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手札

いつもありがとうございます!!

「(ーーいやあるじゃないか、この魔女と取引できるものが)……このダンジョンが無くなれば永遠に研究できないものがあるぞ」

「ハッタリ、嘘をつくのは良くない」

「嘘じゃない。このダンジョンには異世界の知識、その結晶である成果を召喚・生成できる。200年生きてきたが、どの魔族も人族も実現できていない物だらけだ」


 まだこの異世界に科学という分野はない。錬金術らしきものは存在するが、魔素を柱とした発展を遂げているために科学的な解明はされていない。魔術によって一足飛びに事象が実現できるのだ、誰も好き好んで造詣を深めたりはしないだろう。

 そもそも僕は、この世界に物理法則が存在するのか怪しく思っている。それほどにこの異世界はファンタジーで、非常識極まりないからだ。


「その知識を僕は持っている。僕は転生者、前世の記憶を持っている」

「マスター、気でも触れたか?」

「いいや? 証拠を出せというなら応えることもできる」

「……これは手遅れ、目が逝っている」

「嘘を言っているかどうか術で確かめて貰ってもかまわない」


 僕のその言葉を聞いて魔女は黙り込み、少し考えるように目を細める。真偽を見極めるような視線、少しの沈黙と諦めたような溜息。


「では、遠慮なく」


 魔女は術を唱えだす。聞いたことのない詠唱、うねる魔力、周囲の魔素も取り込むように流れ、術が完成していく。そうして詠むような言葉が途切れ、魔女は一言「看破」と締めくくる。

 その瞬間、僕の周囲が魔力に覆われた。それは色のない薄い膜のようで、息苦しくもない。


「では、質問します。好きなように答えてくれても構いませんが、肯定か否定かをしてくれると助かります」

「わかった」


 よく見ると魔女の瞳の色が変わっていた。両目とも金色に輝き、少しの変化も見逃さないようにこちらを凝視している。


「マスターは転生者で、前世である異世界の知識を持っていますか?」

「ああ、さっき言った通りだ」


 魔女の眉がピクリと動き、唇に力が入った。


「……その知識は希少で、この世界で再現できないものをコアで作れますか?」

「ああ、先の戦いでも活用した」


 魔女の眉間にシワが刻まれ、一瞬寒がるように体が震え、声の調子が変わった。


「……それらの知識は魔術や魔法に応用、研究の助けとなりますか?」

「なる。それは絶対に保証できる」


 魔女は激しく息を呑むような挙動を起こし、頭を抱えだした。


「……次が、最後の質問です」


 魔女が顔を上げた。獲物を捉えた猫のように。


「それらのものを提供してもらうことは可能でしょうか褒美として貰えたりできるでしょうか好きにしていいでしょうか、というか大人しく寄越してください」

「……ダンジョンの運営が軌道になれば叶えることもできる」


 冷静に応答した自分を褒めてやりたいが、返事を聞いた瞬間に狂喜乱舞され腰が抜けそうになる。狂おしいほど喜色満面で、漏れっぱなしのように笑い、規則性なくピクピクと楽しげに体が動き、魔力も吹き荒れるように渦巻いている。

 正直、いたたまれない。見目悪くはない少女のこのような醜態は心にくるものがある。


(早く復帰してくれ……)

ああ、身近な女キャラが残念なことに。

一体誰がこんなことを……


でもこのキャラを可愛く書くことができたら、描くことができたら気持ちいいだろうなあ……

無謀にもほどがあるが何事も挑戦挑戦!!

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