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第1話 (元)暗殺者と腹黒の邂逅


いつもありがとうございます‼︎


今回は、ちょっと仕様で……平仮名の台詞が多いです。

読みにくいと思いますが、ご了承下さい。


これからもよろしくどうぞ‼︎







私、ノエル・ノワ(十五歳)は元暗殺者というだけの至って普通な侍女です。



そして、現在ー。


赤毛に、爬虫類のような金の瞳を持つ美青年……マグノール帝国第一皇子ルーヴィット・フォン・マグノールを本気で殺したくなっています。はい。




「パールから話は聞いています。わたしの専属になって早々に退職することを謝罪していました。そして、君がとても優れた侍女であると言っていましたが……はっきり言って、人間族である君には期待は一ミリもありません」


えーえー。

こいつは竜人種こそが最強っていう典型的な傲慢ヤローのようなんです。

超丁寧な口調してやがりますがね。

………パールは竜人種だったから、気にしてなかったみたいですが……私は駄目だと。

こーいうのを差別と言うんですよ。


「皇子の専属だというならわたしではなく、犬畜生の方でもいいでしょう。今から、君は犬の専属侍女です」

「…………は?」

「あぁ、早くわたしの執務室から出て行ってくれますか?空気が汚れてしまう」

「……………失礼、します」


私は殴りかかるのを我慢して、部屋を退室します。

あの野郎……黙ってりゃぁ、好き勝手言いやがって……。




このマグノール帝国は多種族国家ではありますが、皆が平等という訳ではありません。

国王陛下はその問題を憂いているとか言ってますけど、まぁ……竜人種が傲慢な性格してるからですよ。

まぁ……竜と人の姿を持ち、戦闘能力はこの世界でもかなり高い人種なので、他の種族が怯えてしまっているっていうのもあるんでしょーけど。



まぁ、とにかく?

さっきのクソ野郎の台詞からも、犬畜生と称していたのは第二皇子のことでしょう。



今代の竜皇の番(最愛の人)は、《月狼族》という狼獣人の一族の姫君で……その狼獣人の姫君は、側妃・・様です。

竜皇様は、国王ゆえに最愛の人ではなくても誰かと結婚しなくてはいけなくなり……同じ竜人種の正妃様と結婚しました。

しかし、その後直ぐに番である側妃様にお会いしてしまい、側妃様と結婚。

そうして、第一皇子が産まれた一年後……第二皇子が産まれたそうです。



つまり、第二皇子リオン・フォン・マグノール様は竜人種と狼獣人のハーフであられます。



…………だからって犬畜生とか。

罵倒するのは間違ってますよね、普通に。

リオン様が望んでハーフになった訳じゃないのに、どうしてそれで罵られなきゃいけないんでしょうか。

というか、種族で差別するなんて、差別する奴の方が人として終わってます。

つーか、半分とはいえ自分の弟なのにそう言うとか性格悪過ぎだし。

第二皇子が何度も暗殺されかけているとかよく聞くし。

正妃様は第二皇子をすっごい酷い扱いをしているらしいし。

竜人種というのは番を最優先するようですから、側妃様ばっかり大切にされて。

正妃様のプライドを傷つけられて、竜皇様と番の子供である第二皇子様が憎いのかもしれませんが……。



それとこれは別でしょう。


子供になんの罪もねぇだろ。



つーか、番優先とはいえ自分の息子を助けてやれよ。

竜皇様は何してんの?頭腐ってんじゃないの?……とか思います。







まぁ、とにかく‼︎

あんなクソ野郎の侍女よりもリオン様の方がマシかもしれませんね。

私は、リオン様がいらっしゃるであろう……第二皇子の自室へと向かいました……。







*****





………これ……完全に不遇の扱いですよ。



薄暗い隅部屋。

囚人かよって思うぐらいに質素な……ベッドしかない部屋。

そして、皇子が着る服じゃない平民と変わらない服。

目の前にいるのは、幼い子供。

アッシュグレーの髪に金の瞳。

その頭にはふさふさのケモミミと尻尾。



…………私と同い年である十五歳(この国では成人)のはずの第二皇子リオン様は、見た目五歳児の子供であらせられました。



「………だぁれ?」


舌ったらずな言葉。

私はなんとなくリオン様と視線を合わせるよう、しゃがみ込む。


「ノエル・ノワと申します。本日よりリオン様の侍女になりました」

「…………じじょ……?」


こてんっと首を傾げるリオン様。

………あざと可愛い仕草ですね。



「………ぼくのこと、ころしにきたの?」



「…………………」


訂正。

あざと可愛い仕草でも、会話が殺伐とし過ぎです。


「違いますよ。リオン様のお世話をするんです」

「おせわ?なんで?」

「………なんでって……リオン様は皇子だからですよ」

「ずっと、ひとりだよ?たまにくるのは、ころしにくるひとだよ?」


………………コレ、アウトじゃないですかね。

いきなりブラックな一面が出ちゃってるんですけど?

つまり……リオン様にはお世話係がいなくて、ずっと一人で。

それどころか暗殺者が来るのが常だと……。


「殺しに来る人はどうしてるんですか?」

「ころしてるよ」

「…………へ?」

「だれも、たすけてくれないから。ぼくが、ころさなきゃころされちゃうの」


なんてサラリと言いますが。



……………重い……重過ぎる……。



見た目子供な所為か、殺さなきゃ殺されるなんて言う現実に嫌気が差す。

………いや……ぶっちゃけ、私もそうだったんですけど。

初めから裏世界で生きてきた私と、本当は煌びやかな世界で生きるはずの皇子様。

普通は生きるために人を殺すなんて皇子様がするはずないのに。

前提が違うのに、していることが一緒って……こーいうのを世知辛い世の中と言うんですかね?

私は質問を続ける。


「………竜皇様は助けて下さらないのですか?」


リオン様は探るような鋭い視線を私に向ける。

そして……暫く沈黙してから、「もうすこし、ちゃんとはなすね」と言ってから話し始めました。


「こくないの、ばらんすなんだよ。せいひさまは、りゅうじんでぼくのははうえはジュウジンだから。ぱわーばらんすはぜんしゃにかたむいてる。へたにてだしをすると、りゅうじんしゅがあばれるからだめなんだ」

「………………」

「ただでさえりゅうじんは、じぶんたちをいちばんとおもってるから。ぷらいどがたかいから。ツガイになった、ははうえがゆるせないんだ。ついでになかまいしきもたかいから……りゅうじんたちは、せいひさまがなにをしようとみかたなんだよ。だからね?ぼくがころされそうになっても、ちちうえはたすけられない。よく、すまないとかあやまられるけど……そうおもうなら、なんとかしろよっておもってる」


見た目五歳児だと思ってましたが、言ってることが五歳児じゃありません。

というか、さっきよりも詳しい話内容……最初の幼い感じの喋り方は演技だったということでしょうか。

まぁ、何者か分からない私相手ですから、精神的にも幼いフリをして探ってたのかもしれませんね。

………どちらにせよ、舌ったらずなのが聞きにくいですが。


「………リオン様は十五歳と聞いていますが、どうしてそんな幼い見た目なんですか?」

「りゅうじんしゅは、せいれいりょくとはべつに〝りゅうき〟というちからをもつんだよ。それがりゅうじんしゅをおとなにさせていくんだけど………ころしにくるひとがゆだんしてくれるから、ちからをおさえてる。だから、みためも、しんたいきのうもこどもなんだ。ききとりづらくて、すまない」

「…………」


…………その見た目……暗殺者を油断させるためって……。

……………なんか可哀想ですね。

………うん、決めました。


「分かりました。なら、私の仕事はリオン様を守ることも含めますね」

「……………え?」

「特別サービスですよ?」


ニヤリと笑う私に、リオン様は険しい顔で首を傾げる。



「………いや、そんなことしなくていいよ?」



そして、普通に断られた。

……………。


「…………いや、なんで断るんですか。特別サービスって言ってるじゃないですか」

「だってきみ、おんなのこだよ?なのに、ぼくをあんさつしゃからまもらせるって……ねぇ?」


…………見た目五歳児……予想より精神が紳士でした。


「大丈夫です。私、強いんですよ?」

「……………………」

「うわぁ、ジト目」


まぁ、平凡な見た目してますからね。

信用はできないでしょう。

なら、信用させるまでです。


「とにかく。ご安心を、リオン様。早々に邪魔な虫を排除して見せましょう」

「いや、そもそも……しょたいめんのひとのために、どーしてそこまでしようとするの」

「……………そんなの簡単ですよ?」


私は苦笑する。

貴方の境遇には同情します。

けれど、これは貴方のためじゃない(・・・・)んです。


「あの馬鹿皇子が私のことを侮辱したからです。貴方のことは単なるついでに過ぎません」

「………あぁ」


リオン様はそれで納得したようで。

あらあら、頭も良いんですねぇ。



「私は私のために行動するんです。私を侮辱した奴へのやり返しというのは、相手が嫌なやり方をするもの……だから、私は貴方を助けましょう。私ができる範囲で反抗してやりましょう。一言で言えばね?馬鹿は徹底的に潰すことにしているんですよ」



リオン様はクスクスと笑う。

楽しそうに、無邪気な笑みで。


「なら、すきにするといーよ?ぼくもできるはんいできょーりょくしてあげる」

「………あら」

「ぼくがいままでうごかなかったのは、てごまがなくてうごけなかっただけだからね。ひとりじゃげんかいがあるけど……きみはゆうのうそうだ」



…………ゾワリッ……。



裏世界で生きてきた私でさえも感じる悪寒。

笑っているのに、笑っていない瞳。

あらー……この人、只者じゃない感じですかぁ……。

リオン様は私の心を見透かしたように、顔に似合わない大人びた笑みを浮かべる。


「うごき、もうすこしおしとやかにしなよ。いまのところぼくだけだろうけど……わかるひとには、ばれちゃう(・・・・・)よ?」

「…………気をつけさせて頂きます」


…………どうやら私の正体(前職)も、バレてるらしいです。

………この人、もしやしなくても普通に只者じゃなかったですね。

ってか、そこら辺の人より有能ヤバイですよね?


「きみがいるなら、ほんとうのすがたにもどってもいいかなぁ〜……」

「………………」

「あ。つかいつぶさないからだいじょーぶだよ?ふくりこうせいは、まかせて」


ふんわりと笑うリオン様ですが、言ってることは中々ハードで。

………まぁ、使い潰さないとおっしゃってるし。

私に害を成そうとしたら……それはそれで対応すればいいだけですね。




結論ーー。



どうやら、私が仕えることになった第二皇子様は………腹黒様なようです。








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