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第7話 満月にはご注意を


【注意】

R-15表現あります‼︎苦手な人は逃げてね‼︎


はい、やっと恋愛らしくなったかな‼︎

これからは甘々で頑張りますよ‼︎

今後ともよろしくどうぞ‼︎






あの日から三週間ほどー。

ちょっとずつ環境改善がなされるようになりました。



暗殺者は来なくなりましたし、正妃様が普通の扱いをするようになったからか、部屋も皇族に相応しいモノになりましたし、護衛もつくようになりました。

ご飯も服もマトモになりましたし……教育係もちゃんとつきましたし?

いや、それどころか今までの不遇はなんだったのか。

色んな人に可愛がられるようになっております。

……リオン様が実の両親にすら守られていない可哀想な子だと思われるようになったからかもしれませんけど。

手の平返し過ぎじゃないですかね?







「いいかんじになったね?」

「本当にいい感じになったことに驚きですよ」


リオン様は五歳児姿でソファに座り、ふにゃふにゃと笑います。

ちゃーんとリオン様が考えた通りの展開になりましたよ。

流石ですね。


「ふふふっ……がんばっちゃった」


頬を赤くしてリオン様はちょいちょいと私を手招きする。

……ん?どうしたんですかね?


「どうされましたか?」

「ノエル、ノエル。なでて?」

「…………………はい?」


リオン様はニコニコ笑って私の手を取り、自分の頭に乗せます。

そして、スリスリと頭を動かしました。

……………え?


「ノエル、あたま、なでて?いっぱい、ほめて?」


こてんっと首を傾げながら、無垢な笑顔でそう言ってくるリオン様。

………えっと……リオン様は、五歳児スタイルですが……中身は十五歳ですよね?

一体、何を……。


「…………ほめて……くれないの……?」


固まった私を見て、リオン様は泣きそうな顔になる。

私は慌てて彼の頭を撫でました。


「いえいえ、リオン様はとても頑張られましたよ‼︎」

「……………」

「偉い子、良い子です‼︎」

「…………えへへ〜……」


泣きそうな顔から一転、頬を緩めて嬉しそうにするリオン様。

いや、あの……マジで一体、どういうことですか?

リオン様、とうとう壊れましたか?


「ノエル、ノエル。おひざだっこして?」

「いや、それは……」

「……………だめなの……?」


また涙目になるリオン様。

………あぁ、無理です。

子供の泣きそうな顔は苦手なんですよ。


「はぁ……」


私は溜息を吐きながら、リオン様を抱っこしてソファに座ります。

そして、ちょんっと膝の上に乗せました。

向かい合うようになって視線が重なる。

リオン様はキョトンとしてから……パァァァァ‼︎と顔を輝かせました。


「えへへ〜‼︎ノエル‼︎すきぃ‼︎」

「ふにゃっ⁉︎」


リオン様は満面の笑みで私に抱きついてくる。

ちょっと待って下さい⁉︎

流石の私も動揺を隠せないのですがっ⁉︎


『……これはアレ(・・)ですかね?クロエ、今夜は?』

『今夜は満月だな。これはアレ(・・)だろう』

「シロエ、クロエっ‼︎」


いつの間にか現れていたシロエとクロエに、私はギョッとします。

というか、これがなんだか分かってるんですね⁉︎


「シロエ、クロエ‼︎これは一体……」

『ノエル。落ち着いて下さい。これは獣人特有のアレ(・・)です』

「だから、アレ(・・)がなんなんですか⁉︎」

『リオンは《月狼族》の血を引いている。そして、今夜は満月だ……つまり』


リオン様は変わらず私に抱きついたまま。

そして、シロエとクロエは……アレ(・・)の正体を告げました。




『『発情期・・・だ』』




「………………………………………………はい?」


思わず動きが止まってしまう。

今、この二人は…………なんと?


『初めての発情期でしょうか?……それとも、成人してから異性がこんなに側にいるのが初めてだから……普通は夜に起きる発情期が、朝から起きてるんですかね?』

『だな。じゃなきゃ朝っぱらからこんな感じにならないだろうしな。まぁ……こいつならノエルを任せても良いだろう』

「いやいやいや、何言ってるんですかっ⁉︎」


えっと……確か、獣人は人間よりほんの少し長く生きる程度だから、子を残すために発情期があると聞いたことがあります。

まぁ、それ自体はそれぞれの種族や個人で期間や長さが違うらしいですが……。

……リオン様の一族は、満月の夜に発情期になるってこと?

だから、今日はこんなに甘えたみたいになってるんですか⁉︎


「ノエル〜」

「ひょえっ⁉︎」


首筋にぞくっとした感触。

慌てて意識を向ければ、私の首筋を甘噛みするリオン様の姿。

無邪気な笑みを浮かべているのに、その瞳には妖しい光が宿っていて。

本能的に、これはヤバイと悟ります。

ですが、相手は皇族で私の主人。

物理的に振り払うことなどできません。


「リオン様っ‼︎やめー……」

「……………だめなの?」


うりゅっ……と一気に潤む瞳。

あぁ……だから、子供に泣かれるのは苦手なんですってば……。

私がタジタジになっていたら、保護者二人はこてんっと首を傾けました。


『見た目に引きずられている発情期みたいだから……そこまで心配せず、好きなようにさせれば良いんじゃないんですか?』

『そーだぞ。発情期期間は精神状態が不安定らしいからな。無理に止めたりしたら、普通に戻った時どうなるか……』

「……………え?」


シロエとクロエの言葉に固まります。

………あの……どういう意味ですか?


「………あの……どういう意味で……」

『発情期は子を残すためのモノですよ。普通ならそんな甘噛み程度、甘える程度で済むはずないじゃないですか。だから、その程度ってことは見た目に引きずられているのかと』

「…………………」

『我の言葉はそのままの意味だな。獣人の発情期は本能的になっているらしい。だから、その本能を制限(抑えたり)したら……通常時にも影響があるとか』


………つまり、リオン様の見た目の所為で犯罪臭がしても、私はこれを受け入れなきゃいけないってことですか。


「ノエル〜ノエル〜♪」


リオン様は楽しそうに私の首筋や手やらに甘噛みや触れるだけのキスをします。

………これ止めて通常時に異常になるくらいだったら……子供の戯れとして受け入れてあげた方が良さそうですね……はぁ。


「リオン様。痕は残さないで下さいね」

「うんっ‼︎」


大きな溜息が溢れてしまいますが、我慢、我慢。


「ノエル、きょうはずーっといっしょにいてね‼︎」

「はいはい、畏まりましたよ」


まぁ……あの腹黒な笑みよりも、こういった無邪気な笑みの方が良いと思いますけどね。

白い頬に手を伸ばせば、柔らかな感触。

リオン様は目を見開いて、蕩けそうに幸せそうな顔で微笑む。

そして、スリスリと甘えるように私の手に擦り寄ってきます。

…………あ、これは普通に可愛いです。


「ノエル、すき〜」

「ありがとうございます」

「ノエルはぼくがすき?」

「へ?」


言われた言葉について考えてみます。

リオン様のことが好きか?

………なんだかんだと言って、まだそんなに一緒にいないんですよねぇ。

リオン様は腹黒ですけど、私に無理な要望しませんし。

侍女らしくなくてもあんまり気にしませんし。

そーいうのを考えたら、良い主人なんでしょうね。

でも……好きかどうかと聞かれたら……。


「きらい……?」


うりゅっ……と再び涙目になるリオン様。

私は慌てて弁明しました。



「いや、その……私はずっと裏世界で生きてきたので。人を好きになるというが少し……分からなくて」



そう……そうなんです。

リオン様は私の過去を聞かないでくれますが……私はずっと暗殺者として生きてきたんです。

だから、人を好きになる暇なんてなかった。

愛だと恋だのと、言っている暇がなかった。

だから、私は分かりません。



人に恋をすること。


人を愛すること。



だから、好きか嫌いかも……分からない。


「じゃあ、これからわかるようになればいいよ‼︎」

「……………え?」

「ぼくがおしえてあげる‼︎ぼくは、ノエルがすきだからね‼︎」


リオン様はそう言って無邪気に私の首に抱きついてきます。

…………いや、まぁ……分からないなら分かるようになればいい。

その通りなんですけど………。


「ふふっ……普通、そんな簡単に言いますか?」


思わず笑みが溢れてしまう。

なんて前向き発言なんでしょう。

よく分かりませんが……何故か笑ってしまいます。


「まだ会って間もないのに……私が好きだなんて……変な人ですね」

「ノエルはおいしそうなにおいがするから、すき‼︎」

「まさかの捕食対象⁉︎」

「うそだよ‼︎ぼくのそばにいてくれるからすき‼︎」

「……………あははっ‼︎変なリオン様‼︎」


なんかもう……好きとか嫌いとかどうでも良くなりますね。

このふわふわとした会話が楽しくて。



こんな穏やかな時間……今までの人生の中で、初めてだから……。



「まぁ、気長に適当にいきましょうか。リオン様」

「うんっ‼︎ゆっくりおしえてあげるね‼︎」





どうやら、私はリオン様に〝好き〟という感情について教えてもらうことになりました。



















………と、いうことを舌の根が乾かぬうちに訂正をしたいと思います。





「いやいやいや、リオン様⁉︎ゆっくり教えてくれるんじゃなかったんですかっ⁉︎」


空に満月が浮かんだ夜ー。

私は大人姿になったリオン様に、ベッドに押し倒されました。

昼間は子供姿で戯れ程度の接触だったのに、いきなりどうしてっ……‼︎


「あははっ、そんなの無理に決まってるだろ。ノエルは凄く良い匂いがするんだから……」


舌舐めずりをして、リオン様は私の首筋に顔を寄せます。

………リオン様の吐息が熱いんですけど……。


「はぁ……熱っ……」


リオン様は上の服を脱ぎ捨てて、上半身裸になります。

うぉ……肉体美……じゃなくて‼︎


「あの、ちょっとリオン様?」

「すまん、ノエル。ノエルが好きという感情が分からないことや、オレに対して恋愛感情とかもないことは分かってる」

「いや、まぁ……良い主人とは思ってますけど」

「だが、オレはノエル()欲しい」

「っっっ⁉︎」


熱っぽい視線で見られて、訳も分からず顔が熱くなります。

本能的に逃げ出そうとしますが、リオン様はそれよりも強い力で私のことを押さえつけて……逃げられないようにする。


「……リオン…様……?」

「ちょっと順番が変わるだけだ。いや、それどころか……言葉でも肉体的にも教えてやれる」


リオン様はニッコリと、蕩けるような笑顔で……告げました。



「ちゃんと甘やかして、ドロドロに溶かして、オレなしじゃ生きられなくなるくらい……愛してやるからさ」



初めて誰かが触れる唇は、とても優しくて熱くて……少し固くて。

背筋に走る痺れに……私は眩暈を感じてしまいます。

微かに離れた唇から、告げられた言葉は……。




「ノエルを喰べる(奪う)よ」




…………そうして……私は訳も分からず、その熱量に溺れさせられて………リオン様に喰べられてしまったのでした。






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