第8.5話 第一皇子の独白
最近、母上や周りの者達は変わってしまった。
今まで散々第二皇子のことを邪険にしてきたのに、手の平を返したように優しくしている。
その理由は……まぁ、多少は同情するものなのかもしれない。
子供の頃から暗殺者を送られて、ずっと誰にも守られず一人でなんとかしてきたらしい。
でも、アイツは自分でなんとかできたんだから……今更可哀想がったって仕方ないじゃないか。
というか、逆に言えばそんだけ力があるってことで。
皇位を狙っていないとか言っていたが、もしその力が認められたら。
他の奴らがアイツの力に期待して、祭り上げて、皇位を狙うかもしれないじゃないか。
何も変わっていない。
それどころか、今回の件はアイツに力をつけさせてしまう。
………わたしの地位が、危ぶまれるだけじゃないか。
なのに、今更アイツに優しくするなんて。
あんなに、わたしにアイツは敵だと教え込んだのはお前達なのに。
どうして、そう簡単に変わってしまうんだ。
わたしは、大人達のように……そう簡単に変えることができないよ。
大人達に小さい頃から教え込まれてたから、そんな大人達が手の平返しても……簡単に考えを変えることはできないって話でした。