第17話 結婚式と、その裏事情
ラストスパート‼︎よろしくね‼︎
その後ーー。
リオン様は無事に卒業試験に合格し、入学して早々に卒業するなんて前代未聞を起こしました。
…………というか、コレで普通に第一皇子への仕返しになってますよね。
弟の方が優秀だと宣言されたようなモノですもの。
それから、リオン様は子供スタイルを卒業されて……皆、驚愕です。
まぁ、子供姿のままだと思ってたらいきなり大人姿になりましたものね。
驚きでしょう。
まぁ、そんなこんなで。
竜皇リヴィットの退位と共に、リオン様は皇位継承権を放棄し、臣下に降り……爵位を授爵したリオン様はリオン・レティアント公爵になられました。
領地は皇族の領地を分け与えられ、皇都から少し遠い場所です。
大き過ぎないけど立派な屋敷。
皇城には信頼できる使用人なんていなかったので、使用人は領地で募集しました。
まぁ、領地での雇用口の一つになりますしね。
あ、ちなみにお父さんは地味に政治が分かるようでして。
リオン様のお手伝いをしてくれてます。
本来なら皇都にいてもいいのに、リオン様は早々に領地に引っ込んで仕事に専念なさっておりまして。
福利厚生の充実やら、医療制度の改革、衛生環境の改善……リオン様が領主になってからは、暮らしやすくなったと領民達の喜びの声をよく聞くようになったそうです。
積極的に領地を巡察されてますし、何かあれば話を聞くし……本当に良い領主としてリオン様の株は上がりまくってます。
それは皇都にも響いているみたいで。
時々いらっしゃる皇城の使者の方が皇城に仕官しないか……?的なことを言っては断られてます。
まぁ、それはそうですよね。
面倒そうですもの。
ついでに、聖女とその周りの男達の話やらも報告してきますが(多分、男達が身分が高い方ばかりなので、どうにかして欲しいんだと思います)……私達はそれに関わる気がありませんので放置してます。
………で…私はと言うと。
無事にリオン様と婚約することになりました。
流石に侍女として働いていられませんので、私はリオン様の婚約者として公爵夫人の教育を受ける日々です。
まぁ、流石にドレスじゃ過ごしにくいので……ワンピースが多いんですけど……。
こんな綺麗な服着るのが初めてで、脱ごうとしたらリオン様が「可愛い」とか「似合ってる」とか耳が溶けそうなことばっかり言ってくれて。
なんとか綺麗なワンピースを着慣れた感じになった現在。
ひたすら……リオン様とイチャイチャする日々です。
お仕事が忙しいようですが、合間合間に私との時間を確保して下さいますし。
その度にキスとか、キスとか、甘噛みとか……。
それに、夜もその……ね?
甘々に蕩けさせられて、ドロドロにさせられて……本当に死にそうなんです。
まだ婚約者ですけど、結婚するより先に赤ちゃんができちゃいそうで……。
それを言ったら、リオン様にーー。
「孕ませる気だから、別に良いんじゃないか?」
…………えぇ、普通に妊娠させる気満々でしたよ。
驚きです、うん。
そして、今日ーー。
リオン様から爆弾発言をされました。
「あぁ、そうだ。来月に結婚式をするから準備しておいてくれ」
「はぁ……はいっ⁉︎」
昼下がりのお昼休み中ー。
ソファに寄り添いあいながら触れ合ういつも通りの甘い時間に、私はギョッとしました。
いや、だって……そんな早いと思わなかったので。
「婚約期間って普通は一年ぐらいなんじゃ……」
「まぁ、気にするな」
「あぁ……はい」
こういう時のリオン様はどうしようもできませんし。
まぁ、私も嫌な訳ではありませんので。
「………シエラ様達もご招待して良いですか?」
「というか、ルイン達に招待しろよって既に言われてる」
「流石ですね」
あれから、シエラ様方はご帰国なされましたが……転移でもなんでもできちゃうお二人は、ちょくちょく遊びにいらっしゃいます。
大体が恋バナで、向こうの大陸に居られるご友人とルイン様の部下様カップルが初心な感じで面白いという話が多いです。
「ノエルのウェディングドレス姿は綺麗だろうな」
「………さぁ?私は平凡娘ですので、そんな綺麗にならないと思いますよ」
「………お前、何言ってるんだ?」
「はい?」
「………あぁ…無自覚な感じなのか。お前は可愛いよ」
「あははっ、そんなこと言うのはリオン様ぐらいですよ」
険しい顔をされるリオン様でしたが、「まぁ、オレだけが知っていればいいか」と何か納得されて私の唇にキスされます。
………何度しても慣れませんね……心臓がドキドキです……。
角度を変えて何度も繰り返されるキス。
優しいと思ったら深くなったり、強弱をつけて私を翻弄する。
私は息をする合間合間に、彼の名前を呼ぶ。
「………リオンさ……まぁ……」
「………ノエル……」
あぁ……なんて、幸せなんでしょう。
好きな人がいることがこんなにも満ち足りた気持ちになるなんて。
昔の自分に教えてあげたいです。
好きな人ができるということは、幸せなことなのだと。
トントン。
『おい。流石に休み時間は終わりだぞ』
ですが休み時間には限りがあるので。
私からリオン様の唇にキスをして微笑みます。
「いってらっしゃいませ」
「…………いってくる」
渋々、といった様子のリオン様を笑いながら見送る。
静かになった部屋で、私は一人周りを見渡します。
……………そういえば……ここ最近、シロエ達の姿を見てませんね。
二人が姿を見せるのは気まぐれですし、これぐらい顔を合わせない時も前にありました。
でも……なんだか嫌な予感がします。
「シロエとクロエは……大丈夫でしょうか……」
*****
本当なら来年辺りにノエルとの結婚式を挙げる予定だった。
しかし、事情が変わり……来月に挙げることにしたんだ。
(無理を言って悪かったな、ルイン。シエラ夫人)
精霊術の念話で隣の大陸にいる友人と会話する。
二人の優しい声が響いた。
『別にいいよ。それに、理由が理由だしね』
『えぇ。ノエルちゃんにはギリギリまで秘密にしておくの?』
(あぁ。ノエルは……きっと悲しむから。せめて、笑顔で結婚式を挙げているところを見せてやりたいんだ)
その事情とは、シロエとクロエのことだ。
元々が精霊である二人は、受肉した存在。
つまり、無限から有限の存在になった。
その活動限界が近いのだと聞かされたのがこの間のこと。
………ノエルが、いない時だった。
『ノエルには伝えないで下さい。きっと悲しませてしまう』
『あぁ、そうだ。ノエルが幸せな家庭を築くところを見られたらと思ったのだが……予想より限界が早かったらしい』
二匹は力の消費を抑えるため、実体化しないでいる。
多分、次の実体化が最後だろうとも言っていた。
なら、オレがすべきことは何か?
二人はノエルが幸せな家庭を築く姿を見たいと言った。
なら、せめて……二人が消える前に結婚式を挙げるべきだと思ったんだ。
(だが……ウェディングドレスを借りて大丈夫だったのか?二人の思い出の品だろう?)
ルイン達と魔王様には事情を話して、結婚式の準備を手伝ってもらっている。
ルイン達からの申し出だったが、ウェディングドレスとは大事なものだ。
ちょっとだけ、申し訳なさがあった。
『構わないわ。ノエルちゃん達に貸すのは全然嫌じゃないし、それに……私達も協力したいのよ』
『うん。半精霊として、大切な同胞のためだからさ。協力させてよ』
(…………ありがとう)
本当はノエルに二人のことを告げた方がいいのかもしれない。
けど、それはシロエ達が望まないことだから。
きっと……今知ったら……ノエルは結婚式でも悲しい顔で、泣いてしまうだろうから。
翳りがある笑顔になってしまうだろうから。
それは……消えゆくシロエとクロエの未練になってしまうから。
(二人のためにも、ノエルのためにも。最高の結婚式にしてやらないとな)
『だね』
『そうね』
だからオレは、オレにできることをしようーー。




