これからのことを考える
いつもありがとうございます!!
主人公視点です。
相手軍撤退の報告を聞き、僕はダンジョンの防衛に成功したと息を吐く。欺瞞工作の可能性もなく完全に姿を消したらしいし、一旦とはいえ猶予期間が捻出できた。
地雷が効果を上げたこともそうだが、スケルトンやゴーレムの時間稼ぎがなければ危なかったろう。少なくとも3方向のどれかは突破されていただろうし、全ての勢力がダンジョンに集結していた可能性だって大いにあった。戦力を全て失った状態でその状況になれば、僕は殺されていただろう。
(今回のようなケースもある……僕はダンジョンを空けずに防衛と拡充に務めたほうがよさそうだ)
そもそも僕が何の疑問もなく、魔族軍の言葉を信じたことが不味かった。なぜダンジョン襲来日程の予想を立てることができたのか、人族がダンジョン出現の情報を得て黙って待つかということ。本格的な討伐隊は即応できなくとも、調査隊は派遣されて当然。もしこちらの内情が知られたら、多少の犠牲を覚悟に攻め込まれていただろう。
今ならすぐに思い浮かぶこれらの理由だけでも、呑気にダンジョンを空けて活動はできない。効果に即効性のない長期的な計画よりも、まずは短絡的であろうが状況を改善する必要があった。
(当初は露見を気にしてたが、今思えば失策ーーいや、これは結果論か……)
妄想の類ではあるが、最初に大規模なダンジョンの拡充をしていたら大規模な軍勢が攻め込まれた可能性もある。どれを選ぼうが正解ではなく、どれを選ぼうが不正解なのかもしれない。今は生き残れたということを素直に喜ぼう……
(しかし、中長期的なプランも並行しつつやれば良かったな……)
前世の生活水準を手に入れられるという可能性、流刑とはいえ魔族というコミュニティから抜けれたという解放感が判断を鈍らせたのか……それはわからない。今となっては”ただただ愚か”であった。
(これからは心を入れ替えよう。目標はダンジョンの存続、死なないこと。時間はあるんだし、その傍らに生活レベルの再現を進めていこう)
と思い立つも、どこからも手をつけられる状況。魔力と物資は有限である。無理をしようにも魔力はたかが知れているし、物資は人族の生存圏で調達せねば森での採取や狩猟に頼ることとなる。
今回は地雷が有効であったが、次回もそうとは限らない。手を打ってくるだろうし、大規模な軍勢を組まれたら圧倒的な物量に押し任される。逆に少数精鋭で来られれば? 獣人の有翼種による空からの奇襲があったら?
うん、ダンジョン拡充も急務だが情報も圧倒的に足りていない。相手に合わした対策も練れないし、無駄なものに投資をすれば効率も落ちるだろう。我がダンジョンに削れる無駄は許されない。
(まずは行商人の計画をすぐに始動させよう。多少問題はあるだろうが拙速で進める、それに人族がダンジョン内に居る状況もなんとかしたい)
情報はどこから漏れるかは分からない。できうるかぎり可能性を排除して、他のことに頭を割ける環境にしよう。僕は強くそう思った。
ふと思ったのですが、物語の性質上「リスク」や「ミス」が起伏でありドラマ性なのかもしれませんね。
それをリカバーして勝利するのが手に汗握る展開、僕に足りないのはそれかもしれない……




