第18.5話 再び出会う日を信じて
晴れやかな空の下で行われる、賑やかなパーティー。
そこから少し離れたところにあるベンチに座って、私は人々を見ていました。
リオン様は招待してないけど、いつの間にかいらしていたらしい貴族や他種族の長達に挨拶をしていて。
私は先ほどの別れの件もあって、少し休憩してるように言われました。
『少し、良いだろうか』
「っっ⁉︎」
驚いて隣を見れば、そこにいたのは優しい笑顔を浮かべる精霊王様で。
私は慌てて頭を下げます。
「大丈夫です‼︎」
『良かった。君にお礼を言いにきたんだ』
「………え?」
『君のおかげで、チャンスが生まれたんだ』
精霊王様はゆっくりと手を握り、開かれます。
手の平の上で輝く白と黒の光。
それはなんだが……シロエとクロエのようで。
私は目を見開きます。
「それは……」
『精霊が、無限の存在だと知っているな?』
「え……?あ、はい……」
『だが、精霊は死なない訳じゃない。死んでも、また生まれ変わることができるし……全は個、個は全なんだ』
「……………はぁ……」
精霊王様は手をゆっくりと握り、その光を包みます。
『しかし、シロエとクロエは受肉したことで有限の存在になった。だから死んだ後……二人がどうなるか分からなかったが、君が二人をちゃんと見送ってくれたから。未練など一切残らず、純粋な魂が残った』
「……………それはつまり……」
『先ほどのは、シロエとクロエの魂だ』
「っっっ‼︎」
『流石に記憶は受け継げないし、精霊には戻れないが……精霊の性質が微妙に残っているこの魂を一回だけ、生まれ変わらせることぐらいならできそうなんだ。君が笑顔で見送ったおかげだ、ありがとう』
私は言葉を失ってしまいます。
だって………いつかまた、シロエとクロエに出会えるかもしれないってことですもの。
嬉しくならないはず、ないじゃないですか。
『いつになるかは分からない。それでもー……』
「いつか出会える可能性があるなら、私は嬉しいです。ありがとうございます、精霊王様」
『…………あぁ』
精霊王様は優しい顔で笑うと、ゆっくりと立ち上がりました。
『流石に、大精霊達に仕事を投げてるからな。このままいたら、ルインに殴られそうだし。じゃあな』
「ーーーはいっ‼︎」
消えゆく精霊王様に頭を下げて、私は目尻に浮かんだ涙を拭います。
もしかしたら、再び出会えないかもしれない。
けど………。
何故だか、私は……もう一度出会える気がするんです。
だから、私は今を生きますーー。
記憶がなくても、再会した二人に……みっともない姿を見せないためにーー。




