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第16話 破滅シナリオ回避を喜んで


最終回っぽいタイトルだけど、あと少し続きますよ‼︎

よろしくどうぞ‼︎







結論。



今回の政策ミスによる国の不作と、第二皇子を見捨てるような行動が責任問題となり、竜皇は退位することになりました。


まぁ、国を傾けかけたんだから仕方ないですよね。


新たな竜皇には、双子の弟(皇弟)リーヴァ様がなられるそうです。






「よし、勝った」

「まぁ、番を優先するような人じゃ大事な時に投げ出されるかもしれないからね。信頼できる人じゃないと」


満足気な笑みを浮かべるお父さん達。

先ほどの話の途中で、竜皇が賢皇と呼ばれていたのは周りのフォローによるところが多いと知ったので、皇帝が変わっても問題ないことが分かりました。

だから、番に傾倒してて無責任なリヴィット様より、皇弟リーヴァ様の方がマシだとなったようです。


「というか、リオンはこれで良かった?父親に何か仕返ししたいとか……」

「きょうみがないよ」

「……………」

「じぶんがあんさつしゃとたたかってるときに、イチャイチャしてるようなやつに……どうでもよくなるでしょ?ぶっちゃけ、やれっていわれたらふつうにりょうしんをころせたとおもう」


………目が据わったリオン様はそう言って、にっこりと口だけ笑われます。

…………部屋の空気が一気に殺伐したモノになりました。


「リ……リオン……わたしはっ………」

「しゅぞくかんのバランスのためにてをださない、だっけ?まぁ、なんでもいいよ。ちちうえたちがたすけてくれなかったのはじじつだから、もうどうでもいい。あぁ、でも?できることならおういけいしょうけんをはきさせて。で、こうしゃくとしてのしゃくいをちょうだい。そしたら、ノエルとまおうさまのさんにんでつつましくくらしていくから」


うわぉ、ここぞと言わんばかりに要望を押しつけたぁ。

確かに、皇位継承する気はないとおっしゃってましたもんね。

リオン様は駄目押しとばかりに微笑まれます。


「ダメだっていうなら……ルインのくににたかとびする」

「あ、いいよ。おいで?リオン達は気に入ったから、優遇してあげる」


あらー……サラッと受け入れちゃうんですね。

というか、気に入って下さってたんだ……。


「リオン……何故……そんな……」

「はやいかおそいかのちがいだから。とっととしろよ」


子供スタイルに似合わないドスの効いた声にリヴィット様は呆然とします。

それを見た宰相は大きな息を吐いて、書類を用意して下さいました。


「皇位継承権の破棄と、臣下に降るということでよろしいのですね?」

「うん。ノエルとのこんやくもよろしく。あと、がくえんにはとびきゅうせいどがあったよね?うけさせて」

「…………分かりました。早急に手配します」

「ありがとう」


リオン様はそう言うと、ジッと私を見上げてきました。

ん?なんですか?


「ノエルはまだあにうえにしかえししたい?」

「……………ぁ。」


…………はっきり言うと、第一皇子のこと忘れてました。

仕返し、ですか……まぁ、不当な評価をされたことは許せませんけど。


「もう、どうでもいいですかね。リオン様と一緒にいる方が大事なので」

「…………そう…」


………目を逸らして頬を若干赤くするリオン様。

私はそれを見てにまーっと笑いました。


「あら、照れました?」

「ノエル、キスしてだまらせるよ」

「キスしてくれるなら嬉しいです」

「っっっ⁉︎」


私の返しにリオン様はギョッとされて狼狽されます。

ふふんっ、さっきの待ち時間でシエラ様と恋バナしてましたからね。

ちゃんと成長してるのですよ‼︎

もう恋愛赤ちゃんとは呼ばせません‼︎


「……………はぁ……」

「………リオン様?」

「こんや、かくごしといてね」


にこーっ。

…………うわぁ、綺麗な笑顔なのに嫌な予感。

リオン様は狼狽する私の手を取り、甲にキスをして宰相の方に振り返りました。


「学園の試験は一学年分上にするのですか?」

「ううん、そつぎょうしけんにして」

「なっ⁉︎」

「できるよね」

「………可能です」


多種族国家ですから、種族ごとの知識レベルの差というのがあります。

ゆえに、このように学園に通ったという証拠が欲しいけど知っていることを学ぶのは……という人のための制度が、飛び級試験らしいです。


「………リオン様は本性を隠してたのですか?」


カエサル宰相は険しい顔で聞いてくる。

リオン様はそれを聞いて、ニヤリと悪そうな笑みを浮かべました。


「だったら?」

「…………なんということだ…」

「あはは、いまのかいわでぼくがゆうしゅうなのでは?とかおもったの?」

「っっ⁉︎」


リオン様の内心を読む技術はビクッとしますよね。

リオン様はクスクス笑いながら告げました。



「ぼくがあにうえよりゆうしゅうだとしても、ぼくはこのくにのためにはたらいてやろうとおもわなかったよ。だって、さいしょにぼくをみすてたのはそっちだからね」



リオン様は私の手を握り、ニコーッと笑う。



「いちどりょうしょうしたことは、てっかいしないでしょ?てっかいしたら……ねぇ?」



先にルイン様の国に逃げると告げているからか、宰相は渋々頷きました。

どんなことができるかは把握してなくても、リオン様が只者じゃないと分かったからこそ……不用意に他国に渡したくないでしょうから。


「さて……ルイン、おねがいがあるんだけど」

「何?」

「せいれいたちにぼくのこと、さぐらないようにしてっていって?またせいじょにプライベートくうかんとかさぐられたらいやだから」

「へぇ……」


ルイン様の纏う空気が冷たくなります。

まぁ……確かに。

プライベートの時間も見られたら……。


「………私とリオン様のイチャイチャしてるのを、聖女に監視させるようなモノですものね……」

「あら、それは流石に許せないわね?」


今まで黙っていたシエラ様も、私の言葉に纏う空気をヒンヤリしたものに変えました。

…………うわぉ、シエラ様……怖い。



「精霊達。もしリオン様とノエルちゃんの私生活を探ってとかお願いされても、しちゃダメよ?したら……私とルインが……暴れちゃうわよ?」



ゾワリッ……。

あぁ……やっぱりルイン様の奥方様ですね。

只者じゃない人の妻も只者じゃなかった。

というか……怒らなそうな人の方が怒ると怖いですね。


「うわぁ〜……精霊達が怯えてるねぇ」

「せいれいがおびえるってそうとうだよね?」

「まぁ、シエラ次第で俺も暴れるからね。この世界で一番強いのはシエラだよ?」


………そうですか。

シエラ様は怒らせないようにしましょうっと。


「じゃあ、そういうことで。じゃあね」


リオン様は無理やり話を変えるように挨拶をして執務室を退室します。

執務室を出た私達は無言で歩いて歩いて歩き続けて。

リオン様の自室に入り、勢いよく顔を見合わせました。


「これは、成功でよろしいですよね?リオン様」

「もちろんだよ、ノエル」


リオン様はゆっくりと大人の姿に変わり、またルイン様のおかげで服のサイズも元に戻ります。

そして、勢いよく私を抱き上げました。


「うわぉっ⁉︎」

「よし、やったぞ‼︎ノエルとの未来を手に入れた‼︎」


そう、そうなんです。

なんだかんだであんな感じになりましたが……私達の本来の目的は……。


「これで私の当て馬シナリオも」

「オレの皇位継承やら、オトメゲームやら」

「この大陸の破滅シナリオも」

「僕が聖女に倒される結末も」

「回避できたわね。おめでとう」


五人で互いに笑いあって、喜び合います。



そう……私達の本来の目的は、破滅シナリオを回避することーー。



私はリオン様の腕の中で、ふわりと微笑みます。


「リオン様」

「なんだ?」

「幸せに、なりましょうね」

「勿論」


互いに微笑み合って、触れるだけのキスをする。







私は、やっと手に入れた幸せが……嬉しくて涙が出てしまいましたーー。






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