輝きを取り戻す。
「そう、だよね」
綾瀬が溜息をつく。
「間君に勇気付けられるなんて……私としたことが」
「なんだよ、それ」
二人して、笑う。
そして――
電気が消された。
最後の会話を除けば、どこにでもいそうなカップルの風景。
しかし、この二人は普通の人たちではなくて。
そう上手く行くわけには行かず。
とうとう奴が現れます。
次回、黙雷の怒り爆発。
お楽しみに。