ふとした痛感
いつもありがとうございます!!
「とりあえず君たちには海洋国家の港を目指して貰いたい」
「行商と言ってたが、まさか船か?」
オネフットは港を目的地にしたからか、船を連想したようだ。
「いや、陸路でお願いしたい」
「あ? なんでだよ」
「このタコ、港は様々な品が売り買いされているから仕入れにはちょうど良いんだよ」
「そうなのか?」
「ああ、そこで仕入れてものをこちらに渡して貰いたい。対価として各所で得た素材や品を渡す」
僕の言葉を聞いて黙り込む二人。オネフット微かに聞こえる程度に唸りながら腕を組み、スクイドは少しだけ目の形を細めて顔を右に振っていた。おそらく何かを考えているのだろう。
「一ついいでしょうか?」
「なんだ」
「対価の素材や品とはなんでしょう、具体的な例が貰えればありがたいのですが……」
「まず魔物素材、そこまで狩るのが難しくない存在のが中心になるだろう。そして未加工の天然資源、数は少ないだろうが鉱石や宝石などを用意するつもりだ。最後に独自のルートで得られる交易品だが、これについてはまだ詳細を明かせない」
「なんだよ独自のルートって」
「危険なものではない。安心してくれ、他国のものだ」
前世での品々をそう表現して良いかはわからないが、素直に明かす訳にもいかない。
「……わかりました、そこについては扱うときに多少説明が貰えれば大丈夫です。売り文句に困りますから」
そのスクイドの言葉から、僕は下手なものは渡せないと思った。説明の面倒なものは言わずもがな、質の良すぎるものは出所を探られるだろう。軽々しく卸せば辿られる可能性も出てくる。貴族の圧力や悪党の介入など、パッと浮かぶものだけでも非常に面倒くさそうだ。
「ああ、その時はどんな物か説明すると約束しよう」
「ありがとうございます」
折り目正しく頭を下げるスクイド。野盗に落ちていたとは思えないほどの所作だ、服装も変わった効果もあいまって商人といっても問題はない。それに対しオネフットは片足がないことにくわえ、言動が粗野で品がない。野蛮とまではいかないが大丈夫だろうか。
(……これは、失敗しても問題ないようにしなければ)
ふと傾いてしまった思考。
信頼構築の度合いは不明、打算的な付き合いかと言われれば首をかしげる。そんな奇妙で違和感の感じるこの関係、失敗してもおかしくないし成功すれば儲けもの。貴族と関係が持てれば情報戦も有利に働くし、生粋の人族である二人は魔族と疑われることもない。軌道に乗り、関係を維持し続けることができればメリットはでかい。
だからどうなっても大丈夫なようにしつつ、成功のために尽力する。破滅するような踏み外しは避け、辿らせないように注意を払おう。
(相手にとって不可欠な存在になれれば楽なんだが……それが楽にできたら苦労はないか)
僕はこのような状態でも計画を進めている現状に危機感を抱いていたが、それをいま痛感しだしている。賭けに挑むことになった環境、自分の能力、ここまでに至った流れ。どう転ぶかも分からないし、どう転んだらどうなるかも分からない。
(認めたくない。受け入れたくはないが、僕はいま非常に気持ちが悪い状況にあるんだな……)
ブックマーク数がまたまた増えました!!
追加してくれた方、本当にありがとうございます!!
僕の感覚なのですが、常々思ってはいても痛感するのとは別物。
認めてはいても受け入れられなかったり、人は本当にままなりませんよね……
そうゆう要素をアニメとかラノベ的に軽く組み込みたいんですが、実力がぁあ……
痛感は成長を促しますが、根気も削ってくるので考えものです……




