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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第9章 闇竜とエルフィン王国に迫る危機
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幕間1 レムリア大陸の歴史と土竜

 レグルス達はシュネー村に帰ってきました。その中で語られるという形での、レムリア大陸の歴史です。堅めの話ですがよろしければどうぞ。

1734年 6/23


 昨日、闇竜との精霊竜の儀式を終えて、新たな仲間のカノーを加えてシュネー村に転移してきたレグルス一行。村の広場に転移場所を定めていたのだが、偶々ホセ村長やヤン師匠が談笑している最中、目の前に突然現れたために、大変驚かせてしまった。特に一緒にいた、村長の奥さんのイルザさんは腰を抜かしてしまい、レグルスはヤン師匠にきっちり焼きを入れられたわけである。比較的傍にいたギルドマスターのスネイルさんと受付嬢のアンネさんはそれを見て大爆笑していたが。


 そんな感じで、騒動を起こしつつも、再会を喜ぶレグルスと村人たち。カペラもここのところ激動の動きのせいでここに様子を見に戻ってきてはいなかったので、ユーフィと会うのも久しぶりだったりする。


 こんな状態で、すぐにレムリア大陸に移動するわけもなく、元々2,3日ゆっくりするつもりだったこともあり、だったら宴会でもするかという流れになった。




 そんな訳で、夕方より宴会が始まった。ほぼ村人全員で騒いでいる。しばらくはレグルスは村人たちのところを回っては絡まれ続けていたし、カペラはユーフィと一緒に主に女性陣にいじられていた。他のメンバーもそれぞれで楽しんでいたのだが、会が始まってから3時間もすると、自然とパーティメンバーがそろって固まっていた。


「リーフはイメージ通りだけど、ラークって随分飲むのね。」


 リーフは先日15歳になったばかりである。別に酒を飲んではならないということは無いが、単に飲みなれていないせいか、エールをジョッキで2杯程飲んだ後はソフトドリンクを飲んでいたりする。に対してラークは酒ならなんでもござれとグビグビいっている。流石に飲みすぎかと思いここまでミリアムが引っ張ってきたのである。


「諸外国とのやり取りでお酒が入ることは多いからね。そりゃ鍛えたよ。だから、この程度で正体を無くしたりはしないさ。」


 平然としたものである。逆にレグルスは過去にやらかしているので、自分のペースを守ってゆっくり飲んでいるのだが。


「でも、お酒って鍛えたら飲めるようになったりするの?」


 エストが尤もな疑問を口にする。


「ならないんじゃないかな? 強い人は強い、弱い人が飲んでも無駄だと思うよ?」


 アレクがそう答えると、


「雪国育ちは酒が強いっていうしね。そういえば、カノーはどうなの?」


 ラークは確かに雪国の王族であるので、カテゴライズとしては間違っちゃいなが・・・そう思いつつカペラはカノーに話を振ってみる。


「いや、そもそもエルフはお酒飲まないから。街とかにおいてあるのは殆ど観光客用だよ?」


 こんな感じで適当な話をしていたところ、珍しくラルフから真面目な話をされる。


「俺たちはこれからレムリア大陸に行くんだよな? 封印された土竜を探すって言ってもどこに行けばいいんだか・・・」


「そういえば、私、レムリア大陸のことってよく知らないわ。」


「確かいくつかの国に分かれているんだっけ?」


「で、戦争やってるんだよな?」


 エスト、カペラ、ラルフが分からないなりに思ったことを口にする。レグルスはこれを聞いて皆が全員知っている前提で話を進めていたのだと気が付いてしまった。ラーク、ミリアム、リーフは王族だけあって世界情勢に疎いということは無いから、説明をしなければならないのはこの3名のようだ。ちなみに実は圧倒的に最年長のカノーに聞いてみたところ、世界情勢は最低限は知っているらしい。


「じゃ、知っている人も確認のつもりで聞いてくれ。」


 そう言ってレグルスが昔歴史書を読んで知っていたことを話始めたのであるが、その内容は以下の通りである。




 レムリア大陸は、ユグドラル大陸、アースガルド大陸に次ぐ3番目に大きな大陸であり、ガイアナ島とドヴェルグ王国の南に位置する、東西には11000㎞、南北には西側が4000㎞弱、東側が1000㎞程の東西に長い大陸である。大陸西北部を除いて、ほぼ全域が温帯域に属しているのだが、東側3分の1は、ムーラ砂漠という広大な砂漠地帯になってしまっている。


 大陸の西側半分で全体の3分の2を占めており、西側に厚い印象のあるこの大陸は、西端から南東方向に走るジャンナ山脈と大陸の中間地点で南北に走るヘスベル山脈によって地形的に分かれており、現在はジャンナ王国、アルカディア王国、ヘスベリス王国が収めている。が、この状況になったのは、実はそれほど昔の出来事ではなかったりする。




 人類の文明が発祥したのがユグドラル大陸である。そのユグドラル大陸の中に、イザヴェル、グリバール、ミズガルム、ドヴェルグ、イースが現在の国境を確立したのが、イザヴェル王国歴でいうところの、900年頃である。その当時のレムリア大陸はというと、完全に無人の大陸であった。ここに比較的近いガイアナ島には当時からわずかではあるが人が住んでいたことを考えれば、大きな謎の一つであるが、当時のレムリア大陸は野生の魔獣や動物の楽園であった。精霊竜の一種である土竜もこの頃にはレムリア大陸にいたと言われている。


 この大陸の転機は、やはり魔王ゲルザードによる、第1次イザヴェル王国の滅亡であろう。王国歴1056年のことであった。現在のイザヴェル王国はその後しばらくして復興した後の王国である。そのゲルザードを討伐するべく立ち上がった、後に勇者と呼ばれるカミュと呼ばれる男が力を求めて世界中を旅してまわり、やがてこのレムリア大陸を訪れる。


 勇者カミュは、無事土竜を探し当て、力を得て、やがて魔王ゲルザードを封印することに成功するわけだが、それとは別に、勇者カミュによって、レムリア大陸の恵まれた環境が広められると、人々はこぞって新天地であるレムリア大陸に移り住むようになった。そして、1089年にレムリア王国が建国されるのである。




 時代が移り、1514年のことである。それまで全土にわたって肥沃な土地であったレムリア大陸であったが東方地域で降水量が極端に減り始め、その年は農業生産が不作に終わる。それが数年間続き、東方地域は砂漠化が進行し始める。餓死者も出始め、学者たちは原因を探そうとしたが当時それを見つけることは出来なかった。だが、当時の国王であったガレアは何故かそれが邪竜の仕業であると考え、軍を派遣し邪竜討伐に向かわせる。怒り狂った邪竜と称された竜によって軍は大きな被害を受けるが、ガレア王が軍とは別に派遣していた4人の魔術師がその竜を地下深くに封印することに成功する。


 4人の魔術師は王都レムルに帰還して報告を行った際、その結界を未来永劫に渡って張り続けるために、封印した地点の真上に、正四角錐型の建造物を建設することを提言する。これには中にある者の魔力を増幅する効果があり、結界を強固にするということで、国王ガレアは封印された竜を祀る施設としてピラミッドを建設する。




 ピラミッドは膨大な国費と20年という時間をかけて建設したのだが、砂漠化は寧ろ進行し東方地域では草一本生えてこない有様であった。この状況を見て、土竜の封印とピラミッド建設は無駄だったのでないかという考え方が生まれていった。そして、ピラミッドを建設するため、国民には重税が課され、建造のための労役にも駆り出されたため、レムリア大陸全土で不満が蓄積していった。


 そして、1539年、ガレアの甥にあたるアルカドに、彼の部下であったジャンとヘスバルが協力し、軍を懐柔した後、王都レムルを占拠。これによりレムリア王国は滅亡、アルカドは、アルカディア王国の建国を宣言する。その後、忠臣であったジャンとヘスパルは、当時まだ名前のなかった、ジャンナ山脈の東側とヘスベル山脈の西側の領主として任ぜられ、新しい体制を築いていこうとする。


 新体制になった際に、邪竜とされた竜が気候変動の原因でない可能性があるのだからと、ピラミッドの取り壊しと、その竜の開放を訴える派閥が発生し、最終的にその派閥の意見が優勢になる。そして、まずはピラミッドを破壊しようという運びになったのだが、問題が発生する。ピラミッド自体に結界が張られていて、何人も近づくことが出来なくなっていたのだ。その結界が誰の仕業であるかは現在も分かっていないが、これ以降、ピラミッドについて何かをしようとするものは出現しなくなった。




 さらに時代がたち、1598年にアルカディア王国に3代目の国王としてコレアが王位に就いた。彼は奸臣ムルドーによるそそのかしもあったと言われているが、世界史上稀に見る愚王であった。自らの贅沢のために国庫を浪費し、それは国家の運営に支障をきたすレベルに達する。その際にコレアはあっさり重税を課すことを決定するのである。さらにジャンナ領とヘスベリス領に対し特別徴収を実行したのである。これが1607年のことであった。


 これを受けて、ジャンナ領とヘスベリス領は王家に対して反旗を翻したため、ここから独立戦争が行われる。王家のアルカディア王国は東西に軍を分けての戦いを強いられ苦戦し、開戦から5年後の1612年に一応講和条約が締結され、東のジャンナ王国と西のヘスベリス王国が独立することになったのである。


 その後、コレア王は責任を取って退位するのだが、レムリア大陸の3国は、その後ことあるごとに戦争を繰り返してきた。現在1734までに、アルカディア=ジャンナ間が5回、アルカディア=ヘスベリス間が3回戦争が勃発しているが、計8回の戦争の理由がすべて一方が他方へ侵略を開始したということであるのだが、例えば第1次アルカディア=ジャンナ戦争の場合、アルカディア側はジャンナが侵略を、ジャンナ側はアルカディア側が侵略をと真逆のことを主張するのである。恐らくはどこかで情報が歪められているのだろうが、一部の歴史学者は両国侵略などしていないのに、何者かが両国に対して別の誤情報を流し戦争を仕向けたのではないかとさえ主張する学者までいる始末である。


 実は1700年代になってからは、大きな戦争は起きてはいない。が、3国の関係が改善されたわけでもなく、長らく冷戦状態となっている。だから、今の時点で戦争をやっているというのは間違った情報なのである。その間違った情報として誤解されるくらい3国の関係は悪いと言っていいのである。




 ここまで説明したところで、ラルフは完全に寝てしまった。キャパを大幅に超えてしまったらしい。エストとカペラは頑張って聞いてくれたようであるがちょっと辛そうだ。まあ、それは置いておくとしても、ここでのポイントは、邪竜=土竜ではないかという点である。勿論、そうである保証はないが、闇竜から聞いた、土竜が封印されたということと重なる点は多い。そのそも邪竜というのは歴史書での記述であり、それが土竜ではないという保証はないのである。したがって、最初に確認すべきはここであり、だとすれば最初の目的地はヘスベリス王国のピラミッドということになる。


「確かめなきゃならないことが沢山あるな。ピラミッド自体に施された封印の件、戦争が行われるたびに流されているだろう誤情報の件、その犯人が別々なのか、同一なのか。そしてその目的は?」


 ラークはこう言うが、彼は何者かによって3国が戦争をするように仕向けたと思っているようだ。しかもピラミッドを封印したのも、その前の時点での邪竜、たぶん土竜を封印するように仕向けたのもすべて同じグループの仕業と考えているようだ。レグルスも同じ考えだったりする。そして、そうしたのが一番疑わしいのは、ゲルザードの部下であるあの悪魔たちである。その可能性は消すことは出来ない。


「まずは行ってみてですね? 移動は3日後あたりですかね?」


「だな。向こうに着いたら、また激しく動き回ることになるだろうからな。今のうちに休息を取っておくのもいいだろうと思う。」


 ミリアムの確認にラークが答え、それを聞き寝てしまったもの以外、真剣な表情でうなずくのであった。そして、元の宴会の雰囲気に戻っていき、夜更けまで村人とともに大騒ぎするのであった。






 



 





 


 


 


 

 次回は魔王国側の動きをメインにいくつか書きたいと思います。本筋に戻るのはその次の73話からの予定です。章もそこから第10章にする予定です。で、次回更新は6/10です。

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