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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第11章 邪神ダグナーガ
93/102

邪龍降臨

1734年 8/24


「ようやく必要なエネルギーに達したようだな。これで、ダグナーガ様を召喚することが出来る。」


 ここ南極点にてマルローらから受け取ったエネルギーによって、邪神召喚に不足していた分が補填できたのである。そして都合よく、この日に限って晴天に恵まれ、強い風も吹いてはおらず、召喚の途中に魔法陣がかき消されるようなことは無い。


「では、そろそろ召喚の作業に入る。念のため周囲の警戒を頼むぞ。」


「お言葉ではございますが、こんなところに人など来るはずはありませんが・・・」


「そんなことだから、貴様は詰めが甘いのだ、マルロー! 結局、土竜は復活しているし、恐らく勇者一行は取り逃がしているのだろう? その勇者一行がここに来てもおかしくないと言っているのだ!」


「! そんな馬鹿な! あの時確実に始末したはず・・・」


「・・・最後まで確認しなかったのだろう? そうしていれば、今頃このような警戒などする必要もなかったのだ。」


「・・・・・」


 二の句が継げなかったマルロー。任務の成功を全く疑っていなかっただけに、最後に死亡の確認をしなかったことが悔やまれるが、逆に考えれば、その対象がここに来るということでもある。本当にここに来るのならば、その時に名誉挽回すればよい。そう考えることにする。


 ゲルザードは足元に魔力を放出し始める。すると、既に部下達に設置させていた魔法陣が浮かび上がる。その魔法陣に自身の魔力を注ぎ込むゲルザード。魔法陣が魔力を帯び光り輝くようになると、今度は地震による魔力放出はやめ、代わりに自身の収納魔法に仕舞ってあったエネルギータンクからの放出に切り替える。すでに先ほどマルローらから受け取ったエネルギーも重点済みであるから、それを注ぎ切れば、いよいよダグナーガが召喚されるであろう。


 魔法陣の輝きは時間が経つごとに増している。そして魔法陣が起動してから2時間は経過したであろうか? 召喚のための魔法陣は多少離れたところからでも認識できるくらいには輝くようになっている。


「もうそろそろでしょうか?」


「いや、未だだ、マルロー。 残り20%程残っている。1時間も掛らないが、30分以上はまだ必要であろう。」


 バルバルバル


「この音は何だ?」


 ウラヌスが言うので、よく聞いてみれば、空気を引き裂くよな音がかすかに聞こえる。


 バルバルバルバルバル


「しかもだんだん大きくなっているな? 何かが近づいているのか?」


 バティスタもこういうように、徐々に意識しなくてもはっきり聞こえるようになってきた。


「?! あれだな? この音を発しているのは。」


 上空を見上げると、何やら見慣れない飛行物体がその音を出しながら飛行しているのである。


「そう言えば、異世界人どもがアースガルドに提供していた物の中にあんなものがあった気がしますね。たしかヘリコプターというんでしたか?」


「マルローよ、我の言った通り来たではないか。この距離なら分かるぞ。あの中に我の力を封印できる魔力を持ったものがいる。・・・一度味わっているからな。よく分かるぞ。」


 ゲルザードが感じている波動は、リーフが身に付けた封印の魔力そのものである。ダグナーガ召喚を前にして、ようやくたどり着いたレグルス達であった。


「ウラヌス、バティスタよ。あれを打ち落としてまいれ!」


 命令を聞き早速飛び立っていく悪魔2柱。


「マルロー、貴様は我にもしものことがあった場合に備え、この召喚魔法を引き継ぐのだ。・・・すでに魔力は自動的に注がれる状態になっている。最後の魔法陣の起動は最低限の魔力があれば誰でもできるのだ。頼んだぞ!」


「! ゲルザード様は?」


「恐らくここに來るであろう奴らの足止めよ。 何なら勇者の封印を再び喰らっても構わん。 どうせダグナーガ様が降臨なされれば、我にかかる封印など意味なくなるだろう。それよりも、貴様はここを死守するのだ!」


「畏まりました。命に代えましても・・・」


 マルローの言葉を背に、ゲルザードはやってくる勇者たちを迎え撃つべく前へ進み始めた。その間にも召喚魔法陣の輝きは少しずつ増していくのであった。


 


「そろそろね。もうすぐ南極点よ。・・・もう着陸しちゃう?」


「そうだな・・・出来るだけ近づいておきたいんだが・・・」


「了解。・・・といっても、見つかって着陸を邪魔されるようでは本末転倒よ?」


 地図上ではもう南極点に到着しているはずであるが、上空からそれっぽいところを探しているところである。今のところ、雪と氷しか見えていないので飛びながら探しているのであるが、


「闇雲に見当違いのところを歩いてもダメだからな。ある程度目星をつけてから行動したい。」


「分かったわ。レグルス、早いとこ見つけてね。」


 そう返事をして、操縦に専念するライス。すると、アレクが何か見つけたようだ。


「あの光った魔法陣がそうじゃないの?」


 アレクが指さしたところには、かなり大きく、そして光り輝く魔法陣があった。しかも、3・・・いや、4人の人(?)がいるのが見える。


「よし、それじゃ着陸してくれ。」


 レグルスがそう指示を出したのだが、ライズは少し固まっているようだ。


「・・・了解って言いたいところだけど、ちょっと遅かったみたいね。このまま着陸態勢に入るのは危険よ?」


 見ると、現場にいるもののうち2名がその場を飛び立ちこちらに向かってきている。そして巨大な火球を撃ってきた。それをどうにか飛行技術で躱したが、これでは打ち落とされるのは時間の問題だろう。


「飛べる人はドア開けて外に出て。で、何とかアイツらの攻撃を阻止して頂戴。」


 ライズの指示を聞き、レグルス、リーフ、エスト、カペラ、カノーが自身の飛行魔法で外に飛び立っていく。それを見届けて、ライズはヘリコプターの着陸態勢に入る。


 レグルスが火球が飛んできた方向を見ると、そこには、マルローとは違う2柱の悪魔がいた。どうやら、追撃の魔法を放とうとしているらしい。そこでレグルスはかなり抑え気味の生気収束波を連続で放つ。それは正確に悪魔2柱を捉えていた。


 レグルスの攻撃を間一髪で躱す悪魔2柱のウラヌスとバティスタ。追撃に使うつもりだった構築中の火球は今の攻撃で霧散してしまった。ウラヌスはエネルギー波を放ったレグルスを視界にとらえたようだ。


「フン! 人間風情が! 貴様から死ね!」


 そうウラヌスが叫ぶと、バティスタとともにレグルスに向かって突っ込んできた。・・・が、そこにたどり着く前に火球と雷撃の攻撃を受ける。エストとリーフの魔法だ。


「クソ! 雑魚がうっとおしいんだよ!」


 そういって、腰の剣を引き抜いたバティスタが雷撃を放ったリーフに向かって切りかかるが、リーフが自身の剣で受け止める。その後、互いの剣戟音が周囲に響き渡る。


 ウラヌスは黒い魔力球を生み出し、投げつけるとそれがエストに命中してしまう。どうやら魔力球自体のダメージはほとんどなかったようだが、そもそも魔力球の目的がダメージを与えることには無かったようだ。直後、空に浮く力が無くなり落下を始めるエスト。もしかしたら魔力の使用を阻害する効果があったのかもしれない。悲鳴を上げながら落下していくエストであったが、地面に激突する前にカペラによって受け止められる。


「・・・助かったよ、カペラ。」


「一回地面に降りるよ。」


 そういって一足先に地面に降り立とうとした2人であるが、ウラヌスが追って来ていた。エストを抱えた状態ではカペラも攻撃は出来ない。そこを狙ってきたのだ。


「この至近距離で避けられるかな? ファイアボール!」


 もう逃げられない2人は身を縮こませるだけだったが、いつの間にか間に入っていたレグルスが左手で火球を払うと、ウラヌスの鳩尾に向かって右の拳を叩き込む。直後下にある氷に向かって血反吐を吐くウラヌス。その間にもウラヌスの背後に回っていたレグルスが、ウラヌスの後頭部を全力で殴ると、自由落下の数十倍の速さで下の氷塊に激突した。しばらく観察しているとわずかに氷に赤い色が滲んできた。そこから感じる魔力も徐々に消えていき・・・完全になくなったのである。


 一方、リーフとバティスタの一騎打ちはバティスタに分があったのだが、ここにカノーが先ほどウラヌスが放ったような魔力球をバティスタへぶつける。


「フン、こんなもの痛くも痒くもないわ! 一体何のつもりだ! って、・・・おのれ!!」


 カノーが放った魔法は体力弱体化の魔法である。途端に動きが鈍くなったバティスタをリーフの剣が捉える。


「グアッ!!」


 断末魔は最後まで続かなかった。叫び声の途中でそれを言うことすらできなくなった。リーフの一撃で一刀両断されたバティスタだったものは、左右に分かれて別々に落下していく。


 レグルス達が2柱の悪魔を屠っている間にヘリコプターは無事着陸することが出来た。そこから残りのメンバーも地上に降りてくる。


「みんな大丈夫か?」


 ラークが心配だったのか声を掛けてくるが、


「悪魔2柱だったが、何とか倒せたよ。一応エストを頼む。魔力を封じられたようでな。」


 さっきの魔力球でうまく魔法が使えなくなっているエストをミリアムが治療し始める。そして、問題の魔法陣の方をみると一人の人物が魔力を注ぎ続けているようだ。・・・あれはマルローか? それとは別に、もう一人の人物がこちらに近づいてくる。・・・そして話かけて来た。


「我らの邪魔をしてきたのは貴様らだな?」


 そう言われて誰も頷いたりはしていないのだが、自分たちの表情はそれを肯定していたのだろう。この人物(?)にとってはそれで十分だったようだ。そしてレグルス達にとっても、この物言いで、誰なのかも想像がついてしまった。


「我はゲルザード。・・・こうしてみるとどいつもこいつも良い面構えをしている。もし降伏するのなら特別に命だけは助けてやっても良いぞ? まあ、ペットとしてであるが。」


 当然であるが、そんな話に乗る者はいなく、相手をただ睨みつけるのみである。


「フン、まあそうであろうな。・・・だが、以前のようにただ封印されるだけと思うなよ?」


 そう言うや否や、闇の衣がゲルザードを包み込むと、その輪郭が歪み始める。・・・正体を現すのだろう。それを黙ってみているレグルス達ではない。ラルフは切りかかり、リーフは光魔法しゃいシャイニングピラーで攻撃するも闇の衣が邪魔をして、攻撃を悉く受け付けない。・・・そうこうしているうちに、巨大化し本来の龍の形に姿を変えたのだ。全長30mはある黒い龍である。宙に浮いて今は蜷局を巻いている。


 邪神の召喚の阻止はこの一戦に掛かっている。プレッシャーから唾を飲み込むリーフであった。


 





 

 






次回は7/28(日)です。諸事情により、少しお待たせしますがよろしくお願いします。

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