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第2話 腹黒わんこ(本当は狼)皇子、本格始動


早速日間ランキングに乗り、(最高で)28位になりました‼︎

ありがとうございます‼︎

今後ともよろしくどうぞ‼︎







「ふぁぁ〜……」



朝ーー。

侍女寮の自室で日が昇るよりも先に目覚めて、侍女服に着替えを始める。

元ではあるんですけど、習慣というのは怖いですね。

私は侍女服の至る所にナイフや暗器を隠し込む……あ、そーいえばリオン様は命を狙われているんでした。

久しぶりにちゃんとメンテナンスしないとですね。


「ふふふ〜ん」


私はナイフを取り出し、歪みなどのチェックをしていく。

すると……ゆらりと背後に気配を感じました。


『また暗殺者に戻るんですか?ノエル』

『侍女を辞めるのか?ノエル』

「いやいや、二人も知ってるでしょう。何言ってるんですか」


私は振り返りながら苦笑する。

空間を揺らがせながら現れるのは、純白の狼と漆黒の狼。

彼らはシロエとクロエ。

私が小さい頃からずっと一緒にいてくれる、よく分からない保護者(存在)です。


『………相変わらずですね。馬鹿にされるのだけは、昔から嫌いですよね』

「それはそうですよ。何かしらをやらかして馬鹿にされるのなら仕方ないです。でも、不当な評価で馬鹿にされるのは許せません」


暗殺者時代も仕事を見てないのに馬鹿にしてくる依頼人がいました。

そーいう奴にはいかに私の技術があるかを教え込み、二度と依頼を受けないようにしてましたけど……。

今回はそうはいきませんからね。

いつもとは違うやり方で反抗してやります。


「二人から見てリオン様はどうです?」

『強いよ』

「あら。他人に厳しいクロエがそう評価するとは珍しいですね?」


クロエはとても他人に厳しい性格をしています。

まぁ、身内には甘いんですけど。


『昨夜、観察してたけど……暗殺者が来たら適切な対応をして情報を吐かせていたからな』

「あらら。暗殺者が来てたんですか?」

『あぁ。立ち位置は違えど、アレはノエルと同じ側の人間だ。血生臭い世界で生きてきた奴だ』

「…………へぇ」

『ノエルは殺す側でしたが、彼はただ産まれたことを理由に殺される側にいますからね。ノエルよりも残酷な世界で生きてきたと思いますよ』


どうやらシロエとクロエのお眼鏡にはかなったらしいですね。

………私が暗殺者をしているのは、育ての親が暗殺者だったからなんて安直な理由ですけど……リオン様を取り巻く現実は私よりも最悪のようです。


「ふぅん。ま、あの馬鹿皇子に反抗できればなんでもオッケーです」

『そうですか。……あ、ノエルの同僚が話していた乙女ゲームのことは良いのですか?』

「…………あ。」


そーいえば……そんなこともありましたね。

リオン様の状況に驚き過ぎて、忘れてました。


「えーっと……確か、馬鹿皇子とリオン様の間で?聖女とか呼ばれる人と三角関係するんでしたっけ?」

『あぁ、そうだ。あの女はそれの当て馬だったのだろう?だが、それがノエルに変わったということは……』


私が当て馬キャラなるものになった可能性があるってことですよね?

でも、そんなの分かりませんし……。


「取り敢えず、その聖女とかいう奴が出てきたら考えます」

『それがいいかもしれませんね』


私は武器を全部チェックして、しまい込む。

そして、朝食を食べるために自室を後にしました………。






*****





「おはよう、ノエル。申し訳ないんだが、服の調達をお願いできないかな」

「……………うわぉ」



リオン様のお部屋に朝食を持っていくなり……私は驚いてしまいました。

えぇ、リオン様が成長なさっていたのです。

年齢相応に。


「急成長しましたねぇ〜」


流石に五歳児サイズは入らないのか、リオン様はシーツを纏っています。

まぁ、そりゃそうですよね。

大人顔負けの身長ですもの。


「王族っぽい服の方がいいですか?」

「いや、適当でいい。どうせ今日は色々と動き回る予定だからな」

「口も達者になってますねぇ」

「達者……というよりは五歳児だったから舌ったらずだっただけだ。元々、こんな感じだ」


リオン様はなんとも言えない顔をしながら文句を言いますが、結構驚いてるのですよ?

リオン様……小さくても顔がお綺麗でしたが……大人になったら、凄いイケメンですもの。


「適当に食べているから、服をお願いできるか?」

「畏まりました」


私は頭を下げて、リオン様の部屋を出ます。

うーん……あんなにいきなり身長が伸びたら感覚がズレそうで大変そうですね。

おっと早く取りに行かなくては。


「うーん……そーですね………」


流石に事務官の人には頼み込めませんし……皇城って基本働いてるの侍女、兵士……あ、あの職業の人でいいですかね。

私は住み込み庭師さんの元へ向かう。

洗濯をマトモにしてなさそうな兵士よりはいいかもしれません。


「あ、いましたね」


丁度、バラの手入れをしていたのか緑の短髪の後ろ姿が手入れバサミを手にしていました。

名前は知らないですけど……まぁ、大丈夫でしょう。


「すみませーん」

「あ、はい‼︎」


彼が振り返り、私は固まります。

…………この皇城で働く人の基準には顔がいい人ってのがあるんですかね。


「どうされました?」


まだ年若い青年にこんなこと言うのはアレですけど……仕方ありませんね。

私はニコーッと笑って、言いました。


「ちょっと服一式を貸してくれません?」

「…………………は?」


青年がガバッと身体を抱きますが……。


「あ、痴女とかいう訳じゃないです。やんごとなき身分の方が普通の服をご所望なのです」

「っ‼︎」


まぁ、名前は言ってませんけど間違いじゃありませんので。

青年は「分かりました‼︎」と慌てて走り去って行きます。

いや、手入れバサミ置いてきましょうよ。

危ないですよ。










暫くして戻ってきた庭師は、服一式を渡して下さいました。

私は軽くお礼を言ってリオン様の部屋へと戻ります。


「お帰り」

「あら。下着はあったんですか」

「あぁ。オレの身体のことを知りながら、嫌味で大人用の服を揃えられていたからな。ただ、ゴテゴテしたのばかりでマトモに着れるのがなかったんだ」


リオン様は下着だけの姿で、柔軟体操をしています。

…………というか、素晴らしいお身体ですね。

無駄な筋肉がついてなくて……しなやかです。


「ありがとう」

「いえいえ」


部屋に入るなり、下着姿のリオン様は私の手から服一式を受け取ります。

そして、そのまま着替え始めました。


「あ、そうでした。一応、淑女レディの前で着替えるのは止めた方がよろしいかと」

「…………オレが隠し武器を持っていないと。お前に危害を加えないと分かるかと思ったんだが……今後気をつけよう」


あらあら。

なんか無駄に配慮できる人ですね。

まぁ、気にしませんけど。


「身体の調子は?」

「さっき軽く身体能力のチェックはした。感覚が狂うかと思ったが、直ぐに適応できたから問題ない」

「では、どうなさいますか?」

「簡単だ。暗殺者ギルドに殴り込みに行く」

「………………うわぉ」


頭良さそうなのにそんな脳筋作戦でいくんですか?

リオン様は麻のシャツに、茶色のズボン、ブーツを履くと手首を回す。


「脳筋とか思ってるだろうが、それが一番楽なんだ。オレが自由にできる金はないから暗殺者ギルドに賄賂は渡せない」


確かに、かなりのお金を積めば暗殺者ギルドはその人の暗殺を引き受けなくなります。


「だから、代わりにオレに手を出すとデメリットしかないと教えてやろうと思ってな」

「私は場所を教えませんよ?」

「あぁ。機密事項だろう?期待してない」


………話が早いですね。

そう、暗殺者ギルドに所属したことのある者はいかなる理由があれどそのギルドのことを話すことは許されていません。

もし話したら……その暗殺者も暗殺対象になってしまいます。

まぁ……暗殺なんて後ろ暗いことですし、バレたら色々と困ります(・・・・・・・)からね。

仕方ないでしょう。


「私は行きませんが、よろしいですか?」

「あぁ、気にしなくていい。ノエルには情報収集を頼んだ」

「………それは正妃様のでしょうか?それとも……」

「それは託すよ。できれば脅しの材料が欲しいかな」


リオン様は窓を開けて、手すりに足をかける。

そこで思い出したように振り返った。



「あ、昼ごはんはサンドウィッチが食べたいかな」



その笑顔はとても無垢で、無邪気な笑顔で。

私は思わず面を食らってしまいます。



「………ふふっ、可愛らしいおねだりですね。畏まりました、リオン殿下」



ですが、私はリオン様の侍女です。

ご所望にはお応えしなくては、侍女の名が泣いてしまいますもの。


「ご武運を」

「あぁ、ありがとう。ノエル」


そう告げて……リオン様は凄まじい身体能力で外に飛び出して行かれました。


「…………うわぉ」


思わず手すりに近づくと、私はギョッとしてしまいました。

鉄製の手すりが凹んでますよ。

リオン様の身体能力は、私よりも異常ですね。

………竜人種と狼獣人のハーフだからですかね?

普通の竜人種より強いのかもしれません……。


「こりゃあシロエとクロエが認めるのも納得ですね」


私が把握できないほどの実力。

………戦略的にも長けてそうですし、戦闘能力も強そうですし?

いい主人に出会えたのかもしれません。




私は主人のご要望に応えるために、朝食を食べ終えたお皿を持って、部屋を後にしました………。







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