武器・防具の調達とホーリークリスタル。
1734年 3/10
現在レグルス達は、ドヴェルグ王国の王都ハイドラードに到着している。まずこの街ですべきことは、武器・防具の調達である。特に武器は、レグルス、エストを除いて何かしら今よりいいものを欲しかったりする。ラルフとリーフは剣、アレクとカペラは短剣、ミリアムは槍、ラークは弓といった具合である。エストもできれば杖が欲しいところか? 他にもアレクは弓も使うためそっちも探したり、皆色々見ているようである。・・・が、現在使っている武器が悪いどころか、皆品質が良い武器を使っていた。そのため、今より良いものという条件を付けると中々お眼鏡にかなう武器は無かったりするのである。
ラルフ、アレク、カペラの3人が使っている武器は鋼製である。ただ鋼製が悪いというわけではなく、鋼製には他にはない利点があるのも確かだったりする。・・・丈夫なのだ。ミスリル等の武器と比べ、重いし、切れ味も抜群とはいいがたいが、長く使った場合の劣化が少ないのである。勿論ミスリル製のほうが切れ味は鋭くなるし、軽いのだが、一流の職人が手掛けない限り、鋼製のそれと比べ壊れやすかったりする。なので、一般の冒険者が使用する武器としては、鋼製品のバランスが優れているのである。
ただ、俺たちの旅の目的を考えれば、一般的な冒険者のそれでは不足であるのも確かだ。最低でも、ミスリル製で且つ一流職人が手掛けた業物。できれば特殊効果等が付与されえているものが好ましいだろう。・・・そういうものがあるのかといえば・・・
「ラルフさん、いい剣見つかりましたか?」
「その様子じゃ、リーフ。お前も見つけてないんだな。・・・ここの店の品質は決して悪くはないが、今使っている剣に代えられる品があるかといえばなぁ。・・・ラークはどうだ?」
「俺の場合は、弓じゃなくても氷魔法での攻撃もあるから、切実って程じゃないが、魔法が効かないこともあると考えるとなぁ。良いもの欲しいがな。」
「そっちもダメか。・・・アレクは?って、お前もか・・・」
問われたアレクが首を横に振る。ということは、同じ短剣を探しているカペラも同様だろう。杖に関しては、この店にはあることはあるが、木製品は良いものは取り揃えていないようだ。・・・そっちは別に探さないとな。
結局、望みのものが見つからず、何も買わずに店を出る。これで3件目だ。・・・ここは気分を変えて防具屋に行くことにする。今のメンバーはどちらかといえば、スピード重視の者ばかりなので、胸当てや膝当て、バックラーといった体を軽く保護してくれるようなものを選んでいく。こちらに関しては、アレク、カペラ、ラークの3人が購入していた。ラルフは軽鎧に大盾を購入していた。防具に関してはミスリル製の品質の良いものを見つけることができたようだ。防具はエストも欲しいようだったが、金属で保護してくれるものではなく、布や革でできたもので、良いものがあればということのようだ。ここにはそういう製品はないようなので、どちらかというと、後衛職や武闘家が好むタイプの防具店を探す。
しばし、そのまま歩きながら探していると、綺麗な店舗とは言い難い、薄暗い感じの店を見つけた。他の者は普通に通り過ぎようとしたのだが、レグルスはそこが妙に気になった。たまたま店先に置かれていたローブは埃をかぶっていたが、よく見ると特殊な繊維で編みこまれているのが分かる。ここはもしかすると当たりかもしれない。・・・そう思い、渋る残りメンバーを説得し入店する。
店に入ると、機嫌が悪そうなドワーフの親父が無言でただ本を読んでいた。客に挨拶する気は無さそうだ。
「すみませ~ん! ちょっと商品見せて貰ってもいいですか?」
「・・・・・見たかったら、勝手に見ろ。気に入ったのがあったら持ってきな。・・・」
エストが尋ねたところのこの反応。武器屋の娘としては、割と許せなかったらしく、
「ちょっと、ここ感じ悪いから出よ?(ボソ)」
何とか宥めているうちに、カペラがいいのを見つけたようだ。
「この服頑丈そうでいいね。さっき買った胸当てと合わせられそうだし、しかも割とおしゃれな感じ。気に入ったわ。」
その一言で、他のメンバーも真剣に見だす。エストも我慢して物色し始めたようだ。俺は特に必要ではなかったが、なんとなく武闘着を見ていると、どうも自分が着ているものに作りが近い気がする。勿論、自分のは超レア素材を元にオーダーメイドで作ってもらったものなので、自分の方がいいものなのは当然なのだが、作りの丁寧さとかは共通するところがある。なので、直接聞いてみる。
「・・・あん、この店にあるのは大体は俺が趣味で縫ったもんだ。どれを買ってもそこそこ攻撃に耐えられるはずだぜ。・・・ん?・・・お前着てるのって・・・3年位前に俺が作ったやつじゃねぇか?・・・あれは確か、ヤンのやろうに頼まれて作ってやったんだが・・・おめぇ、ヤンの弟子か?・・・ほうほうそうか・・・で、今日は何の用だ?」
この人か? 師匠の知り合いって。・・・急に愛想のよくなった主人に、これまでの経緯を話すレグルス。
「なるほどな。・・・俺の目から見て、そこの戦士ときれーな姉ちゃんとお前はうちで買わない方がいいな。特に姉ちゃんの着てるのは特殊効果が付いてるから、それ以上はそう簡単にはないよ。他は・・・材料さえあれば作れるぜ?・・・そうだな・・・」
皮鎧が欲しい、リーフとアレク、頑丈目な冒険者の服が欲しいラークとカペラ、魔法使い用のローブがほしいエスト、それぞれに合わせた必要な材料を伝えていくドワーフの親父ダグ。材料は、これから向かう東の密林で大体そろうようだ。・・・どうせなら、いいのを作ってもらおう。ついでに武器についても聞いてみる。
「武器か?・・・そうだな、ロランのやつなら腕は確かだぜ! そいつにも話を通しておくか・・・勿論材料を調達すればだがな・・・まあ、ミスリルだろうな・・・」
繁華街から外れた目立たないところに、ロランの武器工房があった。そこで武器作成の依頼をする。問題は材料だが、
「今は、イザヴェル王国からミスリルが入ってきにくくなってるからバカ高いっだわ。当然武器の値段も跳ね上がるがそれで良かったら作るぜ。今お前たちが持っているのよりは幾分強いはずだ。それ以上となると伝説の武器クラスになるな。素材さえあれば俺もそういうのを作ってみたいもんだが・・・興味があったら調べてみるといい。」
なるほどな。まずは過去の武器にどんなのがあったのか調べてみるか。・・・とりあえず、武器代金は前金で払っておく。・・・よし、とりあえずは、装備問題は一旦クリアだな。
装備に関してはすぐにできるわけではなく、防具に至っては、俺たちが素材を持ち帰ってからの流れになる。武器に関しては、東の密林地帯から戻ってきた辺りには完成しているとのことだった。そこまで確認したところで、あとはホーリークリスタル探しに頭を切り替える。
目的地はここから東にある密林地帯である。大まかには街道があるから、近くまでは2週間程度で目的地には行けるであろう。ということで、翌日から目的地に向かう一行である。
1734年 3/25
王都ハイドラードを出て2週間。何度か遭遇した魔獣を狩りつつ目的地近辺まで到着した。ブラックパンサーやホーリーエイプ、極楽鳥などは狩り終え、必要な素材はかなり集まった気がする。そして改めて思う。・・・噂通り、この辺りの魔獣も活性化している。レグルスの目線ではかつて戦ったこともある魔物だったこともあり、数年前と比較ができるのだ。自分が強くなっているにもかかわらず、同じ種類の敵が強く感じる。それは相手も強くなっていることに他ならない。だから、他のメンバーは敵によってはかなり苦戦していた。
今もグレートドラゴンが3体出現して倒したところであるが、やはり以前とは強さが異なる気がしている。でも、これで防具の素材は完全にそろったな。・・・これでホーリークリスタル探しに集中できる。
一行は、しばらく森の中に入り、木漏れ日が差し込むポイントを探していく。そういったところは多数あるのだが、そこにクリスタルが無ければ意味がない。そう都合よく見つかれば苦労はないのだが・・・
偶々上の方を見上げてみると、少し離れたところに崖が見えた。その崖の壁面の中間位が光ったように見えたのだ。なので近寄ってみた。・・・あったのは鳥の巣であった。野鳥が巣作りをしていたようだ。この鳥はキラキラしたものを好み、巣に集める性質がある。どうやらメスはそのキラキラ具合でパートナーを決めるらしく、オスは必死になってキラキラしたものを集めるのである。そんな蘊蓄をレグルスは思い出していた。さすがにここからでは何があるか分からないため、崖を登り始めるレグルス。
「ちょっと~、大丈夫なの~?」
エストの心配する声が聞こえてきたが、10mや20m位落ちたところで、怪我などしない自信がある。心配しすぎだよなぁ~とか思いながら登っていき、巣の傍までやってきたとき、悲劇が起こる。巣の主が帰ってきたのだ。口にはクリスタルを加えている。が、俺のことを宝物を奪いに来た泥棒とでも思ったのだろう。いや全くその通りなのだが、そのため攻撃をしてきたのである。当たり前だが、崖にしがみついているため、レグルスの両手は塞がっている。したがって、・・・
「痛! いてててっ ってやめろ馬鹿! だから痛いって!」
徹底的に突かれるレグルス。いやらしいことに、手の甲や足の脹脛や太もも辺りを狙ってくる。落とそうという魂胆だろう。・・・だが、巣にあるクリスタルはキラキラに光り輝いている。そりゃそうだろう。崖の上で、森林にさえぎられることなく光を十全に吸収しているのだから。これがホーリークリスタルに違いない。・・・それに手を伸ばす。とりわけ大きめのそれを握った瞬間、
「!!!!!!」
反対の手の甲に集中攻撃を喰らう。・・・もう限界だった・・・。
「うああああああ~~~ぁ」
レグルスといえども、跳ぶことは出来ても、飛ぶことは出来ないのである。・・・自由落下するレグルス。そのまま、人型のくぼみを大地に作ってしまった。その落下の最中、ラルフとラークがゲラゲラ笑っていたのを見逃さなかったレグルスであった。・・・だがしかし、笑われながらもホーリークリスタルをしっかり話さなかったレグルスであった。
その後転移王都でハイドラードに戻る一行。そのままダグの店で素材を渡すついでにアクセサリーの職人を紹介してもらい、ペンダントに石を埋めてもらう依頼をする。翌日にはできるそうだ。・・・これで明日には霊峰ミズガルムに戻ることができる。ようやく2つ目の儀式が受けられるとまた一歩前進できたことを喜ぶのだった。
次回は4/15の15時までには。以前予告した、魔王サイドのお話にする予定です。




