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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第9章 闇竜とエルフィン王国に迫る危機
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先日のエルフの少年

1734年 6/21


 レグルス達は、ミーミル湖の南側沿岸にあるエカナの街に来ていた。ここに来た目的は、嘗ての勇者カミュの仲間だったエルフの家を探すためである。勿論、この街がそうだというわけではない。とりあえず事前に聞いた凡その場所から最も近い大きな街がここだというだけである。


 そもそも当時の彼は、鬱蒼と茂った森の中に一人で住んでいたらしく、集落探しをしても無駄ということだった。それでも、その家が見つけられれば、そこで闇精霊のペンダントを発見できるかもしれない。


 そして彼の子孫が住んでいるのならば、その人が自分たちが求める闇魔法の使い手であるかもしれない。まあ、仮にいたとして、仲間になってくれる保証は無いし、ペンダントも譲ってくれるとも限らないのだが、そうだとしても儀式のときだけでも協力してもらえないかとは考えていたりする。


「レグ、エカナの街まで来たのは良いけど、これからどうするのよ?」


 エストがこう聞いてくるが、実際ここまで来なければ先に進めないから来たというだけなので、そこまでしっかりしたプランがあったわけではないのであるが、


「ある程度は情報を聞いてはいるが、何せ700年程前の情報だからな。ここで情報を集めるためにも、1日ここに泊まる予定だ。可能であれば、街の人に聞き込みとかしてくれると助かる。終わったら自由にしてもらっても構わないぞ。」


 嘗て勇者の仲間だったエルフが住んでいた場所はどこか? そしてその家はまだ存在するのか? そこに人は住んでいるのか? 等の情報が聞けるといいのだが・・・


 というわけで、ここから先は自由行動となった。ラークとミリアムは2人で、ラルフ、アレク、リーフ、カペラは4人で街を観光がてら聞き込みをしてくれるようだ。レグルスはエストを連れて図書館に向かうことにした。


「ねぇ、図書館に行って、そのエルフの家の場所とか分かるのかしら?」


「まあ、分かるとは限らないが、元々過去に存在した家を探したいんだ。歴史を記した本の中には、勇者の仲間が嘗てどこに住んでいたとか書かれていてもおかしくはないからな。それに他の情報も何かわかるかもしれない。」


 ほどほどに積もった雪道を歩き続けて10分程で、巨大な樹木にたどり着いた2人。巨大な樹木とはいっても、エッダ島にある世界樹には遠く及ばないのだが。それでも幹の直径は50m程はある大きさである。その根元にはドアが着いているが、どうやらここが図書館らしい。内部がすべてと思いきや、部屋があるのは表面から10m位のところまでで、一部屋はそこまでの大きさではなかったが、このような部屋が円状に配置されていてトータルでは結構な広さということになるのだろう。蔵書は部屋ごとにジャンル分けされていて探しやすそうである。


 入った部屋から4部屋左に移動すると、歴史関係の蔵書の部屋み来られたようだ。早速2人で手分けして必要な情報が書かれていそうな本を探していく。歴史書とはいっても、この国エルフィン王国史について記載しているものが多く、世界全体の歴史について簡単にまとめたものや、他国の歴史書、700年前のゲルザード関連の書物まで多数存在した。


「ねぇ、あった?」


「エルフィン王国史を見てみると、どの本にも賢者ヒューイの名前で記載があるな。当然だが、ゲルザードがこの国にどのような悪影響を与えたのかとか勇者たちがどう戦ったとか、その中での賢者ヒューイの活躍が書かれているが、住んでいた場所についてはさっらとしか書かれてはいないな。」


 ここエカナの街より南の森に住んでいたという情報は掛かれている。が、それは王都エルフィナでも得られた情報であり、そこまでは知っていたのである。


「そうよねぇ、・・・これどうかしら? 本の表題が、賢者ヒューイになってる。」


 どうやら彼の伝記のようだ。歴史上の人物の伝記もここに置かれていたようだ。ページを捲って確認していくと、・・・どうやら当たりのようだ。この街エカナを起点とした方角と距離、当時の家の様子、どのような暮らしをしていたのかが書かれてあった。


「・・・ここから南東に53㎞、一際大きい大樹をそのまま繰り抜いて家にして生活していたと。幼少期に孤児として育った彼は人嫌いになり、成人した後、誰もいない森の中で自給自足の生活をするようになった。その中で強大な魔力を身に付ける。魔王に狙われ、それを勇者に助けられることで仲間になり、魔王を封印することに成功すると、そのまま自宅に戻りそのまま隠遁生活。訪ねてくるものを弟子にすることもあったが、そのうちの一人の娘と恋に落ち、息子を授かる・・・と。」


「伝記だけあって、かなり詳しく書いてあるわね。・・・その息子を授かったのが今から400年前で、・・・その家は今でも残っているって。」


「ただこうも書かれているな。物珍しさに勝手に人が来訪しないように幻惑の魔法が家の周辺には施されていて、それを解除できない者とは会わなかったらしい。・・・流石人嫌い。」


「自分に合う資格があるのか選別していたんでしょうね。・・・性格悪いと思うけど。」


 書物からこれ以上情報を得られないだろうと思い、場所を移ることにした。少し歩くと、いい匂いをさせている喫茶店を見つけた。現在午後2時といったところであったが、今更ながら昼食を取っていなかったことを思い出した。


「ここで、飯でも食っていくか?」


 エストの同意を得られたので、そのまま入店する。


「いらっしゃいませ~。 何名様ですか? 2名ですね。 お席にご案内します。」


 ちょっと小さめだが、一応4人用の席のようだ。おかげでゆったりしている。周りを見渡してみると、ここが最後の空いている席だったようだ。中々繁盛しているようで何よりである。


「ご注文をお伺いします。」


「どうする?」


「任せるわ。」


「じゃ、トマトパスタ2つにお勧めのスープ2つ、食後に紅茶を頼む。」


「畏まりました~、ではごゆっくり。」


 そう言って店員が去っていった後、数分後にまた戻ってきた。もうお茶できたのかと思いきや、申し訳なさそうにこんなことを言う。


「お客様、・・・相席よろしいですか?」


 こう言われて嫌とは言えず、OKを出す。エストに隣に来てもらって、新たな客が空いた席に座る。エルフの少年である。


「何か2人きりのところごめんなさい。お邪魔します。」


 一言断って座ってきた。感じが悪い気はしない。いい子かも。


「・・・あれ、君って3週間前位に王都にいた?」


 エストがこんなことを言う。知り合いか?とか一瞬思ったが?


「・・・確かに行きましたね。それが何か?」


「貴方、王都の結界張るのに協力してくれた人!」


「・・・おお! そういえばあの時、魔獣たちの襲撃がありましたよね? 現場にいたのですか?」


「貴方が私の仲間に魔力を渡してくれて、それで結界が張れたんですよ。あの時はありがとうございます。」


 どうやら、あの時ミリアムに魔力を渡して結界を張るように促してくれた少年に奇跡的に再会できたようだ。


「ああ! あの綺麗なお姉さんのお仲間でしたか。 ごめんなさい。覚えていなくて。」


 横にいるエストの表情が一瞬こわばったのをレグルスは見逃さなかった。・・・その言い方だと、エストが綺麗ではないといっているのと同意である。現にそういう意味に受け取ったのだろう。笑顔は維持しているが、取り繕ってる感が半端ない。


「すみません、ご注文よろしいですか?」


「いつもので。」


「ハンバーグ定食ですね。畏まりました。」


 少年の注文を受けて去っていく店員。エストの機嫌が悪くなってしまったので、レグルスが代わりに話をする。


「君はよく王都の方にもいくのかい?」


「実はそうなんですよ。僕、普段は森の中に住んでいるから偶には買い物したり、美味しいもの食べたりしたいので、ここエカナや王都とかに遊びに来てるんですよ。さっき聞きそびれましたが、貴方もあの場にいたのですか?」


「いや、俺はことが終わってから戻ってきた感じかな。別に用があってね。そしたら、魔力を渡してくれた少年がいるって聞いて、どんな子かなと思っていたんだよ。」


「ははは、そうだったんですね。自分も結界魔法が使えるわけじゃなかったから、少しでも使える人がいて助かりましたよ。僕にできたのは魔力を分けること位でしたから。」


 そんな話をしているとこちらの料理が出来上がったようだ。パスタとスープが運ばれてきた。一言いただきますとだけ言って黙々と食べ始めたエスト。ちょっと怖い。


「そういえば、お二人はどうしてこちらに?」


「ああ、人探しみたいなものかな? ある人の家を探しに来たんだが、情報が少なくてね。」


「そっか、早く見つかるといいですね。」


「ああ、・・・お! 注文したものが来たみたいだよ。」


「お待ちどう様でした、ハンバーグ定食です。」


「・・・ここのデミグラスソース最高なんだよね。・・・いただきます。・・・うまい。」


 この国はエルフの国だけあって採食中心だが肉を食べないわけではないが、肉料理がおいしいお店というのも珍しいように感じる。何より、米が出てきたことに驚きを隠せない。


「・・・ああ、ここの米はガイアナ島のシュネー産ですよ。ここは寒すぎて米の栽培は出来ないので輸入品なんですが、きちんと保存しているのでちゃんと美味しいままなんですよ。」


「俺はそこで育ったので分かるが、あそこの米はうまいよな?」


「そうなんですよ! 一度気に入ったらもうやみつきで、この店来るたびにこれ食べてます。」


 そんな感じでとりとめのない会話をすること20分程、3人とも食事をし終えたところでエルフの少年が席を立った。


「それでは、僕はこの辺で。相席有難うございました。でわ。」


 そう言って、会計を済ませ店を出た少年。直後、やっと帰ったと言わんばっかりの表情をするエスト。


「・・・いや、仮にも自分たちを助けてくれた人に対してそれはどうなんだ・・・」


「私のこと不細工って言った! 絶対許さないんだから・・・」


 いや、不細工とは絶対に言ってない。ミリアムが綺麗だったとか、エストのことを覚えていないとかは行っていたが。こうは思っても、実際には口が裂けても言えないレグルス。後から運ばれてきた紅茶を飲みながら、機嫌がよくなるまで必死に眺めるのだった。




 宿に帰ってみると、他のメンバーは全員戻ってきていた。そのうち、ラークが気になる情報を聞き出していた。内容は、


「賢者ヒューイの孫が、この街や王都によく遊びに来るらしい。賢者本人とは違い、人嫌いとかではないそうだ。賢者の家に関しては、興味本位で探そうという者もいたそうだが、ほぼ全員迷った挙句、結局そのまま探せずに戻ってくるそうだ。」


 まあ、場所の情報はレグルス達の方が分かったほうだろう。それよりも新たに賢者の孫の情報が手に入ったという点が大きい。・・・他の4人に目を向けると、普通に目をそらした。・・・さては単に遊んでいやがったな!・・・ニャロメ! 


 そんなことを思いながらも、妙な引っ掛かりを覚えながらもそれが何かに気が付けないレグルスであった。


次回は6/3予定です。

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