突然だけど俯瞰すれば、情報を全て精査できていたら必然
視点はダンジョンマスターに戻ります
知っていたし分かってはいたが失念していた。世界というやつは僕の都合に関係なく回り、たとえ見えていないものだろうと容赦はない。僕には僕の都合があるように、見知らぬ存在だって事情や思惑を抱えている。これからだと状況を整えようとも横槍は入るし、気づかなかった方が調べなかった方が悪いと突きつけるように現実はいつも理不尽だ。
この異世界に生まれたこと然り、戦争真っ只中で魔王側なこと、上手く立ち回されずに幾百年、ダンジョンマスターにされたと思ったら孤立無援ですぐに軍が向かってきて、情勢も分からぬままに今回の襲撃。そしてーー
「やっと見つけました、臆病者のダンジョンマスター。情勢が変わりましたのでこちらの指揮下に入ってもらいます」
急に現れた存在は開口一番にそう言ってきた。対処療法的にダンジョンを守り、擬似的に放棄し、コアを破壊するにも採掘して背後を晒す必要を押し付けて"さあこれからどうしよう"という時に降って湧いてきた。
獣と悪魔を混ぜ合わせ、無理くり二足歩行をしているような見た目だ。知っている知識に当てはめるとしたら羊のような角を生やしており、頭から首までの造形は狼で体毛もきちんと生えている。だが上半身は体毛などは全くなくヌラリとした体をしていて、理解しがたいがゼリー状にもタールにも見える具合で人間に近い。そして下半身はバランスが壊れたかのように筋骨隆々で、人とは遠く離れた造形。つま先部分が蹄であることから馬か、牛などあのあたりが近いだろう。一言で表現するならキメラーーと言い表したいところだが手と足が異様に細長く、胴が異様に短く頭もそれ相応な大きさだ。
「いいですね」
有無を言わさぬようにぎょろりとした目がこちらを睨む。よく見れば目の大きさが少し過剰すぎるし、目玉の動かし方も普通じゃない。こちらのバランス感覚を崩しにかかってくるちくはぐさだ。上半身は人基準で見るなら表現豊かだが、長すぎる手によって不可解にも見える。それに狼の造形では、あの口の動かし方では絶対に”言われた通りには喋れない”。それなのに念を飛ばすわけではなく、こちらにも分かる言葉でちゃんと発声している。
「いや、あのーー」
「ああ別に反抗しても構いませんがその時は……言わなくとも分かりますね? 手間をかけさせないでください、周りも変なことを考えないようにーー」
と言っている内に姿が消え
「それほどの力の差が」
耳元から声がしたと思ったら
「あります」
首を軽く握られ、少し力を込められた。ただ黙って相手の動きに注視していたスケルトンや魔女、吸血姫の三人をあざ笑うように。いくら戦闘をする態勢を万全にしていないとはいえ、掴まれた僕もいっさい反応できなかった。
そして首を掴んでいた悪魔は振り返る三人の死角に入るように元の位置へと現れてこう言った
「まあ反抗しなければ殺しはしません。ただ喚ばれただけで主人に従うお前らもな、少しでも頭が回るなら賢い選択をしろ」
抵抗しても勝つことはできないだろう。全員でかかれば、やってみなければ分からないと楽観しても授業料は高くつく。それに逆らって勝ったとしても次の刺客がやってくるだろう。最悪の結果を先送りするだけだ。やるならせめて見通しが立たなければ自殺と変わらない。
こんな事態になったのは情報収集を怠ったのが原因か、自分の周りだけを見ていたツケか、そもそもダンジョンマスターになった時点で詰んでいたのか。この結果から見ればどれもが繋がっても見えるし、気づけば対処できたかもしれない。だがもう起こってしまった、取り組むべき問題は他にもあった、自分が見ていたのはーー相手をしていたのだけが世界の全てじゃない。
その時その時は間違えなくとも、そこを軸にせざるおえなくとも、伸ばせる手だけでは乗り越えられない。
「スケルトン、魔女、吸血姫、抵抗するなよ」
置かれた立場が、状況から既に間違っていたのかもしれない。
だがそんな感傷に浸っても、都合よく手が差し伸べられることはない。それをいま味合わされている。だがせめて、奪われたくないものだけは守りたい。押し付けられ、選ばざるおえなかったとしても譲れないものがある。
この異世界に来てはじめてかもしれない仲間、それを殺されてなるものか。
超展開ワロス、という奴かもしれません。
文章能力があれば違和感なくできるんでしょうか……
いずれ区切りをつけて交通整理と推敲して再アップしてえ……




