キトン
いつもありがとうございます!!
僕は新たに召喚したゴーレムに帰還の命令を出し、行商人役に渡す衣服の検討を始めた。化学繊維は却下、選ぶなら自然由来のものがいいだろう。着色も鮮やかすぎるものは避け、くすんだ色かモノトーンで固めた方が無難。立体裁縫のものも選べない、やはり布を巻いて衣服とするキトン。見栄えはしないが質の良いものを選ぶーー
(いや、この載っている物品一覧のなかでの質の高いものは大丈夫だろうか……)
そう考えて無地、質は可でもなく不可でもないものを選んだ。織り目もきっちりし過ぎたものではなく、通気性を重視した細かい賽の目状のものを。これなら重ねて巻けば透けないし、暑苦しくもないだろう。ボロ布を纏っているよりも格段にましだ。粗悪品と見えつつも質は悪くなく、そのような文化圏から来た異邦者と見られーーて大丈夫だろう。護衛という名目にゴーレムもいる、妙な扱いは受けまい。
(たかが布程度に魔力を大量使うことになるとは……)
僕は選んだ布を召喚・生成することに決め、魔力を捧げることにした。抜けていく魔力はスケルトンやゴーレムの時よりも大きい、きっと素材が何もない状態からだろう。半分以上が失われていく、どうも納得いかない。
しかしそれ以上に頭をひねる現象が起こった。光の粒子が何処からともなく集まり、鮮明な輪郭を形成しだした瞬間に弾ける強い光。スケルトンやゴーレムの時とは大違いだ、網膜が焼かれ反射的に目を閉じながらそう思った。
(これは、何の差だ……いったい)
収まった光の中にあったのは思い描いた通りの布。手に取り確かめてみると、ずいぶんと肌触りもよく通気性に優れているのがわかる。
(思っていたよりも質がいい品だな……)
一瞬の失敗したかという気持ちもすでに遅い。使わないという選択肢はないのだ。これほどの魔力を捧げての品、返品やクーリングフという単語が頭をよぎったが似たような機能は見当たらない。
(これで行こう、これで行くんだ、どうせ僕じゃないし)
逃げるような納得を済ませると僕はスケルトンに連絡をとり、ダンジョンまで来るようにと呼びかけた。寝かせている魔術を解いてもらうのと、もう一度寝かせてもらうためだ。
(移送時にのみ適応されるような時限式、効果の長短が決められる術があればいいが……)
なければ単純に気を失わせることになりそうだ。了承がもらえればいいがーーそれとも手紙などに残して渡す方がいいだろうか。いや字が読めるとも限らない。
(やはり、落とす方向でいこう)
ブックマークがまた増えました!!
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楽しんで読んでもらえるように精進していきますので、
末長くよろしくお願い致します!!




