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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第2章 シュネー村での日々
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偶然の遭遇。救助。そして村到着。

今日2話目です。前の話がまだな方は是非そちらからどうぞ。

 瞼の外側に光を感じる。朝か。目を覚ますと、いつもと違う光景、見渡す限りのジャングル。そういえばと昨日起きたことを思い出す。少し寝ぼけていたようだ。立ち上がり、ぐっと背伸びする。時間は午前6:30といったところか。


『おう!起きたな、レグ! まだ早いが準備ができたらさっさと移動したほうがええで。』


 昨日もいできた、ヤシの実を食べた後、また歩き始める。今日は、歩いていれば村に着くことは確実なので、初めて行くところの分、緊張はするけど、悲壮感はない。道中ゲンジ君と馬鹿話をしながら(無言で歩いていると拗ねるので)、歩を進めること3時間。


『なんか、よろしくない気配を感じるで、前方50mほどや。これは魔物やな。しかも今にも消えそうな人の気配も感じる。これヤバいんとちゃう?』


 それ、襲われてるよ!急がないと!そう思って、木々をうまくかわしながらダッシュすること十数秒。

虎っぽい魔獣が、若い男性に前足を乗せている。今にも噛みつくかもしれない。


「ファイアボール!」 

 

 唱えた火魔法が、魔獣に命中する。魔獣、あれは・・・ブラックパンサーか?・・・こちらに気づいたな。このレベルの魔法ではほぼノーダメージのようだ。あ、こっちに向かってきた!右前足を振りかぶり、僕に振り下ろしてくるが、それはかわす。直後迫ってきて、僕に噛みつこうとするがこれもかわす。と思いきや、僕の服に引っ掛かり少し破れた。コイツ、早い。


 速度の補正がついてるはずの僕に十分ついてくるソレ。危険ではあるが、どうしても昨日襲ってきたドラゴンなどと比べてしまう。おかげで落ち着いて考えて行動できてる。よし。


【フラッシュ】の魔法を使って、目くらましを試みる。・・・うまくいったようだ。両手で顔を抑えている。・・・できるかどうか試してみるか。・・・昨日の再現である。両手を前に突き出し、掌に力というか、体のエネルギーが集中するように意識する。っとあんまりやりすぎると僕がやばいんだったな。集まったそれを放出するようにイメージ!・・・力を入れる。・・・うまくいった!輝く光の束が、ブラックパンサーを直撃。ソイツがいたところから10m程奥が抉れている。・・・力調整もうまくいったようだ。すかさず自分に回復魔法をかけておく。


『やるやん! うまく使いこなしてるんとちゃう?』 とゲンジ君にお褒めの言葉をいただいた。うむ。急いで、倒れている人のところへ向かう。早く治療をしないと・・・


「ヒール!」


 腹部や太ももについていた傷は何とか無くなったようだ。血も結構流したようだけど・・・あまりにも出血多量の場合には、魔法でも回復させるのに時間がかかる場合があるのである。心配そうに見ていると、


「うっ」


 よかった。目が覚めたようだ。若干のだるさは残っているものの、特に問題はないみたいだ。


「君のおかげで助かったよ。君は強いんだね。あの魔物はギルドでA-に分類される魔物のはずなんだけどね。とにかくありがとう。俺はマルコっていうんだ。この近くの村の住人だよ。そういえば、君は見かけない顔だね。旅人?・・・冒険者かな?・・・その割には随分若いようだけど?」


 そこで、昨日起きたことを話し、今集落を探していることを説明する。


「・・・それは大変お気の毒な話だね。・・・こんなの恩返しにもならないけど、村に案内するよ。シュネー村っていうんだけど、村長ならきっと力になってくれる。」


 よかった。村人だったんだ。これで迷わずに村へ行けるな。そう思いながら、案内されて歩くことさらに5時間、途中危険な魔物に遭遇することもなく、無事シュネー村に到着。




 


 村についてすぐ、マルコさんは村長の家に案内してくれた。そこで先ほどのいきさつを話してくれた。ついでに自己紹介をしておく。


「うちの村人の命を救っていただいて感謝ですじゃ。わしは村長をやっておる【ホセ】と申す。そこにいるのはうちのかみさんの【イルザ】じゃ。・・・で、レグルス君、こんな辺鄙な村にいかような用があっていらしたのかな?」


 そこで、昨日のコトナ村の襲撃、自分の転移失敗でこのガイアナ島に来てしまって、彷徨っていたことを話す。


「できれば、数日の間こちらにいさせてもらって、準備でき次第もう一度転移を試して、王都イザヴェラに行きたいと思います。よろしければ、数日間だけでもお願いできますか?」


 「ううむ。・・・」

 

 何か考えていらっしゃる。勝手にお邪するとか言って、図々しかったかなと心配するが、


「いや、うちに泊めるのは、やぶさかではないのだが・・・今回の一件はもっと大ごとじゃぞ。おそらく王都に行ったところで、長く戦渦にさらされることじゃろう。ここの方がはるかに安全じゃろう。うむ、やはりこの村に居続けるべきじゃ。是非そうしなさい。そうじゃ。いつまでも居候じゃ居心地が悪かろう。レグルス君が住む家を建ててあげよう。ちょっと村の中心からは外れているが、そう不便でもあるまい。家が建つまでの間はわしのとこで面倒を見よう。もちろん必要があれば援助はするぞ。どうじゃ・・・」


 うちの両親は多分無事だ。父さんは転移魔法の達人だし、万に一つの失敗もないはず。だとすれば、きっと僕のことを心配してる。それに家建ててもらうとかさすがに恐縮してしまう。などと思っていると、


「親御さんのことなら心配することはないぞ。この村にだって郵便の仕組みはある。 だったらここにいると手紙を出せばよいのじゃ。 さっきのお前さんの話じゃと、親御さんの方からこっちに来てくれるのではないかね? それにな、わざわざ成功するかどうかわからない転移魔法を使うリスクは請け負う必要ないじゃろ? 家のことは遠慮はいらん。むしろこちらが感謝せねばならんのだ。大体子供が遠慮なんかするもんじゃないぞ? どうしてもというなら、この村にもギルドがある。生活に必要なお金を稼ぐのには特に困らないじゃろうて。」


 むむ、と尤もなご意見に、どうしようか迷っていると、ゲンジ君からの念話がはいる。


『御厄介になったらいいやん? 今のレグはまだ半人前やしな。足引っ張ってしまうで。 それに、ここにいたほうが親御さんもきっと安心すると思うわ。襲ってきたのは、ドラゴン100だけじゃないんやろ? むしろ王国の方がやばいわ。攻め滅ぼされるんとちゃう? ここならば多分だが、わざわざ襲われることもないとちゃうか?』 縁起でもないこと言うなや。でもここなら安全かな?確かに。決めた!


「では御厄介になります、よろしくお願いします。村長。」




 その後は、さっそく両親あての手紙を書かせてもらい、すかさず王都イザヴェラに転送してもらう。その後、イルザさんがお風呂を沸かしてくれたので、有難くいただく。息子さんのお下がりがまだ残っていたのか、それを貸してもらう。(後日結局いただく形になってしまった。)その後、夕食までいただきまったりしていると、村長家のにお客さんが来た、って父さん?!もう転移してきたの?


「夜分遅くに失礼いたします。私はアスクと申します。何かうちの息子がお世話になっているとかで、お邪魔させていただいたのですが・・・」


「村長のホセです。息子さんいらしてますよ。レグルス君!」


父さんに突っ込んでいく僕。たった1日半なのに随分会っていない気がする。父さんも「本当に良かった。」と言って泣いてる。心配かけたなぁ。横を見たら母さんもいた。そりゃ一緒に来るよね。


「母のシュリーです。息子がお世話になって本当にありがとうございました。」


「お世話になったのはこちらなのですよ。こちらは少しでも受けた恩をお返していただけなのです。」


 その後、今回の一件を詳細に村長に報告するうちの両親。僕が知らなかった王国の現状も隠すことなく話しているようだ。やはり村長の読み通り、王国も危険な場所には変わりないようだ。数日後攻撃を受けてもおかしくない状況らしい。軍がいるからしのげるとは思うけど。今後のことについて細かく話を詰めていく大人たち。

 ・

 ・

 ・

「わかりました。息子のことはホセさんにお任せします。よろしくお願いします。」頭を下げる両親。


「お任せください。」と村長。


 その後、いくらか話をした後2人は、再び転移魔法で帰っていった。



 その日から村長宅でお世話になり、1週間後僕の家が完成した。湿気防止のため、床がとても高く、風通しもいい構造になっている。屋根はヤシの葉などが敷き詰められ、しっかり固定されているようだ。一応雨漏りなんかは一切ないらしい。熱帯地域特有の住居という佇まいである。この日は再び両親も来ていて、必要な家財道具をいくつか持ってきてくれたらしい。お土産に本も数冊あった。これが一番うれしかった。


「皆さんにあまり迷惑をかけるんじゃないぞ。」「体には気を付けてね。」とそれぞれ言って、両親は帰っていった。




 さて、村長と両親の話し合いで、まず両親はいくらか仕送りをくれるらしい。今日もそれを持ってきた。ただ向こうも戦時下でギリギリでやっているので十分にはもらえない。そこで、僕自身の修行もかねてギルドに登録することにした。ということでシュネー村ギルドに顔を出す。


「すみません!登録に来たのですが?」


「はいよ。じゃ、ステータスボードをここにかざしてごらん?」


 受付のおばちゃんが対応してくれた。カウンターにステータスボードと似たような、少し大きめの画面がある。そこに僕のステータスボードを当てると・・・読み取ったようだ。


「はい、登録完了したよ。さっそく依頼受けていくかい?」


「今日はやめておきます。部屋の片づけもあるので。明日からよろしくお願いいたします。」


「そうかい? それじゃ頑張るんだよ?」


 その後部屋に戻り、もらった家財道具を配置していく。もちろん本棚も。超重要である。早速本も収納していく。すべての家財道具を並べ終わるともう夕方になっていた。


 夕飯でも作るか。今日は近所の人に貰った、オークのばら肉がある。野菜も買ってきたので、夕飯のメニューはオーク汁である。野菜を切って、沸騰した鍋にぶち込む。煮えてきたら、オークのばら肉をぶち込んでされに煮込む。出てきた灰汁を取り除き、そこで仕上げの味噌という僕の村では見なかった調味料を使ってみる。村長の家でごちそうになったとき美味しかったので、自分でもチャレンジしてみる。うん、すごくいい匂いだ。並行して炊いていたご飯もいい塩梅に蒸れている。こっちでは主食は米みたい。僕はパンでもご飯でもどっちでもいける。




 「いただきます。」 完成したオーク汁を口の中に入れ、・・・うんまい・・・わかってたけどご飯に合うね、これ・・・・・・完食。


 あとは、本でも読んで、夜も更けてから就寝。明日からは、ギルドの依頼頑張るぞ。




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