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格闘聖職者の冒険譚  作者: 岩海苔おにぎり
第6章 霊峰ミズガルムと光龍。
45/102

霊峰ミズガルムへの襲撃。

1734年 3/26 


 再びハイドラードで一泊したレグルス達は、道具屋で光精霊のペンダントを受け取る。やはり、石を取り換えただけあって、光り方が全く違う。これなら、封印の儀式を執り行うことができるだろう。それとは別に、【この光精霊のペンダントの所有者を誰にするか?】という問題がある。候補者は、光魔法を使う、ミリアム、リーフ、レグルスである。エストも使えるが、エストにはすでに火精霊のペンダントがあるため除外だ。これまでは、偶々パーティに適性のある者がいたため問題なく決まったが、今回の候補者3人の中に適性があるものがいるかは不明である。


 まずレグルスが装備してみる。ステータスを確認しても、光魔法使用時の魔力アップという表示は特に出ない。続いてリーフも確かめるが、やはり特に変化はないようだ。勿論、2人とも光属性の攻撃に対する耐性とかは上がっていたが、これは適正者とは言えないだろう。・・・そして本命のミリアムであるが、・・・やはり、+光魔法使用時、魔力+3000、光属性攻撃無効の表示が出た。・・・予想通りというか、ミリアムが光精霊のペンダントの所有者になりそうだ。


 これで、精霊のペンダントは、火・氷・風・光の4種類がそろったことになる。このアクセサリーは、装備品として極めて強力なため、先行して装備がそろっていることは非常に助かる。ただ、封印の儀式は、霊峰ミズガルムでの儀式が終了したとしてまだ2つ。さらにあと4つこなさなけらばならない。まだまだ先は長そうだ。


 あとはロランの武器屋に行って、完成した武器を受け取る。・・・どの武器もやはり物がいいようだ。これで多少の戦力アップにはなるだろう。・・・あとはダグの防具屋だが、昨日素材を渡したばかりだから、完成はしていないはずだ。少なくともあと1週間はかかるといっていたしな。防具はまた後に取りに来ることにしよう。


 ということで、一気に転移魔法で霊峰ミズガルムにある光龍の住処にやってきた一行。早速、儀式に移ってもらう。


「お前たち、久しぶりじゃな。・・・何とか必要なものを揃えてきたようじゃな。・・・ペンダントは・・・そうか、そっちの嬢ちゃんにしたか。まあ、妥当なところかもな。早速だが、時間がない。やってしまうぞ。」


 光龍はそういうと、念じはじめ自分に光の魔力を集め始める。それに呼応して、ミリアムが持つ光精霊のペンダントが輝き、光龍の魔力をさらに増幅し、それがリーフに注ぎ込まれる。リーフは白色光に包まれる。・・・終了したようだ。


「これで、リーフに光の魔力を授けられた。・・・恐らくだが、リーフの使う光魔法の制御や威力は格段に上がっているであろう。今までまぐれでしか出来なかったことが出来るようになっているかもな。」


 そう言われたリーフは、右手に魔力を集め始める。・・・すると明るい光が急速に集まり始める。光魔法に適性があるリーフには、大きな変化を与えたようだ。・・・自分でも手ごたえを感じたのか、何だか嬉しそうだ。・・・む。


「レグルスよ。お前には感じたようだな。・・・今ここに、恐らくは敵であろうが、飛竜と思われる集団が飛んできているようだ。・・・余計な話はせずにすぐに儀式をしたのはこのためだ。・・・お前たちは早くここを立ち去ることだ。」


 光龍はこう言うが、だからといって、はいそうですかとここを立ち去るわけにもいくまい。・・・俺たちはここが襲撃されるのを知ってしまったのだから。周りを見ても、逃げたいものは誰もいないようだ。


「光龍よ。悪いが、あの一団を殲滅するのに協力させてもらう。ダメだといっても勝手にやるぞ。」


「ここで引いたら僕は勇者と名乗るのが恥ずかしくなります。」


「ここさえ凌げば、ネルヴァ大統領が対策を考えてくれるでしょう。だからここが踏ん張りどころです。」


「というか、貴方も戦ってくれのよね? 禿龍さん?」


「だから、禿龍言うなというとるだろ?」


「いや、フリかと思って。」


 レグルス、リーフ、ラーク、カペラの物言いである。・・・カペラはちょっとひどい気がするが、


「ええい、わかったわ。死んでも知らんぞ? 自己責任じゃ。」


 


 外に出てみると、思ったほどは数がいなかった。500程か。・・・とはいえ、光龍一体を仕留めるだけなら、過剰戦力なのか? だが、向こうからすると俺たちがいるのは計算外であろう。・・・竜の群れがだんだん近づいてくる。・・・!・・・一頭の竜に騎乗していたのは、この群れを率いているであろう男、マルローであった。・・・どうやら、敵は本気で光龍を殺るつもりだ。


 龍の群れが到着するや否や、全員が攻撃を開始する。・・・ラルフ、リーフ、カペラが3人で一頭にあたる。俺レグルスは一頭ずつ確実に葬っていく。遠距離から援護するのは、エスト、ミリアム、ラークである。グリベル襲撃時と比べ、数は少ないから皆危なげなく戦えている。・・・何より、新武器の威力が高いことが更にいい方向に向いているようだった。・・・それでも何頭かは光龍に群がっているようで、光龍のシャイニングブレスやテイルアタックを喰らっている。今のところは問題無さそうだ。


 ここで、マルローが動き始めた。あれを止めることが出来るのはレグルスしかいないため、レグルスが相対する。・・・マルローは本気を出しているのか、いないのか、のらりくらりと攻撃をかわされるレグルス。・・・その間に、マルローは魔法の詠唱を終えたようだ。・・・黒い塊がレグルスを襲い、全身を覆う。・・・どうやらこの黒い塊には体力を奪う効果があるようだ。直ちにやられるほどではないが、この黒い塊を払おうとしている隙を突かれ、マルローの連打を喰らう。


「あなたと戦ったのは初めてではないものですから。 少しはこちらも研究するのですよ。 これが限界なら死んでもらいますかね? フフ。」

 

 マルローがそう言った辺りから、リーフが集中し始めていた。・・・すると数秒後、襲来して、まだ残っている飛竜の30%程が、強烈な光の柱に飲み込まれたかと思うと、断末魔の叫び声を上げる間もなく消滅していく。マルローにも向かったが、それは払いのけたようだ。が、そこでできた隙はレグルスが危機を脱するのには十分だったようで、黒い塊を吹きとばすと、マルローから一旦距離を取る。・・・この旅が始まる前に、一度だけまぐれで発動した魔法、シャイニングピラーが発動した瞬間だった。思わぬ奇襲に動揺が走る竜の群れ。・・・だが、マルローの放った威圧によって、より上位の恐怖によって動揺が塗りつぶされていく。


「・・・またお会いしましたね。・・・今の魔法はレグルスさんではないですよね?・・・そこの坊やか。・・・これはまた珍しい魔法を習得しておいでで。・・・この魔法は、勇者などの特別な存在にしか使えないのですが・・・まあ、そういうことなのでしょう。禿龍の首以上に重要な報告事項が発生してしまいましたね。・・・禿龍よ、命拾いしましたね?」


「・・・マルロー! 何度儂は禿じゃないと言えば分かるんじゃ!」


「気になるところはそこですか・・・まあ、人間形態になってみれば分かると思うんですが・・・」


「ぐぬぬぬぬ・・・」


 まさか?! 光龍って、人間になってもそのまま、は・・・・


「うるさいわい。両サイドには少しだけ残ってるんじゃ!」


「・・・それって、一番ダメな奴じゃん・・・」


「・・・・・」


 カペラの一言で完全に沈黙した光龍。まさかの見方からの追撃に心が砕け散ったようだ・・・


「まあ、そういうわけで、貴方の命は預けておきますよ。・・・レグルス君、勇者殿、また会いましょう。」


 そういうと、残った竜すべてにゲートが出現しマルロー以下は退却していった。・・・少なくとも今ので、リーフが勇者であることがバレたな。・・・まあ、今のはしょうがない。


「・・・何か勝手なことしちゃったみたいですいません。・・・」


「今のはマジでヤバかった。助かったよ、リーフ。・・・まあ、いつかはバレることだし気にするな。」

 

 ラルフに背中をバンバン叩かれているリーフ。ラルフ、励ましてるつもり?


「・・・儂としては助かったよ。リーフよ一応礼は言っておく。だが、この後のお前さんは大変じゃぞ! まあ、周りがフォローしてくれるじゃろうが。」


「ところで、お前たちは次はどこに向かうのじゃ? やはり世界樹に向かうのか? 船で行くなら、ドヴェルグ王国からか、イース帝国からかどちらかかのう。一度行っているから、ドヴェルグからの方がいいかもじゃが。」


「成程な。転移で移動はすぐだからな。でもアースガルドへ定期船は就航してたっけか?」


「いや、していないな。それはイース帝国からも同様だろう。アースガルドは貿易船などでも入国の審査が厳しいと聞く。まして、噂を聞く限り、イース辺りと戦争をし始めるかもしれない。とすれば、正規のルートで入国は難しい・・・」


 ラークの問いにレグルスが答える。


「アースガルドは大陸を内側と外側に分けるアースガルド山脈がある。その内側が、帝都グリトニルや世界樹のあるエッダ島がある。目的地はここだが、警戒が厳しく、ここへの入国は難しい。一方、外縁部は資源も豊富で農業生産もあるが、人々は差別を受けていて中央への不満も高い。外縁部のどこかであれば、秘密裏に入国も可能だろう。・・・問題は船を自分たちでどうにかしなければならない。」


「船を買うのは厳しいですわね。 買えなくもないけど、買ったらその後の生活がその日暮らしになりますわよ。」


 ミリアムが言うのも尤もだ。借りる方向でいけないものか・・・


「外交で約束を取り付けられそうなのは、イース帝国かな? ドヴェルグ王国は、あそこ中立をいじしているから、そういう話には乗ってこない可能性がある。それに東の端から出向すれば公開距離も短くて済む。」


 国相手の交渉はラークやミリアムに頼らざるを得ないから、ラークの意見に従うほかはないだろう。


「よし、それでは次の目的地はイース帝国だな。帝都イスカへ向かうことにする。」


「・・・決まったようじゃのう。儂の方はしばらくこの辺りを警戒せねばならんな。ここを落とされたらミズガルムが滅ぶ。できれば、旅に出る前に大統領に軍の派遣について話を通しておいてくれ。儂だけでは少々きついものがある。」


 ラークはそれについて、了解の意志を伝えると、一行は霊峰を後にし、一旦ラバナへ転移する。大統領へ報告と依頼を済ませに。そして、ハイドラードで依頼していた防具を受け取りに行ったら、次はイース帝国だ。 ここで船を借りる願いをしに行くつもりが、まさか戦争に巻き込まれるとは、一行の中で予想できたものはいなかった。




この章は短めですがここまで。次回から新章にします。

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