Review.22:ワイワイガヤガヤ。
「よーし、授業始めるぞ――」
国語科の教師である若森が、教室に入ってくる。
「……ん?綾瀬と間がいないな。欠席か?」
若森は、クラスの誰にともなく質問する。
「二人共、飛沫感染も示唆され、高熱、頭痛、筋肉痛、下痢、嘔吐が続いて、脱水症状を呈し、重症化すると吐血、鼻出血、歯肉出血、下血などの出血症状が見られ、死に至る可能性の高い、『エボラ出血熱』です」
黙雷に言い訳を任されていた、空島がさらりと言い放つ。
『――何ぃぃぃッ!?』
クラス中が叫ぶ。
『何で!?何で奴らは日本でエマージング・ウィルスなんかにかかってるんだよッ!?』
『原稿まだ書いてないのに〜!』
『もう飛沫感染してるのかしらッ!?』
『CDレンタルしたままだよ!延滞は困る!!』
『いやぁ!そんなの嫌よ!誰か、嘘と言ってぇ!』
「嘘です」
『――オイ!!』
……何と言うか、ノリの良いクラスだった。
「今は具合が悪くて、保健室に――」
そこで教室のドアが開き、黙雷と理沙が姿を現した。
「お前ら……大丈夫なのか?」
若森が、二人から距離を置きながら、聞く。
「大丈夫じゃないようなので早退させていただきます。詳しくは、藍造時先生に聞いてください」
鞄に荷物を詰め込みながら言う黙雷に、若森は合点の言った顔をする。
「……そうか、気をつけて帰るんだぞ」
「ども」
『えぇッ!?』
クラス中が、再び叫ぶ。
『先生良いんですか!?間めっちゃ顔色良いですよッ!?』
『あぁ、やばい締め切りに間に合わない〜!』
『綾瀬なんか、廊下で鼻歌唄っちゃってますよ!?』
「死ぬなよ……間」
「はい……!」
何感動的にしてんだよー!と元気なクラスメイトの声を背中に浴びながら。
黙雷と理沙は教室を後にした―――
今回はノリ96%ほどでお送りしました(笑)
ここら辺が、小休止ポイントと言ったところでしょうか。
さ、あと少しで中盤〜終盤へのスパートです。
お付き合いよろしくお願いします。