表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第10章 封印された土竜
85/102

カミングアウト

1734年 8/13


 ジャンナ王国への大襲撃を防ぐことに成功したレグルス達は、立役者であるコーネリアから事情を聴くため、一時的に彼女の屋敷に戻ってきていた。コーネリアには、道中、今までどう過ごしてきたか等世間話的に話を聞いていたりするのだが、少なくとも、特に魔法の勉強をしていないと話していた。ところが実際は、これまで見たことも聞いたことも無い魔法によって、20万程いたであろう飛竜で構成された軍がガタガタになったのである。


 そもそも、あの魔法は何だったのか? 恐らくとてつもない魔力量が消費されているだろう。それに関しては、あの娘が凄いという一言で片が付いてしまうのだが、問題は、恐らくだが歴史上誰も使ったことがないであろう大魔法を、あの場であっさり使って見せたことである。本好きが高じて、色々なジャンルに幅広い知識を持つレグルスも、恐らくは土魔法なのだろうが、空から山を丸ごと燃え上がらせながら落とすといった魔法はどの書物にも記載されていなかったことを記憶している。それゆえに、人類初であの魔法を使ったこの娘はいったい何者だろうか? といった疑問も出てきたのである。


 そして、コーネリアはどうしてあの魔法が使えたのか? あっさり使っていたし、連発もしていた。そのことからも、元々知っていたと解釈するしかなく、であるならばどこでそれを知ったのか? 今まで誰も使ったことも無い魔法を。そう考えると疑問は尽きないのであった。それに旅先では、魔法の勉強は語気基本的なことしかやったことがないとか話していた。状況的に嘘をついていたと考えるしかないのである。


 とはいえ、別に、何気なくしていた話であるので、必ずしも正直に話さなけらばいけないということも別にないのであるが、そんなことで嘘を言ってもメリットは無さそうである。あの魔法は隠さなけらば行けなかったのか? それとも別な事情があったのか? 一同素直に聞いてみたいと考えたわけである。


 屋敷に戻って、セバスチャンに事の顛末を話すと、コーネリアの無双ぶりに、目を丸くして驚いていた。ということはセバスチャンも彼女のあの魔法のことは分かっていなかったらしい。先ほど土精霊のペンダントを渡すとき土魔法の能力があるとか言っていたが、もしかしたら想定を大きく超えていたのかもしれない。


 セバスチャンが入れてくれたお茶をすすりながら、コーネリアに質問していくレグルス達。まずはレグルスが1つ目の質問をする。


「あの魔法はいったい何だ? あんなのがあるとは、俺は初めて知ったんだが・・・」


「何から言えばいいかしらね? まず、あの魔法はメテオ。土魔法で、ある程度、この星まで岩石塊を転移魔法で引き寄せた後、それにかかる重力を一気に増大させて落下させる魔法よ。そうしたら、落下による大気との摩擦で発熱し火球となるわけ。」


 少しでも魔法の知識のある面々は、これだけで驚愕である。セバスチャンも驚いているようだ。完全に理解できないラルフだけは驚愕ポイントが分からないらしくキョトンとしているが。


「いつからあの魔法を使えたの?」


 エストのシンプルな質問である。それに対するコーネリアの返答は答えにくそうであった。


「難しい質問ね。あの魔法が頭に入ったのも、使えるようになったのも割とごく最近。コーネリアとしてはね。」


「? どうゆうことよ? 最近使えるようになったってのは分かったけど、その後のは・・・」


「いや、エスト、本当に分かるのか? ある日突然使えるようになったんだぞ? 不思議でしょうがねぇよ?!」


 エストはコーネリアの最後の言い方に引っ掛かりを覚えたようだが、レグルス的には発言すべてがツッコミどころ満載なようだ。


「・・・あぁ、これじゃ全然わからないよね。でも嘘も言ってないよ。ついでに行っておくと、旅の道中で魔法の勉強はあまりしてないとか自分で言っていたけど、それも本当。ある時突然目覚めたんだけど、その切欠があるの。」


「ふむ。やっぱり、あの襲撃が関係してるのかな?」


 ラークが言うのは、コーネリア自身が飛竜に襲撃を受けたあの一件。それのショックか何かと考えたのだが・・・


「半分は正解ね。どうやら、あの襲撃によって、私の前世の記憶が蘇ったみたいなの。」

 

「前世?」


 アレクが聞き返してしまったが、この辺は皆に多様な感想だろう。


「そうね、前世では21歳。親からもらった名はマーニャ。結局死んじゃうんだけど、生前は魔法のことは得意で土魔法はそれなりに得意だったわよ? だから前世の記憶とともに、魔法の知識も思い出したってとこかしら。」


「へー、話には聞いたことがあるけど、本当に転生者っているんだね? 僕も初めてであったよ。」


「カノーさん、転生者って何ですか?」


 リーフが言葉の意味を聞いてくるが、


「ああ、どこかの世界で人生を終えた人が、別の世界で生まれ変わることだよ。ごく稀に、その時の記憶を持ったまま転生する人もいて、そういう人が転生者って呼ばれてるね。たまにいるらしいけど、僕は初めて会ったよ。」


 話をちゃんと聞いていた者は、カノーの説明で腑に落ちた。このことをすべて信じるならば、矛盾は無くすべてつじつまが合う。


「だからね、さっきのメテオとか他にもあるんだけど、前世の私であるマーニャが使えた魔法なのよ。そして、聞かれる前に言うけど、私はそういうわけで、21+10歳ってわけ。まあ、ついこないだまで、前世の記憶なんかは無かったから、旅に出る前の私は本当に子供っぽかったはずよ。ね? セバスチャン?」


「そうでございますな。ですから、お戻りになられたときは本当に驚きましたぞ。まあ、その後は先ほどのことを話していただけたので納得ですが。」


 前世の記憶に関しては先に使用人たちには話していたらしい。・・・コーネリアの話の続きがあるようだ。


「でね、以前の世界のこととかも思い出したのだけど、前に今この世界で行われている侵略について話していたわよね?」


 何のことを話そうとしているのか、続きを待つレグルス達。


「以前、この世界の侵略者、魔王ヴィトのことを話していたわよね。・・・前世の私の父親の名前がヴィトだったのよ。で、当時私に異世界転移の方法の発見とか話していたことがあるし、恐らくは同一人物だと思う。」


 流石に全員驚愕である。ラルフも食い入るように見つめだした。特にコトナ村出身の者にとっては聞きずてならない話である。そんな中エストが、


「いや、名前が偶々同じってだけとかは?」


 と聞いてくるが、


「いえ、ヴィトに関する情報源がライズって人だって言ってたでしょ? それが決め手よ。 だって、ライズって父の秘書官してた人だから、これで別人だったら、どんだけ偶然重なったんだって話になるし。」


 ここまで言われれば、それを信じて話を進めるしかないだろう。今目の前には、ヴィトの娘の生まれ変わりがいるのである。


「とりあえず、レグルス達の意見は置いておいて、ネリアはどうしたいの?」


 カノーはコーネリアにここまで自分に不都合な情報も含めて提供した真意を聞こうとする。


「私はモリソンの娘コーネリアであるとともに、ヴィトの娘マーニャの記憶も持っている。正直言うと、父のことを助けてあげたいとは思うけど、この世界でやったことを思うとね・・・できることなら、一度助けたうえで、その責任は取らせたいかな。その時はどんな刑でも受けさせる。少なくともそれを見守るためについていきたいと思う。」


 ラークは難しい顔をしている。何せ両親を亡くしたばかりの10歳の女の子には違いないのだ。ラルフは本来の大人のマーニャであったなら、本当は責任などなくても、親の不始末を問いただしていたところである。だが、小さな少女相手にすることではないので自重するべきだが、その中身は21歳の大人である。そんな訳で感情の制御がうまくいっていない。他の者も悩ましげだ。そんな中、


『まあまあ、つれていってやったらええやんか?』


「何だ? ゲン、突然何言ってやがる?」


『レグなあ、さっきの隕石魔法を見たやろ? 戦力になるで?』


『でも、子供を戦地に連れて行ってもいいのか?』


『中身大人やけどな?』


『・・・確かにそうだが・・・』


『実際何が問題や? 戦う力がある。大人の考え方ができる。侵略してきた異世界人の事情も知ってる。これ以上ない人材と思うんやけどなぁ?』


 一応、パーティのリーダーのようになっているラークはまだ悩んでいるようだ。


「連れて行ってあげてくれませんか?」


 セバスチャンであった。さらに続けて言うには、


「両親に先立たれたばかりのコーネリア様にとって縁のある人物がどうなるかを見届けられるかどうかなのです。ご両親ならやりたいようにさせるはずです。それにこの屋敷で一人でいるよりは皆様とともにあったほうがいいとも思いますし、何より土術師必要ですよね?」


 レグルスが、「ウッ」と声を漏らす。 実際、土術師は必要であり、目の前には土精霊のペンダント付きでいるのである。


『能力はワイが保証するで。この娘でええやん? つれていこ?』


「何でゲンに分かるんだよ?」


 コーネリアもそれとは別にゲンに言いたいことがあったようだ。


「以前、それとなく話してくれるとか言ってたのに、実は全然話なんかしてなかったでしょ? 誰も事前に話なんか聞いてないって感じだし。」


 レグルスは、 前から話聞いてたのかよ! って突っ込みたそうな顔をしている。 


『しようとは思ったんよ? せやけどな、自然とペンダントのある方向に向かってるし、こっちが説明する必要もない状況に勝手になっていくしで、話すのやめたんや。』


 しれっと、そんなことを言うゲン。って、今聞き捨てならないことを言ったな?


「ゲン、土精霊のペンダントのあるところ分かってたのか?」


『いや、分からんけども、どの辺にあるかとかは感じるんや?』


「! だったら、これまでの旅も教えてくれたら大分楽だったんじゃ・・・」


『ああ、ちなみに分かるのは土だけな。・・・さっきのネリアの能力の話も、土だから分かるんや。他のはよう分からへん。』


「だから、何でそんなことが分かるんだよ?!」


「そんなのは、ワイが土竜の眷属だからに決まってるやないか?」


「・・・「「はぁ?!」」・・・」


 今更のカミングアウトである。・・・ちょっと待て。


「お前。最初に話しかけてきたとき、ベヒモスの皮剥いで作られたって言ってなかったか?」


『そういやそうやったな。皮剥いで作ったって部分は正直その方が分かりやすって思ったからなんやが、それ以外の話は特に嘘は含んでないで。・・・まあ、正確でもないんやが。』


「聞こう!」


『レグ、笑顔がめっちゃ怖いねん。・・・まあ、難しい話でもないんやが、ワイらがいた魔界で、ゲルザードのやつがワイを洗脳してな。こっちの世界に連れて来たんや。その時に勇者カミュの一行と戦って、最後はガイルのオッサンに倒されたんや。その時に正気に戻ってな。以前よりこっちの世界に来ていた土竜様にも命じられてな、体を手袋に変化させて協力していたんよ。あ、勝手に元の姿に戻ったりしないからそこは安心してええで。ワイもまだ手袋のままでおるつもりやさかいに。』


 まあ、ようするに皮剥いで作られたってのがが勢いに任せたホラで、正しくは自ら変化したってとこか。よく考えたら、ベヒモスが死んだ後の革が意志を持つよりよっぽど腑に落ちる話ではある。どうりで、他の精霊竜と面識があるわけである。


『ワイの話はもうええやろ? それよりもネリアの話や。』


「俺は今の話を聞いて深く考えるのが嫌になった。ネリアちゃんの同行でいいよ。」


「まあ、私は元より反対ではないしね。」


「私もですわね。・・・一緒に頑張りましょう。」


 レグルス、カペラ、ミリアムの返答である。


「・・・正直複雑だが、どっちにしろアンタには罪は無いしな。俺も構わないぜ。」


「僕もどっちでもいいよ。来るなら歓迎するよ。」


「僕も反対ではないですよ。でも危険ですから連れて行っていいのか不安なだけで。」


 ラルフ、アレク、リーフも反対はしないようだ。


「・・・分かった。動向を許可する。でも、自分の今の年齢を考えた行動をお願いするよ。」


 最後にラークが折れた。この瞬間にコーネリア(マーニャ)のパーティ加入が決まったのであった。


「ってことは、これで、ピラミッドへ行く条件はすべてそろったことになるな。」


「そうね、あとはピラミッド内にある土の宝玉を探し出して、土竜の封印を解除するだけね。」


 レグルス、エストがこんなことを言い出し、今すぐにでも旅立ちそうな勢いであったが、


「・・・お急ぎの旅でしょうが、一泊ゆっくりする時間はございますでしょう? もう夕暮れですし、今日はここでお泊り下さいませ。」


 セバスチャンの一言で今の時間を思い出す2人。結局モリソン邸に一泊し翌日ヘスベリス王国にあるピラミッドを目指すのだった。


 

 

あんまり話が進みませんでしたが、本日はここまでで。 次回は7/10です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ