ソリオの町へ。そして登山。
当初、5章のままで行くつもりだったのですが、6章にすることにしました。
晩餐会の翌日、大統領を再訪問した後、翌日から再び旅に出るため、各自準備をしている。これまでのように、数日間移動したら大きな街に着くという感じではなく、途中にあるのはせいぜい小さな町である。水、食料、生活必需品等の買い出しなんかで忙しかったりする。買い出しメンバーはレグルス、エスト、ラルフ、アレクの幼馴染4人組である。
ミリアムは登山に耐えられそうな装備を買いに行った。ミリアムは戦闘でも後衛に回ることが多く、着ている装備も普段はヒラヒラしている聖者の衣である。実は来ているだけで、様々な耐性が付く優れた防具であるのだが、正直登山には向かない。ということで、暖かくなってきていることもあり、頑丈で動きやすいものが必要だったのである。一人で行きたかったようであるが、強引にラークが付いていった。護衛だとかなんとか言っていたが、ミリアムには同行をギリギリ許可されていた。彼女的に、二人っきりはきついらしい。今まではリーフが一緒だったしな。今日は一緒にはいない。そのリーフは図書館に行った。力を伸ばすヒントをまだまだ欲しいようだ。剣術と雷魔法も磨きたいらしい。・・・いい本があればいいんだが。
カペラは、「妹分が足りなくなった。」 と言いながら、シュネー村へ転移していった。今日は泊まってくると言っていた。・・・村の男衆がちやほやするだろうから、気は休まらないだろうが・・・
そんな訳で、俺たちは必要物資の買い出しである。とはいえ、ほとんどは収納魔法に入れて今うのであるが。重いから男手がいるとかそういう感じではない。本当は俺だけでも良かったんだが、結局は暇だということでついてきた感じである。
現在来ているのは、食料の卸売店である。こういったところの方が、大量に安いものが手に入るのである。ここで、小麦粉をはじめ、保存がききそうな食品を大量に購入する。レグルス的には米も欲しかったのだが、残りのメンバーに反対された。・・・食べたことがないから嫌らしい。・・・うまいんだけどなぁ。後は、ミリアムではないが登山グッズでも見に行くか?
やってきた登山用品専門店。俺以外の3名は早速グッズの品定めをしている。俺も見たかったのだが、店内を見ている間に、重要なものが足りていないことに気が付く。・・・そう、テントである。・・・いや俺のはある。が、一人用である。せいぜい入れてもう一人。8人は100%無理だ。馬車は置いていく必要があるからな。大きめの物があるといいんだが・・・おお、あったあった。これなら10人以上いてもいけるんじゃないか? 今後のことも考えたらこれくらいがいいだろう。・・・早速購入して即収納に仕舞う。・・・他のメンバーは何を選んでるのか見てみると?
「あ、ちょうどいいところに来た。レグさ、こっちの赤いのとそっちの青いのどっちがいいかな?」
エストはダウンジャケットを選んでいた。・・・格好から入る気か?!・・・いや、必要じゃないって言うつもりはないよ。適当に赤って答えたら、また抓られた。適当なのがばれたらしい。・・・う~む、来ている姿を想像する・・・やっぱり赤がいいかな? 今度は考えて答えたら、喜んで会計に持っていった。結論同じなんですけど・・・分からん。・・・あっちでは、ラルフとアレクが登山用靴を見ているらしい。お前たちも形から入るのか?と言いたかったがやめておく。重そうだが、しっかりはしているので、それを履いて登るのも悪くはないだろう。・・・おれも念のため買っておくか。・・・結局全員何かしらの買い物をして店を出るのだった。
1734年 2/22
早朝には、カペラも戻ってきていた。早速ミリアムとエストは買った登山用装備を見せびらかしていた。そしたら私も欲しかったと言い出し、結局カペラの分も買いに行くことに。カペラは緑色のダウンジャケットを買っていた。・・・これで、全員気が済んだかな?
ようやく、首都ラバナを出立する一行。目指す目標値は、霊峰ミズガルムのお膝元である、ソリオの町である。ここでも物資は買えただろうが、品ぞろえはラバナには及ばないだろう。いずれにしろ、必要物資は購入済みである。なので気にしないことにする。ラバナへの道中は当然といえばその通りであるが、山道が多い。これまでの平坦な道ではなく、上がり下がりが多い。どちらかといえば上りが多いか。ソリオに到着するのは恐らく4日後であろう。
馬車内では、俺とリーフは本を読んでいる。リーフの方は昨日図書館に行ったとき借りた本の写しだが。雷魔法の修行方法が書かれたものを見つけたらしい。何でも直接的な練習方法の他にベースになっている、氷魔法と風魔法も鍛えると相乗的に効果が上がると書かれているそうだ。そこを真剣に読んで、プラスになるところを少しでも吸収したいようだ。俺はというと、霊峰ミズガルムに関する案内本を読んでいるところである。登山ルートがいくつか紹介されている。7000m超の大きな山であるため、通常は4000m地点までで止めるのが普通である。ここには泊まることが可能なロッジがあるのだ。そこから先は、道なき道を行くという感覚になるし、魔獣も出る。そして、山頂付近には龍の伝説が記載されている。おとぎ話のようなノリで、書いている本人も特に信じてはいないような書き方である。俺たちは、その伝説の竜である光龍に会いに行くためにここに行こうとしているのである。光精霊のペンダントを光龍自体が所持していてくれれば話が早いのであるが。またどこかに取りにいかねばならないパターンは是非とも避けたいところである。
1734年 2/26
ラバナを出てからここまで、盗賊にも魔獣にも襲われることなく順調にソリオの町に到着した一行。ここまで順調だったことは旅が始まってから初めてである。幸先が良いと思いつつ、とりあえずこの町で一泊する。宿もそこそこいいところが見つかったようだ。まだ、日も高い時間帯であるので、全員で街に繰り出す。
霊峰のお膝元なだけあって、周囲を見渡すと登山客が本当に多い。気軽な格好の者から、見た感じそれとわかる重装備なものまで様々だが。ダウンジャケットを購入した女子3人組はいい。俺も神龍の武闘着が断熱効果があるため不要であるが、他の面々はどうだろうか?・・・ラルフとアレクは靴に意識がいって、上着は購入していなかったみたいだが・・・
「俺はそういうのは持ってるから問題ないぜ。リーフは?」
「ああ、全然考えていませんでした。グリバールで来ていたやつじゃダメですかね?」
「いや、大丈夫じゃないか? 一応、魔法で防寒対策はするしな。ただ、まだ2月だし、いくらここが暖かいところといっても、そこから7000mも登るわけだからな。寒いのは覚悟しておいてくれ。」
ラルフ、アレクも問題ないみたいだな。なら、明日が来るのを待つだけ・・・あ・・・空気対策は大丈夫か?・・・かつてグルド山の山頂付近で空気が薄い中で戦闘をして具合が悪くなったことを思い出したレグルス。・・・いそいで用品店に駆け込むのだが・・・成程・・・あるようである。 携帯酸素という、魔法の力で空気中の酸素成分を濃縮加圧して液体にしたものを缶に封じ込めているらしい。バルブを開けば少しずつ酸素が出て呼吸が楽になるそうだ。店員の話では、山頂付近に行くなら必需品だそうだ。念のため人数分購入することにする。今気が付いてよかったよ。・・・この後夕時になったので、酒場に行って食事を済ませ、宿に戻り就寝。翌日から登山開始である。
登山当日は、有難いことに晴天だった。皆元気よく山を登り始める。暖かい日差しを浴びながら登り続ける一行。レグルスもペースを合わせゆっくり登る。・・・標高1000m程で、ミリアム、リーフ、エストがへばった為、少し休憩する。・・・まあ、分からないでもない。ずっと上り続けるのは思いのほか体力を消耗するのである。俺の他に完全にへっちゃらなのは、ラルフくらいか?ラークとアレクも余裕とは言えないようだ。30分程休んだ後登山を再開。さらに500m登ったところで、昼食休みだ。パンを齧りつつミルクで流し込む。その間回復魔法で疲労感も取り除いておく。今回はミリアムが辛そうなので、すべてレグルスが全員の体力回復を担当している。
「レグといいラルフといい、脳筋はいいわねぇ~。疲れを知らなくて。」
ちょっと待て。俺が脳筋? ラルフと同じカテゴリーだと? ・・・ラルフはラルフで脳筋の一言でショックを受けているらしい。・・・いや、お前は確実に脳筋だろ? 俺は違う。・・・違うはずだ。俺は知性派なのだ。(←自分で言うな)・・・違うよな?・・・
2人が無言になる中、残り6名は談笑を続け、休憩時間も終わる。・・・気が付いたら、俺以外の7名はもう移動を始めていた。
「レグ~! おいてくわよ?」
エストよ。お前の一言でこっちは固まったんだが、そのそも体力回復させたの俺! 納得が・・・
「聞いてるの~! 早くしなさい!」
「はい・・・」
何故か逆らえない俺であった。・・・しかしラルフは立ち直り早いね。・・・流石脳筋。・・・それ以降も適当に休みながら登り続け、夕暮れ時までには、ロッジがある標高4000mの地点に到着するのだった。
ロッジには俺たちの他にも多数の登山客が宿泊していた。登山はここまでで、疲れてしまったので、ここで宿泊してから帰るものが大多数で、一部は、明日に備えて休息し、より高いところまでチャレンジする者もいるようだ。建物のいたるところには、魔獣注意の看板がかかっている。実際命を落とすものもいるのだとか。また、ここには売店もあり、ちょっとした登山アイテムや軽食なども置いてあるようだ。・・・携帯酸素ここにも売ってたのか。あ、でも結構割高だな。麓で買って正解か。・・・おお、おにぎりが売っている。・・・そういえば米最後に食ったのっていつだったっけ?・・・覚えてないだけかもしれないが、この大陸に戻ってきてからはあんまり食べてない気がする。・・・ということで衝動買い。1つ購入し齧り付く。・・・うまい。中になんか赤い魚が入っているな。店員に聞いたら、鮭だそうだ。これうまいな。シュネーでは米のみだったなぁとか思いながら食べていると、
「レグ~、何美味しそうなの食べてるの?」
「ああ、エストか。おにぎりだよ。お米の塊だな。食ってみるか?」
欲しそうだったので、もう1個購入し、渡してみる。
「・・・おいしいわね、これ。中に入っているお魚もいいわね。・・・」
気が付いたら、他のメンバーも寄ってきていた。・・・とうとう全員食べだした。概ね好評のようだ。
「だったら、次穀物買う時は、米も買ってみるか?」
・・・おお! 同意を得ることができた。今度から食生活に幅が出るな。とか思いながら、明日からの山頂を目指した登山に向けて休息を取るレグルスであった。
次は4/12の夜に更新予定です。




