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Review.12:それぞれがそれぞれに。

葛木瑠奈と太陽の姉弟は、常平学園中等部に入学した頃から、いやこの玖刻市に移り住んでから、常に怯えながら暮らしてきた。

彼らは、親族には見えない『何か』が見えていた。

それが幽霊なのか何なのかは分からない。

分かろうとしてくれる者もいない。

二人の話を信じるものは、誰もいなかった。

常平の中等部に入学する頃には、そのことを他人に話すことはなくなっていた。

「狂っている」「おかしい」などと、思われたくは無かった。


――しかし。


そんな二人の前に、驚くべき出会いが転がりこんできた。


〈現象研究会〉だ。


彼らは周囲の視線を気にする事無く、己の知的欲求を満たすという『建前』のもと、世界のために動いていた。

そんな彼らに、感銘を受けた。

憧憬の感情さえ抱いた。

それが、ある事件で、今はこうして自分たちもその一員。

誇らしくもあり、また驚きでもあった。

「皆の役に立たなくちゃ」

胸に抱いていた決意が、言葉として口からこぼれる。

瑠奈は、あらやだと赤面した。

「……僕も。僕も役に立ちたい」

瑠奈は横を向く。

そこにはこれまで、そしてこれからも共に歩くだろう太陽がいる。

「行こう、ルナ」

「うん」

更なる聞き込みに向かうため、二人は歩き出した――。



部長が赴いたのは、あの人がいる保健室だった。

こつこつと、白塗りの扉を、部長は丁寧にノックする。

「どーぞ」

返事を確認して、部長は扉を開けて中に入る。

ちゃっかりオレも後に続く。

「失礼します」

「ども、藍造時先生」

「……そろそろ来るんじゃねぇかとは思ってたんだ」

オレたちの前には、一人の保健校医。

適当に切り揃えられた黒髪に、端正な顔には無精髭、フレームレスの眼鏡。

小柄な体に纏うのはヨレヨレの白衣。


彼の名前は、藍造時(あいぞうじ) 創流(そうる)


常平が出来る前にあった〈高天原(たかまがはら)高校〉のOB(卒業生)であり、玖刻市の不可解な〈現象〉について深い造詣を持つ人物である。

「おう、間。身体は大丈夫か?」

先生が、本業らしい質問をしてくる。

「はい、今んとこは」

「そうか。なら一安心だ。まぁお前は現象にやられた訳じゃないからな。気を張り詰めすぎるな、ってことだ」

紅茶を美味しそうに啜り、一息置く。

「それで、だ。――〈名無しの怪〉についてでも、聞きに来たのか?」

ご名答。

部長が、はいと頷く。

「ん〜……残念ながら、俺も良くは知らないんだ」

なんとも珍しい。

先生にも知らないことがあるとは。

「なんせ現れたのがつい最近だろう?いかんせんデータが無くてなぁ」

オレらにも紅茶を準備しようと席を立ちながら、先生は頭を掻く。

「あ、先生。お構いなく」

部長がやんわりと先生を止める。

「ん?遠慮しなくてもいいんだぞ……?」

笑う先生に、部長は言い放った。


「今から現場に行くものですから」

    

         



再び、ソウル登場。

彼もサブレギュラーという存在に確立してきました(笑)

実際は、著者自身「保健室の先生」に憧れていたりします。

なんていうか、色々とラク…じゃなくて楽しそうじゃないですか?

イベントは全部参加できるし(笑)

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